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チリ:少数民族出身 誇りに思う【2007年5月22日 信濃毎日新聞掲載分】
「ぼくはマプーチェ人だってことを誇りに思っている」とジョナサン・ゴンサロ・エレーラ・メリージャン君(15歳)は胸を張って言います。 マプーチェは、チリの少数民族です。マプーチェ人は体つきや苗字がほかの民族と異なるため、差別の対象となり、良い仕事につけないなど、社会的・経済的に不利な立場に置かれることが少なくありません。 マプーチェの人々の多くが、教育、就職、保健ケアなどの社会サービスから取り残されていると感じているという調査結果もあります。子どもたちも、人から見下されたり、拒否されていると感じることが多く、マプーチェの若者の多くが、成功するためにマプーチェではない人々よりもずっと努力しなければならないと考えています。 マプーチェの子どもたちは、少数民族であるがためにさまざまな困難を強いられていますが、マプーチェとしてのアイデンティティを大切にしています。また、多くの若者がジョナサン君のように自分の民族を誇りに思っています。 ジョナサン君が通う学校には1,700人の生徒がいますが、マプーチェはその内たったの7人。学校ではマプーチェの文化に関する内容は教えてくれないので、ジョナサン君は、マプーチェの集会に参加し、自然を守り、自然との共存・融和を維持するというマプーチェの信仰を勉強しています。 ジョナサン君は真剣な表情で話します。「以前は自分の民族について何も知らなかった。だけど、マプーチェのことを学ぶうちに、自分がマプーチェであることを誇りに思うようになった。いつかぼくもマプーチェの文化を教えられるようになりたいな。」 最近ユニセフは、カウティン県テムコ市の郊外で、チリの様々な地域で暮らすマプーチェの若者同士が集まり意見を交換する機会を設けました。「僕はマプーチェの踊りを踊ったんだよ。マプーチェじゃない子も来ていたから、その子たちにもマプーチェのことを知ってもらうことができた」とジョナサン君は満面の笑顔です。 ユニセフは、政府やパートナーとともにマイノリティのように弱い立場に置かれている子どもの権利を保護するため、教育や福祉など様々な分野での改革に取り組んでいます。どの民族の子どもたちも、出身民族に対して誇りをもち、差別されず、自分の可能性を活かして充実した人生を送れるように、ユニセフは今後も支援をしていきます。 |