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中国大地震 第23報
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「日本では、学校は避難所として使われます。だから、コミュニティーの中で、一番安全な場所でなければならないのです。」ユニセフハウスを訪れた中国教育省調査団一行代表と意見交換をする早水研 日本ユニセフ協会専務理事(写真左手前) |
今年5月12日に、中国四川省などを襲った大地震。発生時間が授業時間中に重なったため、学校の倒壊などにより、多くの子どもたちの命が失われました。こうした学校での被害を繰り返さないため、中国教育省は、ユニセフ中国事務所や国連地域開発センター(UNCRD)の協力を得、同省の防災担当者や研究者などで構成される総勢25名の調査団を学校防災の先進地である日本に派遣。28日(火)昼過ぎに成田空港に到着した一行は、その足で、ユニセフハウスを訪問し、出迎えた日本ユニセフ協会の早水研専務理事に、日本のみなさまから寄せられた多大なご支援への感謝のメッセージを届けました。
アグネス・チャン日本ユニセフ協会大使の一言から実現した日中協力
今年6月末、発生から1ヶ月半ほどの被災地を訪問したアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使。視察を終え、帰国直前に立ち寄った北京のユニセフ事務所で、地震対策が進んでいる日本の学校の例を紹介したところ、同事務所のイン・イン・ニュイ代表が「是非もっと詳しい情報を送って欲しい」と協力を要請。日本ユニセフ協会では、日本の小学校で導入されている避難訓練マニュアルや防災頭巾をはじめとする避難用具などの情報をユニセフ中国事務所に提供しました。こうした情報を元に、中国政府は、ユニセフの支援によって、新学期が始まった9月1日、テレビを通じて子どもたちを災害から守る全国キャンペーンをスタート。今回の調査団の来日に至りました。
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「日本では、学校での防災の取り組みが非常に進んでいると伺っています。日本の知識や経験、技術をしっかり学んで帰りたいと思います。」 今回の来日の目的を説明し、日本のみなさまからの支援への感謝の意を述べる調査団・団長 宋徳民さん(写真右奥) |
今回の大地震で最も深刻な被害を受けた四川省の山間部は、以前から中国国内でも開発が遅れ、長年にわたって、ユニセフも教育などの分野での支援を続けてきた地域でした。そこに襲った今回の大災害。ユニセフは、テントや水、毛布などの物資による支援に加え、「子どもに優しい空間」を34ヶ所に設置し、子どもたちの心のケア支援を展開しました。
今、被災地では、仮設住宅が立ち並び、また寸断された道路や水道施設などもほぼ復旧するなど、少しずつですが、復興への歩みが始まっています。また、それと同時に、中国全土から支援のために集まったボランティアなどの姿も少なくなってきています。こうした一見「日常」「平穏」を取り戻しつつある被災地。しかしながら、子どもたちの心の傷は、放置されれば、こうした表面的な「平穏」の中でも静かに刻まれ続けてしまいます。ユニセフは、緊急支援としてスタートさせた心のケア支援が、被災地のコミュニティーの人々によって継続されるような体制作りの支援を続けています。
また、今回の調査団の来日に象徴されるように、本格的な学校教育の復興のため、より耐震性の高い校舎の建設や防災体制作りのための技術的な支援も始めています。
長期にわたって求められる支援
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「学校を子どもたちにとって安全な場所にすることは、どんなに強調してもし過ぎることは無いほど重要です。」 スマトラ沖地震・津波被災地での経験を買われ、中国四川大地震の緊急・復興支援活動に抜擢されたユニセフ中国事務所のスコット・ウールレイ緊急支援事業担当官は、こう語りました。 |
「学校は、日本でもとても大切な場所です。一旦事が起きると、学校はコミュニティーの避難所として機能します。だから、学校は、コミュニティーの中で一番安全な場所でなくてはならないのです。」と早水専務理事が語ると、調査団とともに来日したユニセフ中国事務所のスコット・ウールレイ緊急支援事業担当官も、「学校を子どもたちにとって安全な場所にすることは、どんなに強調してもし過ぎることは無いほど重要です。」「そうしたことを実現するための事業を含め、私どもの活動に対する日本のみなさまのご支援に、改めて感謝申し上げます。」と述べました。
「今回の大地震の被害は、未曾有の大きさでした。しかし、被災地の人たちは本当に一生懸命頑張っています。日本をはじめ、世界中からお寄せいただいた善意に助けられ、頑張っています。是非、これからも応援してください。」(調査団団長・中国教育省 宋徳民さん) 調査団一行は、11月3日(祝)まで日本に滞在。文部科学省や学識経験者、公共団体の学校防災関係者らとの意見交換を行うとともに、東京や神戸の耐震改修された学校などを視察する予定です。