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東日本大震災緊急募金 第153報
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日本ユニセフ協会は、地震および津波により被災した岩手県・宮城県・福島県の自治体からの要請を受け、保育園や幼稚園等の仮設園舎の建設や大規模な修繕のための支援を実施しています。支援先のひとつである岩手県陸前高田市の社会福祉法人陸前高田市保育協会 竹駒保育園の仮設園舎が完成し、4月4日、この新しい園舎で入園式が執り行われました。
竹駒保育園は園舎が被災し、約1年間休園を余儀なくされました。子どもたちが安心して過ごせるように、また、ご家族の生活のためにも保育環境の整備は急務であり、陸前高田市および法人からの要請を受け、日本ユニセフ協会が仮設園舎建設を支援する運びとなりました。
雪が降りしきる中、続々と綺麗に正装した子どもたちとお父さん、お母さんが笑顔で集まってきました。今回入園したのは1歳から5歳までの37名。子どもたちは、担任の先生に名前を呼ばれると「はい!」と元気良く返事をして、先生の前にきちんと集まりました。お母さんやお父さんの元から離れるときは少し緊張気味でしたが、明日から始まる新しい園舎での生活へのわくわくするような気持ちも伝わってきました。
新しい園舎に隣接した竹駒コミュニティセンターで執り行われた平成24年度入園式。園長の村上和加恵先生は次のように祝辞を述べました。
「37名のよい子のみなさん、入園おめでとうございます。竹駒保育園は津波の被害のため、1年間休園していましたが、日本ユニセフ協会さまの温かいご支援の下、こうして今日の日を迎えることができました。本当にありがとうございます。また、多くの方々の励ましやご支援のあった1年でした。その優しさに答えるには、竹駒保育園に入園した子どもたちが元気に笑顔いっぱいに過ごすことだと思います。震災で1年間休園して、子どもたちの笑顔がない竹駒地区でしたが、みんなと一緒に遊べるのを本当に、本当に待った一年でした。みなさまの温かい、ご協力の下、がんばっていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。本日は、入園おめでとうございます」園長先生のこの言葉から、この再開の日をどれだけ心待ちにしていたか、そして、これから気持ちを新たに子どもたちの成長を支えていくという強い決意が感じられました。
次に、社会福祉法人陸前高田市保育協会理事長代理から挨拶がありました。
「入園されたみなさまおめでとうございます。みなさんが元気に入園されることをわくわくして待っていました。今日はみんなの元気な姿を見て安心しました。お父さん、お母さん、そしてご家族のみなさん、確かに預かりました。保育園に預けている間は安心してください。仕事や復興にみなさんが専念できるよう、責任を持って、お預かりいたします。子どもたちはこれから復興へ向かう、陸前高田市の大事な宝です。みんなで見守り、育てなければならない、大切な宝です。園長を始めとし、先生方、そして私たち保育協会の役員もみなさんと一緒に子どもたちを見守っていきます。大事な子どもをわたくしたちに預けてくださいまして、本当にありがとうございました。本日はおめでとうございます」
また、陸前高田市長代理からも祝辞をいただきました。
「みなさんおはようございます。みなさん今日は入園おめでとうございます。今日からこの新しい保育園で一緒に過ごすお友だちがたくさんいます。保育園では先生やお友だちと遊んだり、毎日楽しいことが待っています。また、保育園の先生はとても優しくてみんなのことが大好きです。一緒に歌を歌ったり、絵本を読んでくれたり、たくさん遊んでくれます。みなさんもすぐに先生が大好きになると思います。この竹駒保育園も大津波により被災し、これまでは下矢作保育園や、横田保育園へ通うなど大変ご苦労をおかけいたしました。子どもたちは今日から新しい集団生活が始まりますが、先生は熱心な先生ばかりですので、どうぞ安心してお任せして欲しいと思います。終わりに、お子さんたちが健やかに、のびのびと成長されますようお祈り申し上げまして、お祝いの言葉といたします。本日は誠におめでとうございます。」
またお2人は今回仮設園舎建設を支援した日本ユニセフ協会にもお礼の言葉をかけてくださいました。
入園式終了後、保育士になって5年目、明日からつばめ組(4歳から5歳児)を担当する加藤千佳先生は次のように話してくださいました。
「1年間休園しましたが、保育園がばらばらだったお友だちがこうやって再会して、本当に今日は笑顔があふれる入園式になったと思います。
新しい園舎は仮設なので、これからも色々不便があると思いますが、不便なりに、この園舎でできること、できる限りのことを子どもたちと一緒にしていきたいと思います。日々、保育園が楽しい!と子どもたちに言ってもらえるような、毎日保育園に行きたい!と言ってもらえるような保育園にしていきたいと思います」
入園式の後は、みんなで新しい園舎を見に行きました。壁に貼られた先生たちの手作りの切り絵、「にゅうえんおめでとう」のメッセージ、白木を基調とした明るいお部屋を見て、子どもたちだけでなく、お父さん、お母さんもとても嬉しそうでした。
また、入園式の始めから嬉しそうにはしゃいでいた男の子のお母さんは「みんなとまた一緒に通えるからとても嬉しい。すごく心待ちにしていたんですよ」と語ってくれました。
いよいよ再開の時を向かえた竹駒保育園。園舎で元気いっぱいに遊ぶ子どもたちの声が今にも聞こえてきそうです。
日本ユニセフ協会はこれからも地震および津波により被災した保育園や幼稚園等の仮設園舎の建設や大規模な修繕のための支援を実施していきます。
写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会