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フィリピン台風緊急募金 第4報
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11月8日フィリピンに上陸した台風30号(ハイエン)。被災した400万人の子どもたちへの緊急支援活動の資金として、ユニセフ(国連児童基金)は国際社会に対し、3,400万米ドル(33億8,640万円※1米ドル99.6円で換算)の支援を求めています。
要請された資金額は、被災した子どもたちやその家族に対する支援を今後6ヶ月間実施するのに必要な資金として、現段階で推計される額です。
被災した地域の多くで、電気が寸断され、きれいな水や食糧、医療物資が不足していると報告されていることから、ユニセフは国際社会に対して緊急の資金援助を強く求めています。
© Photo courtesy of European Pressphoto Agency/Jay Romel Labra |
ユニセフ・フィリピン現地事務所の穂積代表は「一日、一日と過ぎるごとに、何千もの子どもたちが衰弱し、病気への抵抗力が落ちてきています。水道が寸断され、トイレも崩壊し、家々や学校は破壊されています。これらの被害すべてが合わさって、子どもたちは非常に大きなリスクに直面しており、緊急の支援が必要です」と指摘しています。
タクロバンに簡易トイレが到着するなど、すでに現地に届いた支援物資もあります。石鹸、洗剤その他の衛生関連の物資や教育用品、レクリエーション用品を載せたトラックも、被災地に向かっています。日ごとに明らかになってきているのは、子どもや母親が切実に支援を求めていることです。
台風によって、水と衛生(トイレ)施設や設備は、ほぼ完全に崩壊しました。パイプラインは水没し、電気の供給がなく、水の汲み上げや処理は不可能です。子どもたちを感染症から守るためには、きれいな水が必要不可欠です。特に栄養不良の子どもは、一度病気かかると死に至る危険があります。
© UNICEF/NYHQ2013-0992/Maitem |
レイテ島、タクロバンで撮影された1枚。台風の被害を逃れることができた子どもたちも、これからを生きるために支援を必要としています。 |
多くの保健所や産科クリニックも被災しました。被災した人たちが保健サービスを十分に受けられない状況が続けば、特に妊産婦や新生児に、死の脅威が迫ります。5歳未満の子ども10万人と妊婦や育児中の母親6万人が被災したと推定されています。母乳を与えるなど、通常のように子どもが食事をとることができない状況と、水と衛生(トイレ)施設の被災が組み合わさって、幼い子どもたちが栄養不良に陥る危険性が生じています。被災地の中には貧困率が高いエリアもあり、問題は極めて深刻です。
被災地には、就学前と学齢期の子どもたち280万人がいるとみられ、自宅から避難せざるを得ない状況です。最も被害が大きかった東ビサヤス地方では、3,000の学校と2,400のデイケアセンターが被災したとみられています。
台風により家屋や学校は跡形もなくなり、住民や家族の多くが避難することになったため、子どもたちが虐待や搾取の危険にさらされています。
台風30号の到来前からユニセフの人的・物的資源は限界をむかえていました。フィリピン事務所のユニセフ職員90名は、10月15日に発生し、320万人が被災したボホール地震の支援活動に追われていました。台風30号が到来する前のユニセフの2013年に必要な資金は3,000万米ドル弱でしたが、そのうち調達できていたのはわずか13%です。今回の災害で、新たに3,420万米ドルの資金が必要となり、合計で6,350万米ドル(63億2,460万円※1米ドル99.6円で換算)の資金を国際社会に要請しています。
© UNICEF/NYHQ2013-0991/Maitem |
台風が上陸したタクロバン市内で2人の子どもを抱える男性。 |