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夏休みユニセフ活動報告会
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私はアフリカのモザンビークという国で働いていますが、みなさんはモザンビークがどこにあるか知っていますか?地図を見てみてください。アフリカの南の方です。南アフリカのとなりにあります。その前までは、西アフリカにあるシエラレオネで働いていました。どちらも子どもの保護について仕事をしていました。特にこのふたつの国の子どもたちについてお話をします。
みなさんは、ユニセフについてどれだけのことを知っていますか?今日は3つのキーワードをあげますので、それだけは覚えて帰ってください。ユニセフを知る3つのキーワードというのは、子どもの権利、緊急援助と開発援助、そしてアフリカです。
特に今回はアフリカをテーマにしていますので、アフリカの3つのキーワードについても考えてみましょう。一つ目は貧困、貧しさについてです。二つ目は武力紛争と自然災害、戦争とか、台風による被害のことです。三つ目はHIV/エイズです。今日あげた3つのキーワードだけでいいので、この報告会が終わった後、覚えてかえって、家に帰ってからも、家族やお友達に話してみてください。
まず、アフリカの子どもたちの今について話すまえに、みなさんにスライドを見てもらいたいと思います。このスライドは先ほどキーワードとしてあげたなかの、緊急援助についてです。モザンビークでは今年の2月と3月にちょうど日本の台風にあたるような災害がありました。ふたつのサイクロン(台風のようなもの)がやってきて、多くの人たちが家を失いました。そのため、ユニセフはいろいろな緊急援助をしたわけですけれども、そのことについてのスライドショーです。
非常に簡単ではありましたが、緊急支援の時のユニセフの活動についてお話しました。
先ほど最初にお話した3つのキーワードのうちの緊急支援についてお話をしましたが、こればかりをしているわけではありません。開発援助もしていかねばなりません。
ユニセフというのは、子どもの権利を守るための国連の組織です。ですから、子どもに関することはすべてします。たとえば、緊急援助下で、保健、教育、水と衛生、子どもの保護にかかわることをしますが、それはすべて子どもの権利に関わってくるからです。
緊急援助は、先ほどお話した自然災害や武力紛争が起きたときに、緊急に対応が必要な場合をいいます。開発援助とは、長期的な視点でおこなう通常の援助のことです。アフリカは、日本にとって距離的にも心理的にも「遠い地域」と思いがちですが、ユニセフの活動としては、半分以上のスタッフや資金をつぎこんで、緊急支援、開発支援が行われているわけです。
ではなぜアフリカなのかということですが、3つのキーワードをふりかえると、貧困というのは貧しいということですが、これについてはあとでお話します。武力紛争と自然災害ですが、いろいろな被害を子どもたちに与えています。HIV/エイズについては、あまり日本では取り上げられない問題ですが、南部アフリカでは非常に深刻です。そのために親を失って孤児になったり、適切な保護をうけることができない子どもたちがたくさんいます。そういった子どもたちをHIV/エイズからどうやって守るか、社会的な問題からどう守るかが重要になってきています。
ここでモザンビークの歴史を簡単にお話します。ここにアフリカを知る3つのキーワードがかくされています。
モザンビークはポルトガルの植民地だったわけですが、1975年に独立して、内戦がおきて、1992年に平和合意されました。さっきお話したような、武力紛争がおきたり、貧困やHIV/エイズの問題をかかえている、まだまだ支援を必要としている国のひとつです。
そうしたアフリカの子どもたちをとりまく状況を数字でみていきたいと思います。まず、貧困ということをあげましたが、具体的にどういうことでしょうか。
アフリカの子どもたち3人にひとりが一日1ドル以下で暮らしています。およそ120円です。アフリカの物価は安いですが、たとえばシエラレオネでは、スクールバスがないため、タクシーにのって学校に通わなくてはいけません。そのタクシーの料金が1回25円くらいです。ですから、学校に行って、帰ってきて、50円使ってしまうことになります。学校にいくだけで半分使ってしまうことになります。学校に行くためには、文房具ですとか、制服やお弁当も必要になってきます。そうなると、1ドル以下でくらすことがどのくらい大変なのかわかります。
そして6人にひとりが5歳の誕生日をむかえられません。原因はおもに病気ですが、予防可能な、はしか、下痢など、予防できる病気で命をうしなっています。
3つめに、小学校に行くことができなかったり、入学しても卒業することができない、ということです。貧しいから、学校が近くにないから、学校に入学したり、または入学できても、卒業まで通い続けることができません。地域によっては、女の子が学校に通うことができないということころもあります。
HIV/エイズについての問題については、ユニセフの統計によると、エイズで親を失った子どもたちが1520万人いるといわれています。その80パーセントがサハラ砂漠以南のアフリカだといわれています。このようにアフリカにすむ子どもたちが大変なのかがわかっていただけたと思います。
そこで、ユニセフが何を優先課題として活動してきたかというと、子どもの生存、教育、子どもの保護。HIV/エイズ、そのほか啓発活動パートナーシップについて力を入れています。
アフリカ全体でみると6人にひとり命をおとしているとお話しました。おもな原因となっているマラリア、下痢、呼吸器系の病気については、簡単に予防することができます。たとえば、マラリアなら蚊帳の中でねむるだけで、蚊をふせぐことができます。そのほか、栄養不良やエイズ関連の病気で命を失う子どもたちが多いです。
僻地で医療サービスをうけることは困難です。たとえば、高熱の赤ちゃんを二日も三日もかけて病院に連れて行くことがよくあります。そこでできたのが、移動式の保健所です。ミニバンのようなものに荷物を入れて、お医者さんや保健婦さんが一緒に乗って、村々をまわっていくといったものです。
これは赤ちゃんの体重を量っているところです。栄養不良の子どもというのは、体重が少ないことが問題になるわけですから、これで赤ちゃんの成長を見ているわけです。
世界で最も悪い統計のひとつですが、シエラレオネでは、子どもの4人にひとりが5歳の誕生日を迎える前に命をうしなっています。そのために、ユニセフがやっていることは、さまざまな人へのトレーニングや制度の改善、マラリア対策については蚊帳の配布も行っています。蚊帳の配布については、日本では古くから蚊帳を使う習慣がありましたので、日本の製薬会社が特殊な蚊帳を作って、それを日本の資金でさまざまなアフリカの国に配布して使ってもらうというプロジェクトも行われています。
モザンビークでは41パーセントの子どもが慢性的な栄養不良だといわれています。栄養不良は食習慣や文化的なものと関連があります。母乳育児の奨励ですけれども、母乳というのはさまざまな病原菌から守る免疫機能もあるので、ユニセフでは母乳育児を奨励しています。一般の日本人であれば、母乳の大切さは知られていますが、アフリカでは一般的にそれが知られているとは限らないわけです。たとえば、私がモニタリングで村に入っていったときに、恐らく3ヶ月くらいの赤ちゃんに川の水をのませているお母さんがいました。川の水はきれいな水というわけではありません。母乳が出るにもかかわらず、子どもに川の水をあたえてしまう母親がいるわけですが、そういった母乳を与える習慣がなかったり、ちゃんとした知識がないからということと関係があるわけです。生活の習慣ですとか、慣習を変えていこうという活動もしています。
日本の子どもでしたら、はしか、日本脳炎は学校や幼稚園で受けることが義務づけられています。しかし、モザンビークやシエラレオネでは、農村に住む子どもたちの半数が受けられないので、簡単に命を落としてしまうわけです。ですから、予防接種のキャンペーンを行ってできるだけ多くの子どもたちに受けてもらうようにしています。
モザンビークでは、安全できれいな水を使っているのは農村部で23パーセント、都市部66パーセントのみです。ユニセフによって設置された井戸を使っている家庭もありますが、そういった水へのアクセスは大変重要です。なぜかというと、たとえば、特に女の子は、水汲みの仕事をまかされているために学校に行けないというケースがあります。こうした井戸の設置が重要になってきます。たとえ、井戸を設置しても使い方がわかっていなければどうしようもありません。また、手をあらうことなど、衛生知識に関する啓発活動も重要になってきます。
教育の話でもありながら、もちろん衛生上の問題でもあるのですが、シエラレオネでは、学校に行きたくないという女の子たちがいました。アンケートをとったところ、二番目の理由として男女別のトイレがないということでした。男女一緒だと非常に恥ずかしく、行きにくいということがあるのです。そのために学校に行くことを拒んでしまうことがあるのです。こういったことから、教育の問題もふくめて、学校に井戸やトイレを設置することをすすめています。
モザンビークでは、小学校6年間を終了させることができるのが、女の子で28パーセント、男の子で40パーセントだけです。費用がかかるから、距離が遠いからということもあるのですが、男女別のトイレがないとか、学校で性的な暴力、いじめにあうということがあります。子どもたちを学校に通わせるためには、そういった幅広い問題にも目をむけていかねばなりません。
日本では信じられないことですが、シエラレオネでも、モザンビークでも、小学校の先生というのは、小学校卒の知識レベルしかないという先生がいます。教員になるための正式なトレーニングがありません。私が出会ったモザンビークでのケースでは、2桁の足し算ができない先生がいるわけです。そういった先生から学ぶ子どもたちは教育のレベルが低くなってしまうということから、先生へのトレーニングをすすめていかねばならないのです。
アフリカで教育に関してすすめられているキャンペーンとして「子どもに優しい学校イニシアチブ」というのがあります。子どもに優しい学校とは、子どもを中心に考え、子どもが勉強しやすい環境を学校に整えることです。たとえば、教科書をわかりやすくする、使う机やいすを子どもが使いやすいものにする、男女別のトイレにするなど、子どもの視点で子どもに優しい学校を作っていくことです。モザンビークを含め、アンゴラ、マラウィなどほかの国でも行われているイニシアチブです。
次に「ライフスキル」とは、何のことだと思いますか?一般的な生活習慣、衛生、保健の知識のことで、学校で勉強することよりも幅広く、生きていくために必要なこの知識を学校でも教えていこうという動きです。
それと関連することで、アフリカではHIV/エイズの問題が深刻なので、予防するための啓発活動に力を入れています。HIV/エイズに感染している人ですが、モザンビークでは、15歳以上16パーセント、6人にひとりです。ジンバブエでは、20パーセント5人にひとり、スワジランドでは3分の1の人が感染しています。このようにHIV/エイズの問題は限られた人ではなく、日常にも関係する大きな問題として考えられています。
これはモザンビークの首都マプトでのHIV/エイズの影響を受けている子どもの写真です。モザンビークでは、毎日100人の赤ちゃんがHIV/エイズに感染して生まれてきます。これは母親から子どもへの感染ですが、今は特別な薬を使えばかなりの確率で予防ができるのですが、お金がなかったり、お母さんに知識がなかったりという理由で、子どもがHIVに感染したまま生まれてきてしまうのです。
HIV/エイズの治療に関しては、まだまだいろいろな偏見や差別があります。まず医療関係者にそういったトレーニングをしてなくしていくようにしています。予防に関しては、コミュニティレベルでの啓発活動や、若者同士で話し合って、予防につなげる活動をしています。この写真は移動式の保健所のようなもので、チームとなって、村をまわって、お芝居やラジオを見たり聞かせたりしながら予防の啓発活動をしています。
エイズ孤児への支援ですが、モザンビークではこれまでに約38万人の子どもたちがエイズで親を失ったといわれています。この国の子どもの数は1000万人なので、まだ大きな数ではありませんが、保護者を失った子どもたちは行き場をなくしてしまうわけですから、どのような支援活動を行うかが重要になってきます。また、2010年までにこの数が二倍になるといわれています。
彼女は両親をエイズでなくしました。年老いた祖母にささえられて生活していますが、祖母はもはや生活の糧がないため、生活資金はNGOにささえられています。このような弱い立場におかれた、子どもたちや女性たちをどのように支援していくのかが課題になっています。
簡単にいうと、子どもたちを暴力、搾取、虐待からどのように守っていくのかということです。モザンビークについていうと、およそ130万人の子どもたちが暴力の被害者になっていて、支援を必要としているといわれています。暴力というのは、性的虐待、家庭内暴力、学校での暴力、人身売買などすべてを含みます。ユニセフとしては、警察と協力して、被害者にいかに適切なサポートができるのかを考えています。子どもに対しての暴力は、地域の文化や習慣に関係していることがあるので、根深い問題なのです。
たとえば、シエラレオネでは女の子の半数が18歳になる前に結婚しています。そして1年後にはほとんどの女の子が子どもをうんでいます。若くしてお母さんにならなくてはいけない子どもというのは、まず学校を中断しなければいけなくなる、そして衛生に関する知識が乏しいので、そういった影響もあります。モザンビークの3分の1の女の子が学校で性的な暴力を受けた経験があると報告されています。そういった状況下では親も子どもを学校に行かせたくないと思うでしょうし、本人も学校に行きたくないと思うでしょう。このように、子どもの保護というのは、教育への影響もあるのです。
以上、手短ではあるのですが、アフリカの子どもたちがどんな問題があるかをお話しました。最後に私たちになにができるのかについて、みなさんで考えてみてほしいと思います。アフリカというのは非常に遠くの国のことなので、実感がないかもしれないですが、今日の話を通じて、アフリカで起こっていることを少しでも身近に感じて、私たちひとりひとりに何ができるのかをぜひ考えてみてください。ありがとうございました。
写真:© 日本ユニセフ協会
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