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アグネス大使 TOPICSアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使
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© UNICEF Japan/2010/Kaneko |
日本政府などの支援を受け、ユニセフがステートハウス避難キャンプに設置した小学校を訪問した日本のユニセフ親善大使、アグネス・チャンさん。 |
有名なアジアの歌手で、教育学の博士号を持ち、テレビでも活躍する日本のユニセフ親善大使アグネス・チャンさんは、1998年に日本ユニセフ協会の大使に任命されてから、これまでアフリカ、アジア、中東諸国を十数回にわたり訪問しています。そうしたユニセフとの活動の傍ら、チャン博士は、女性と子どもたちの権利を守るために、平和を訴え、国会にも働きかけています。
チャン博士は、香港で中学校に通っていたとき、子どもの権利問題にかかわるボランティア活動を始めました。
「生まれてからずうっと、子どもたちが好きです」と、彼女は話します。
その後、母親となった彼女は、息子さんを連れて、人を助けることを教えるためにユニセフのイベントに参加するようになりました。こうした中で、彼女は、子どもの権利を守ることの大切さを学びました。
「私たちは十分に力を尽くしていません。だから子どもたちが苦しんでいるのです。」と、チャン博士。「私たちには、子どもたちを助ける責任があります。」
© 2010 UNICEF Somalia/Morooka |
ユニセフが支援しているハルゲイサ総合病院に入院している重度の栄養不良の子どもとチャン博士。 |
チャン博士は、つい最近、ソマリア北西部への2週間の視察から戻ったばかりです。女性や子どもたち、そして、無数の国内避難民が直面している問題に関心を集めようと努力しています。
ハルゲイサを視察する中、チャン博士は、住む場所を追われた人々のための避難キャンプにいる子どもや女性たちの状況を目の当たりにしました。武力紛争によって避難を強いられた1万6,000人以上のソマリアの人々が暮らす避難キャンプで、チャン博士は、必死に生きのびるために奮闘しているお母さん方の話を聞きました。また、貧弱な住まいや就業機会の欠如、極度の貧困、栄養不良、基礎的な社会サービスの欠如といった、避難キャンプの厳しい現実を目のあたりにしました。
「この避難キャンプで、モガディシュから避難してきた9人の子どもを持つ37歳のお母さんの話を聞きました。彼女の家は迫撃砲による攻撃で破壊され、家族のうち6人が亡くなりました。」チャン博士は、その時のことを思い出してこう話してくれました。「このお母さんは、子どもたちと一緒にこの避難キャンプに来ることができて幸運だったと話していました。でも、生活はまだとても厳しいと言っていました。」
© 2010 UNICEF Somalia/Kaneko |
2010年2月、視察のために国連機でナイロビからソマリアに向けて出発する日本のユニセフ親善大使、アグネス・チャンさん。 |
チャン博士は、これまで訪問してきた13カ国の中で、ソマリアのような国は今まで見たことがなかったと話しました。武力紛争や政情不安が続いているだけではなく、子どもたちの健康と教育が多くの困難に直面しています。
ソマリアの子どもの6人に1人は、急性の栄養不良状態に置かれています。チャン博士は、ユニセフの支援を受けて重度の栄養不良の子どもたちの治療を行っているハルゲイサ総合病院で、そうした状況の一端を目撃しました。
チャン博士は小学校も訪問。ユニセフは、ソマリアの小学校に、あらゆる種類の教科書と学用品を提供している唯一の組織です。
今回の視察の中で、チャン博士が注目したもうひとつの問題は、女性性器切除(FGM)と呼ばれる、ソマリアで一般的に行われている慣習でした。チャン博士は、この慣習に反対しているソマリアの女性たちに会い、この慣習を経験した人々からも話を聞きました。
チャン博士は、アーティストとして、そして人として、イラク、ダルフール、ソマリアといった紛争地域への視察から最も衝撃を受けたと言います。ユニセフでの活動は、彼女の音楽にも影響を与えていて、近年作った曲の多くの歌詞は、子どもたちと世界の平和に関するものだそうです。
「ラブソングは、もうほとんど書くことができません」と、彼女。「でも、たくさんの新しいファンの方々が応援してくれるようになりました。みんなが心で思っていることにとても近い歌を歌うようになったからだと思います。」
香港出身のアグネス・チャンさんは、スタンフォード大学で教育学博士号を取得。70冊以上の書籍を出版しています。最初の曲は、14歳のときにリリースされ、販売数は香港の音楽史上他に類を見ないものとなりました。子どもたちのために、そして、特に武力紛争によって生活が崩壊してしまった子どもたちのために、彼女は声を上げ続けているのです。