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アグネス大使 モルドバ視察

ワインづくりが盛んで、肥沃な土壌に恵まれたモルドバ。ブドウを中心に果実、野菜が栽培され、酪農も盛んです。ルーマニア語と同じモルドバ語を使い、民族構成としては、ルーマニア人と同じモルドバ人が6割以上、その他、ウクライナ人、ロシア人、ガガウス人、ブルガリア人などが暮らしています。
他の旧ソ連圏にあった国々が経験したのと同じように、独立後、経済が市場経済に移行したことにより、深刻な経済不況に襲われています。失業率も高く、一人あたりのGNI(国民総所得)は、わずか460米ドル(2002年)となっています。(日本:33,550米ドル、ハンガリー:5,280米ドル、ルーマニア:1,850米ドル、インド:480米ドル、スーダン:350米ドル)

< モルドバの子どもと女性たちの状況 >

モルドバでは、全人口(427万人)のおよそ30%が18歳未満の子どもたちです。激動の結果、女性と子どもの生活水準は下がり、世界銀行によると、全人口の58%が貧困の中で暮らしているといわれています。
国際労働機関(ILO)によると、失業率は少なくとも12%といわれています。しかし、海外へ出稼ぎに出る人口が推定50〜60万人(人口の少なくとも20%)であることを考えると、実数値はもっと高いと思われます。青年が失業の大多数を占め、就職先を求めて海外へ渡る人の半数は30歳以下です。長引く経済の低迷による不安定な政治と社会の動揺がモルドバの労働力をますます海外へ流出させ、その数は過去5~6年間増大しています。非公式には、海外で働いているモルドバ国民の数は60〜100万人(労働人口の30%)ともいわれています。

社会政策の改革

 2003年にユニセフは、子どもとその家族に影響を与える社会問題についての分析を行いました。その結果、危機的な状態にある家族の最大の問題は、子どもや子どもの抱えている問題が家族の中で重視されていないということでした。子どもが両親から捨てられたり(モルドバでは1万3,500人の子どもが施設で育っている)、親が国外へ出稼ぎに出たために精神的に見捨てられたりしています。また、家庭で労働力として搾取されたり、地元の雇い主に農業労働者、一時労働者として雇われたりもしています(特に農村部)。子ども(特に男子)に対する家庭内暴力が容認され、学校においてさえ暴力があることもあります。
 この他、国の社会政策に実効性がなく、ほとんどの地域で子どもに対する市民社会のサポート体制がないことにも問題があります。2003年に行われた行政改革は、地方に資源を分配することなしに責任だけを委譲したため、問題を深刻化させた。その結果、小さな町や遠隔地の村では、子どもの保護に関する機関や人的資源がなくなっています。

教育

GDP(国内総生産)のおよそ3~4%が教育に投資されており、中所得国の投資とほぼ同等です。また、義務教育の小・中学校の就学率は7‐15歳人口の92%となっています。しかし、教育の質の低下と教育へのアクセスにおける格差が大きな問題です。モルドバでは就学前の子ども4人に1人は幼稚園に通っておらず、少なくとも5000人の子どもが学齢期にいかなる教育施設にも通っていません。

保健

世論調査によると保健制度の荒廃は、貧困、汚職につぎ、最も深刻な問題の第3位に挙げられています。保健指標は、90年代はじめに急激に下がった後、最近は少し改善してきています。過去10年間、乳幼児死亡率は実質的に改善されておらず、ヨーロッパの平均値を50%も上回る数値のままです。乳児死亡の主な原因は出産前後の問題、急性呼吸器感染症、先天性形成不全などです。5歳未満児の死亡については、偶発事故、疾病が主な死因となっています。

HIV/エイズ

HIV/エイズとともに生きている人口は1794人と報告されていますが、保健省は推定値を8500-11,300人としており、感染は急速に拡大しているとみられます。2000年1月、モルドバは、CIS諸国の中でロシア、ウクライナに次いで、10万人中のHIV/エイズ流行率3位に位置付けられています。


《 モルドバ共和国の基礎データ 》

5歳児未満の死亡率(%)

1960

88

2002

32

乳幼児死亡率(1歳未満)(%)

1960

64

2002

27

総人口(1000人)

2002

4270

年間平均出生率(1000人)(%)

2002

49

5歳児未満の年間死亡率
(1000人)(%)

2002

2

1人あたりのGNI(米ドル)

2002

460

人口(1000人)

2002
18歳未満

1153

5歳未満

240

年間人口増加率(%)

1970-1990

1

1990-2002

-0.2

出生時の平均余命(年)

2002

69

出生時の平均余命
(対男性比、%)

2002

111

合計特殊出生率(%)

1990

2.4

2002

1.4

2001年までのHIV/エイズ成人有病率
(15-49歳)(%)

 

0.2

2001年までのHIV/エイズ感染者数推定

成人と子ども(0-49歳)

5500

子ども(0-14歳)

-

ヨード添加塩を摂取する家庭の割合(%)

1997-2002

33

成人の識字率(%)

1990

99

 

96

2000

100

 

98

初等教育就学率(%)
1997-2000

総就学率

84

 

84

純就学率

79

 

78

児童労働(5−14歳)
1999−2001

全体

28

29

28

都市

18

農村

35

最貧困層20%

41

最富裕層20%

13

教育のない母親

42

教育を受けた母親

28

 

www.unicef.or.jp

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