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財団法人日本ユニセフ協会
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UNITE FOR CHILDREN UNITE AGAINST AIDS

 

ハイチ:小児エイズ治療が子どもの命を救う

【2005年10月18日 ポート・オー・プリンス発】

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©UNICEF video

普通の男の子と同じように、7歳のサムソン・バーネレット君はお気に入りのおもちゃで遊ぶのが好きです。彼が他の子どもと違うのは、HIVと共に生きているということだけなのです。

母子感染により、サムソンは生まれた時からHIVに感染していました。お母さんはサムソンを産んですぐに亡くなったので、叔母さんに引き取られましたが、叔母さんはサムソンがHIVポジティブだと知ると、彼を見捨ててしまいました。その時、マリー・ローズ・バーネレットがサムソンを養子として引き取ったのです。

「彼は両親を失って叔母さんと暮らしていたわ。でも、彼女はサムソンの面倒をちゃんと見てやっていなかったし、彼がHIV感染者だということを怖がっていたの。だから、私がこれからはこの子を育てると申し出たの、そしてそれをしただけのことよ。」マリー・ローズが教えてくれました。

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彼女はHIVに感染してから10年間を過ごしてきたので、HIV感染というだけで、差別の対象になったり、ある種の烙印を押されてしまうことを知っています。家族はマリー・ローズがHIVに感染していることを知ると、彼女に話し掛けることもしなくなり、部屋を隔離し、ついには彼女のためにお葬式の準備までしました。彼女はサムソンが自分と同じ運命をたどることがないよう、最善を尽くして彼を守っていきたいと考えています。

ゲスキオセンター:ハイチ初の試み

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©UNICEF video

貧困、秩序不安定、自然災害といった数多くの困難に見舞われながら、ハイチの多くの子どもたちは今日、HIV/エイズという新しい恐怖にその命を晒されています。ハイチはラテン・アメリカと地中海地域において最も高いHIV感染率を示しています。この事態をさらに悪化させているのは、ハイチに住む大部分の人々がHIV/エイズから自分を守る方法を十分に理解していないことです。

「ここハイチでは、HIVに感染した子どもが毎年13,000人生まれています。この13,000人のうち、抗レトロウイルス治療を受けられるのはわずか300人だけなのです。」ハイチ・ユニセフのプログラム・オフィサーであるラルフ・ミディが話します。抗レトロウイルスやコトリモキサゾールなどはHIV/エイズに感染した子どもの命を救うには必要不可欠な薬です。これらの薬を使用しなければ、多くの子どもは肺炎などに感染して命を落とすことになるでしょう。

ユニセフが支援する医療施設、ゲスキオセンターでは、マリー・ローズとサムソンのような子どもとおとなに、無料で抗レトロウイルス薬を配っています。1982年に設立されたこの施設では、ハイチで最も経験のある医療チームが勤務にあたっています。1990年からのユニセフとの協力体制のもと、ゲスキオセンターは無料でHIV検査、カウンセリング、子どもと妊産婦の治療も行っています。このような施設の設立はハイチで初めての試みとなりました。

「他の保健施設と違って、ゲスキオセンターはHIVに感染した子ども用の小児科設備なんです。」院長のマリー・デスチャンプが説明します。「私たちはもっと子どもたちに目を向けるべきです。そしてハイチに住むすべての人に、子どもの間でもHIV/エイズが蔓延しているという事実に気づいてもらわなければならないんです。」

保健ケアへのアクセス

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ゲスキオセンターでもらった薬のおかげで、マリー・ローズとサムソンは活発に実りのある生活を送ることができます。マリー・ローズがHIV/エイズに関する啓蒙活動を行う間、サムソンは毎日学校に通います。

「昔はいつも調子が悪かったよ。でもお母さんがくれる薬を飲むようになったら、全然平気になったんだよ。」サムソンが言いました。

しかし、このままHIVが世界中に広まりつつければ、子どもたちと若者はますます危険に晒されざるを得なくなるでしょう。ハイチでは、何百万人、もしくはそれ以上の若い命が危ない状況にあります。サムソンのような子どものための治療を支援することは、ユニセフがHIV/エイズとの戦いの中で掲げる優先事項のひとつです。