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ハロルド・チャベス(14歳)
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ホームタウンのモンテリアで、友達とサッカーをするハロルド |
カンタクララでは、コロンビアのほかの農村地域で見られるような争いの影響はありません。それでもハロルドの母親は、息子が心配でたまりません。近所に住む同年齢の少年たちの多くが麻薬にはまり、犯罪グループに加わっているのです。それに加わらないと、逆に警察のスパイだと言いがかりをつけられる危険性があるくらいです。
さらに心配なのは、民兵組織がカンタクララで盛んに徴募活動をしているということです。2〜3週間に一度は近所にやってきて、少年たちに「1カ月150 米ドルは稼げるから加わらないか、将来はもっと稼げるぞ」と言って誘ってきます。
「息子がそのような道に踏み込まないように祈っています。ハロルドがもうすこし大きくなったら、彼らはきっと『いい話があるんだ』と言って誘いをかけるでしょう。私のこんな現状を考えて、息子がその誘いにのる可能性だってあります。彼らはいつだってそうしているんです。いくつもそんな現場を見ています」母親はそう話してくれました。
民兵組織に加わった少年たちは、しばしば麻薬の栽培農園で警備をさせられます。給料は実際にはほとんど支払われません。数年後に家にもどってくるケースもありますが、ほとんどは命を落としたり、刑務所に送り込まれることになります。推定では、カンタクララから毎年およそ100人の子どもたちが民兵に徴募されているということです。
しかし、ハロルドは、近所のほかの少年たちよりもそういった誘惑のワナにかかる危険性が低いといえます。サッカーが大好きなハロルドは、ゴロンビアノ・プロジェクトに加わりました。このプロジェクトは、サッカーを利用して、非行や犯罪から子どもたちを守ろうというものです。ユニセフが支援するこのプロジェクトは、自尊心と人を敬う気持ちを育てるものでもあります。
ゴロンビアノ・プロジェクトのモンテリアでの調整員ジャメス・オチョアは、次のように言っています。「ハロルドはサッカーに忙しくて、近所の少年たちと街角でぶらついている暇なんてありません。またサッカーを通じて、若者たちは人とどうコミュニケーションをとるかを学びます。彼らにとってサッカーは新しい友達をつくる手段。フラストレーションを解消したり、自由時間に健康的なことをする手段でもあるのです」
ゴロンビアノ・プロジェクトのメンバーのひとりとして、ハロルドは週に3度練習し、週末には1つか2つの試合に出ます。ゲームは普通とは少しルールが違っています。秩序を守る大切さを教えるため、試合には審判員がいません。また自分たちでいくつかの特別ルールを決めることもあります。よくあるものは、両チームの最初のゴールは、女の子が点を決めた時のみカウントされるというものです。
ゴロンビアノ・プロジェクトに加わる前のハロルドは、「自分たち家族を農場から追い出したやつらに仕返しをしてやるんだ」と言っていましたが、今では、プロのサッカー選手を夢見ているそうです。「サッカーと勉強に没頭したら、きっとロナウジーニョのようなプレーヤーになれると思うんだ」とハロルドと夢を語ってくれました。