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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<2001年5月28日/信濃毎日新聞掲載>

人身売買防止へ親たちに啓発
<ベニン>


 「時々、男の人がやって来て、村の子どもを外国へ連れていくんだ。僕のお母さんもその男の人に頼んで、僕を外国へ行かせようとしたんだよ」

まだ11歳のノーディンは、ほかの22人の子どもたちと一緒にバスでベニンからコートジボワールへ向かう途中、ベニンの警察に保護されました。そして、そのバスに同乗していた12人の大人は、子どもを国外に連れ出そうとした罪で逮捕されました。

西アフリカに位置するベニンでは、4分の1以上の子どもたちが小学校へ行っていません。ノーディンは「お父さんに学校へ行きたいと言ったら、コトヌー(ベニンの中心都市)の小学校へ行かせてあげると言われたけど、先生からはお金がないと行けないよ、と言われた」と話しました。

ノーディンの母親は、ベニンとコートジボワールを行ったり来たりしながら、コートジボワールのカカオ農園で働いています。母親は、ノーディンとノーディンの13歳のお兄さんの二人を、別のカカオ農園で働かせようとしました。家族は単に子どもを売るのではなく、子どもを手放すことが子どもにより良い機会を与えることになると信じて、子どもを送り出すのです。

ユニセフはこの問題について人々の意識を高めるために、ベニンの政府や地方自治体と協力しながら、子どもを海外で働かせることがいかに危険かを伝える活動をしています。さらに、村の自治委員会のメンバーに対して、子どもの人身売買が起こらないように監視したり、親に危険性を訴えて子どもを海外へ送ることをやめるように警告したりするよう、研修を行っています。ノーディンを含めた23人の子どもたちを保護している保護センターの職員アドルフェさんは「警察による子どもたちへの質問が終わったら、保護された子どもを村へ帰しますが、その際、村の人々に対して、子どもを再び海外へ送り出さないよう訴えています」と説明してくれました。

「早くお母さんとお父さんに会いたい。家に帰ったらもう一度お父さんに、僕は学校へ行きたいと話すつもりだよ。もう外国へ連れていかれるのはいやだから」。これ以上ノーディンのような子どもを増やさないために、ユニセフはさまざまな人々の協力を得ながら、子どもの人身売買をなくすための活動に真剣に取り組んでいます。

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