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<2003年12月25日掲載> ユニセフ写真大賞2003(ドイツ国内委員会主催)
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大賞 |
ダン・バルトレッティ/ロサンゼルス・タイムズのスタッフ・カメラマン/米国 |
2位 |
フェリカ・ウェッブ/IPG/ロンドン、英国 |
3位 |
ブレント・スタートン/Getty Images(ゲッティ・イメージス)/ロンドン、英国 |
佳作 |
マルカス・ブリーズデイル/IPG/ロンドン、英国 フリーデル・アンマン、フリーランス/バーゼル、スイス ユリ・コジレフ、TIME誌/ニューヨーク |
64人のカメラマンから651枚の写真応募がありました。
出身国は22カ国:
米国、バングラデシュ、ブラジル、カナダ、デンマーク、ドイツ、コートジボワール、英国、フランス、イスラエル、イタリア、日本、ケニア、レバノン、リトアニア、オランダ、パレスチナ、ロシア、スイス、セネガル、南アフリカ、ハンガリー
大賞 「約束の地へ。残された子どもたち」
ダン・バルトレッティ/ロサンゼルス・タイムズ スタッフ・カメラマン/米国
5歳のとき、エンリケの母親は彼を残して米国に行ってしまいました。お金を稼ぐためです。11年もの間、彼は母親が戻ってくるのを待ちました。でも、我慢しきれなくなった彼は、お金も持たないまま、命の危険も顧みず、ひとり、母親を探す旅に出たのです。彼の19,000キロに及ぶ長い冒険は、北に向かう列車の屋根の上に乗ることから始まりました。
空腹を抱えながら、何度も泥棒に追いかけられ、汚職まみれの警察に捕まりそうになりながらエンリケは旅を続けました。彼と同じような境遇にいる子どもは何千といます。中央アメリカから北へ、子どもたちは万が一にも親が見つかるかもしれない、という気持ちに突き動かされながら電車に飛び乗ります。幸運を掴むのはほんの数人です。何度やっても失敗します。それでも母親を求める気持ちには勝てないのです。ダン・バルトレッティは、エンリケがたどった道を追いながら、こうした子どもたちと旅を続け、彼らの体験をドキュメントとして撮影し続けました。
ダン・バルトレッティ
シリーズ:残された子どもたち
ロサンゼルス・タイムズ
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2位 「XLサイズの世代」
ジョナサン・ロホ(14歳)と妹のヨマラ(9歳)は、脂肪肝に苦しんでいます。アメリカのレストランでは、食べきれない量の料理が皿に出されます。ジョナサンは、睡眠時無呼吸症候群にも悩まされています。喉のまわりに肉がつきすぎて、空気の道をふさいでしまう病気です。このままでは心臓や肺にも悪いので、空気を肺に送り込むBiPAP(人工呼吸器)をつけて寝ます。
「FAT・肥満」という言葉は、「やせることはいいこと」と思われている現代にあっては、自尊心を失わせ、絶望へと追いやる恐ろしい言葉です。今までは外見的なことが主に語られてきましたが、健康への害も見逃せないものになってきました。WHO(世界保健機関)は、肥満を世界的な流行病だとして、その最前線に子どもたちが立たされていることに警告を発しました。
アメリカ人の3分の2は体重過多か、肥満状態にあり、子どもたちの肥満がすごい勢いで増加しています。こうした「巨体世代」ができあがっていることに専門家たちは懸念を表わしています。15歳前に糖尿病の気がある子どもたちの平均余命は、27年短くなり、両親よりも先に命を落としてしまう世代が出てくるのではないかと皮肉る人たちもいます。
フェリカ・ウェブ/英国
IPG---Independent Photographers Group
(インデペンデント・フォトグラファーズ・グループ)
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3位
「シエラレオネ:性的搾取の犠牲になっている紛争下のアフリカの女性たち」
シエラレオネとリベリアは、いずれも残虐行為が横行した内戦を終え、(つかのまかもしれないものの)ようやく平和の日々を取り戻すことができました。でも、その中でまだ苦しんでいる若い女性や女の子たちがいます。内戦の最中に虐待に遭っていた日々が心の傷となり、彼女たちの人生に暗い影を落としているのです。
写真は、10歳のときに村から誘拐され、兵士の妻とさせられたシエラレオネの若い女性です。村を全滅に陥れた殺戮行為の中で、家族は殺され、彼女だけが反政府ゲリラである革命統一戦線(RUF)に囚われの身になりました。料理を作らされ、荷物運びをさせられ、性的搾取にも遭いました。逃げようとしたときは、まわりへの見せしめとして、腕と胸に酸を浴びせられました。2年後、彼女はやっと逃げ出すことができたのです。写真は彼女が12歳のときに撮ったもの。最近は、性的搾取や拷問の犠牲になった女性たちが作っている自助グループに参加しています。シエラレオネには、こうした女性たちを支援する施設がなく、自分たちの力でグループを結成し、助け合うしか道がありません。シエラレオネには精神分析医がひとりしかいないのに、こうした女性は1,000人もいるのです。
ブレント・スタートン/英国
Getty Images (ゲッティ・イメージス)
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佳作(4作品)
シリーズ「遊び場」ART-BASEL 2002年
フリーデル・アンマンは、スイス・ジュネーブの新聞紙「ル・タン」より、「ART-BASEL」展(美術展)の写真を撮るように依頼されました。彼がそっと撮った写真の中には、小さな女の子が、まるで作品の一部であるかのように溶け込んでいるこのようなシーンもありました。
フリーデル・アンマン/スイス
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「モンロビア 2003年7月28日」
政府軍の子ども兵士。この子どもの兵士は、闘いが行われている中、未使用の銃のカートリッジを拾い集めていました。ユニセフによると、世界には約30万人の子どもたち兵士がおり、12万人はアフリカに集中しているそうです。2003年7月に、クニ・タカハシは、政府軍兵士と反政府軍との間で繰り広げられた、リベリアの首都モンロビアでの闘いを撮影しました。長年リベリアを統治してきた元大統領のチャールズ・テイラーは、現在ナイジェリアに亡命しています。
クニ・タカハシ/日本
E-Lance-Media (E−ランス・メディア)
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イラク:転覆の前後
ロシアのカメラマン、ユリ・コジレフは1986年以来、戦争や紛争地域で写真を撮り続けています。旧ソ連の崩壊を中心に、特にチェチェンでの変化を追ってきたカメラマンです。
現在、アメリカに在住しているコジレフは、TIME誌との契約のもと、数カ月イラクに滞在しました。この頃撮られた写真の中でも印象的なのが彼のこの作品です。
2003年4月。バグダッドの郊外にある家が爆弾の直撃を受けたとき、アリ・イズマイル・アバスは両腕をなくし、ひどい火傷を負い、危篤状態に陥りました。ほかの家族は全員、この爆撃で死亡。アリのこの写真は世界中を駆け巡り、人々の心を動かし、募金と支援につながり、彼自身はヨーロッパで手術を受けました。
ユリ・コジレフ/ロシア、アメリカ在住
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イラク:転覆の前後
地元のNGOが、夜、寝泊まりできる場所を探してくれるものの、通りで眠る子どもたちを保護する大規模支援施設はまだありません。子どもたちはジョセフ・コニーのLRA(神の抵抗軍)に誘拐されたり殺されたりしないように、夕方になると村を離れて避難してきます。過去12カ月の間に、9,000人がLRAに誘拐されました。グールの街では、25,000人近くが毎晩、それも寒く、冷たい環境で、夜を過ごすのです。そして、朝4時には、10〜20キロの道のりを再び、村に歩いて帰ります。
ジョセフ・コニーに率いられたLRAは、すでに20年近くもウガンダ北部で闘いを続けています。LRAは保健センターを襲い、村人を殺し、子どもたちを子ども兵士や性的搾取の相手にするために誘拐しています。これを避けるために、グールの子どもたちは、親や村を後に、こうして毎晩、街に避難してくるのです。タクシーの待機場、バスの停留所、店のベランダなどに寝て、LRAによる誘拐や殺戮を逃れているのです。こうした悲しい話は、北部のキトガムや東のパデルでも起きています。
マルカス・ブリーズデイル/英国
IPG-Independent Photographers Group
(インデペンデント・フォトグラファーズ・グループ)