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「寛容」と「平和」を訴える絵本展「ハロー・ディア・エネミー!(こんにちは、敵さん)」。ドイツでつくられた絵本展のびっくりするような名称です。この絵本展は、平和な世界はどうしたら実現できるのだろう、という題材で書かれた約85冊の世界の絵本で構成されています。子どもたちが、争うことの愚かさ、地球にさまざまな価値や存在があることを知り、平和な未来を築くためには「平和」と「寛容」が大切であることを理解できるようにつくられたものです。今、日本全国を巡回し、平和の大切さを訴えています。 世界では50カ国以上で紛争が起こっています。民族や宗教の違いなどが原因の紛争の犠牲者は約90%が一般の人々で、そのうち半分が子どもです。過去10年間の紛争で、200万人以上の子どもが殺され、30万人の子どもが少年兵として戦争の道具に使われていると言われています。 アフリカのスーダンではもう40年以上も紛争が続いていて、子どもたちは平和を知らずに大人になっています。憎しみや暴力が引き継がれているのです。南部出身のトーマスは元少年兵の15歳。10歳の時に村を襲われて母親を殺され、生きるために兵士にならざるをえませんでした。入隊後、銃の使い方を教えこまれ、麻薬で恐怖心をまひさせられ紛争の前線に出されました。 負傷して軍隊をぬけ、おじさんに引き取られて2年たった今も暴力的な考えや振る舞いは抜けず、通常の生活に慣れずに苦しんでいます。トーマスが通うリハビリセンターでは兵士に乱暴を受けたショックで現実を認識することができず、心の傷に苦しみ続ける女の子もいます。 ユニセフは紛争下の子どもたちに対して心のケアとともに、平和教育を行っています。平和教育は「ハロー・ディア・エネミー!」の開催目的と同様、子どもたちが多様性を認める「寛容」な気持ちを理解し、紛争下での暴力や対立、憎しみを乗り越え、「平和」な社会を築いていくことにつなげる取り組みです。未来をつくるのは子どもたちです。 「ハロー・ディア・エネミー!」展は、日本ユニセフ協会と日本国際児童図書評議会が共催しています。2000年9月5日から2000年9月11日まで、京都市の関西ドイツ文化センターで開催し、その後も全国を巡回する予定です。問い合わせは、日本ユニセフ協会協力事業部(TEL:03-3355-3222)へ。 |