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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

≪2004年4月30日掲載≫

子ども人身売買—イヤングの話
<ナイジェリア>

MLPWOODは、ナイジェリア・エヌグ農村部の教会に事務所を構えている。ユニセフが支援するこのNGOでは、50人以上の孤児や社会的に弱い立場に置かれてた子どもたちの学費を補助するとともに、職業訓練を行ったり、人身売買から身を守るための知識を教えたりしている。

 イヤングはナイジェリア、エヌグ州にある修復された古い教会の中で座っていました。窓から午後の日差しが差し込んでいます。彼は12歳ですが、落ち着いた声で、この古い教会にオフィスを構えるNGO、MELPWOOD(社会的弱者、および女性の開発のための調停)にたどり着くまでの出来事について話してくれました。

 彼は8歳のときに家事労働者として人身売買されました。今はユニセフが支援するNGO、MELPWOODに参加しています。MELPWOODは、孤児やその他の社会的に弱い立場に置かれている子どもたちが学校教育や職業訓練を受けることができるよう、子どもたちを経済的に支援しています。

 イヤングの家には8人の子どもがいました。お父さんが死んだとき、家計がとても苦しくなり、お母さんは彼を1人の男性に引き渡しました。イヤングをアロウに連れて行って学校に通わせ、お金を稼がせてくれるといったからです。イヤングは、たった8歳で家から遠く離れ、一度も会ったことのない人たちと暮らさなければなりませんでした。

教会の外では、焼きたてのパンやケーキを売っている。

 「僕が行けばお母さんを助けられるんじゃないかと思っていました」イヤングは言います。「今まで一度も家を離れたことがなかったから怖かったし、何かの儀式に利用されるのではないかと思って、とてもびくびくしていました。家事労働をしていた人が姿を消したという話も聞いていたからね」

 「連れて行かれた家では、聞かされていた話しとは違って、学校には行かせてもらえませんでした。ヤギにえさをやったり、やしの木に登ってやしの実を取らされたりしていました。ある日森にやしの実をとりにいったとき、骨を見つけたんです。怖くなって家に逃げて帰りました。あの人たちは、ちゃんと仕事をやってこなかったといって僕をぶちました」「僕は奴隷のように扱われたんです」

 イヤングは、一緒に住んでいる2人の未亡人の下で働いていました。働いてもお金ももらえず、学校にも行かせてもらえませんでした。

 イヤングは我慢できず9歳のときに逃げ出し、この家に自分を連れてきた男性に会いにいきました。「家に帰りたい。そうでなければ僕は死んでしまうと訴えました。幸運なことに、その人は僕を家に送り返してくれたんです」

MELPWOODで職業訓練を受ける子どもたち。織物や裁縫、ガーデニングや帽子作りを学んでいる。

 彼が帰るとお母さんは大喜びしましたが、ほかの3人の兄弟もまた家を離れ、同じような状況に置かれています。イヤングは今、ユニセフが資金援助しているNGO、MELPWOODに通っています。MELPWOODでは、子どもたちが自ら生計を立てられるように、また、人身売買や搾取の危険性に気づくように、イヤングのような孤児や社会的に弱い立場に置かれた子どもたちに、裁縫や編み物、石鹸作り、料理などの職業訓練を行っています。MELPWOODはまた、このプロジェクトに参加する55人の子どもたちが学校に通えるよう、経済的な支援も行っています。

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