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フィリピン:長年にわたるキャンペーンの成果=児童ポルノ禁止法が成立【2009年11月27日】
フィリピンのアロヨ大統領は、先日、児童ポルノの違法化を定めた法律に署名しました。これは、ユニセフをはじめとする子どもの権利の実現を目指す諸団体が、この何年にもわたって展開してきたキャンペーンの成果です。このキャンペーンでは、来年の総選挙までに、法律を制定するよう強く求めてきました。 「2009年児童ポルノ禁止改正法(The Anti-Child Pornography Act of 2009)」は、児童ポルノの製造、配布、そして、インターネットなどを経由して、そうした行為を幇助することを罰則の対象にしています。また、こうした行為の対象とされた子どもたちは暴力犯罪の犠牲者として扱われ、加害者には、最大500万ペソの罰金あるいは終身刑が科せられます。 また、本法は、こうした違法情報を提供したインターネット・サービス・プロバイダーなどの責任も問うとともに、子どもの権利が守られるために、政府や法執行機関、NGOの代表が参加する諮問委員会を設置しました。 この法案起草者の中心人物のひとり、モニカ・テオドロ氏は、次のように話しました。「児童ポルノに対する厳しい法律ができたので、私たちは効果的に加害者を起訴することができます。フィリピンは、児童ポルノを販売・頒布しようとする者や、外国からやってくる小児性愛者たちの天国でした。でも今、わたしたちの国は、安全な子どもたちの天国になりそうです。」 法案が可決されるまで、数年間にわたりキャンペーンを行ってきたジャンビ・マドリガル上院議員は、「熱心に運動してきたこの数年間の道のりを誇らしく思いました。児童ポルノに関する行為を犯罪とみなす法案がついに制定されたのです。フィリピンの子どもたちは、こうした虐待行為から守られようとしています。是非、他の国々も、同様の取り組みを進めるべきです。子どもたちを守ること。それは、全ての国において最優先課題であるはずです。」 キャンペーンについて2007年、ユニセフは、フィリピン政府の子どもの福祉委員会や国家警察と共に、児童ポルノ問題の調査を実施しました。この調査の結果、児童ポルノに関わる犯罪組織が既にフィリピンに存在しているということと、児童ポルノに関する包括的な法律が無いことによって、インターネットを通じた新たな方法で児童ポルノを製造・流布する行為に対し、法的対応がしきれていないという現状がわかりました。 2009年5月、ユニセフはNGO、公民機関と共に「沈黙は容認である」をスローガンにした全国児童ポルノ啓発キャンペーンをスタートしました。一般の人々に、「子ども最優先」を児童ポルノ禁止法の成立を通じて推し進めるよう政策決定者に求めることを訴えました。このキャンペーンを通じて集められた児童ポルノ禁止法の成立を求める数千人の署名と共に要望書が提出され、マニラでは大規模な集会が開かれました。 「児童ポルノは子どもの虐待行為です。子どもたちをポルノの被写体とすることは、子どもの権利の重大な侵害行為です。児童ポルノ禁止法の実現は、子どもを守り、より深刻化するこの問題を防ぐために行ってきた活動の大きな成果です。」ユニセフ・フィリピン事務所のバネッサ・トビン代表はこのように話しました。 |