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フィリピン:長期的ニーズを見据えて−洪水被災地で展開される支援活動【2011年10月7日 フィリピン発】
フィリピン中部のカルンピット町が洪水に襲われたのは、ルエナードちゃんが生まれてわずか10日目のことでした。この洪水は、ルエナードちゃんの生まれ故郷に深刻な傷跡を残しました。 ルエナードちゃんの両親は、赤ちゃんと自分たちのほんのわずかな衣服だけは何とか掴んで逃げることが出来ましたが、家財道具の大部分は、淀んだ水の下に沈んでしまいました。ルエナードちゃん一家は、今、約100世帯の人々と一緒に、ブルカン総合スポーツ体育館に避難しています。 「家族が全員無事でよかったです。でも、全てを失ってしまいました。」「私は、建設作業員ですが、仕事道具も全て失ったので、この先が心配です。」ルエナードちゃんの父親のギルバートさん(27歳)はこう話しました。 一日も早く家に帰りたいこの地域は、立て続けに発生した二つの台風による洪水の影響で、死者90名と、それを上回る数の行方不明者を出す被害を受けました。住民の多くが、水位の上昇により、避難所への避難を余儀なくされましたが、2階建て以上の自宅を持つ人の中には、家に留まることを選択した人もいました。 現在、避難所には、食糧や飲料水、清潔な衛生施設(トイレ)といった基礎的なサービスが提供されています。しかし、ギルバートさんは、一刻も早く家に戻りたいと考えています。 「昨日、家を見に行きました。水は、膝の高さまで引いていました」と、ギルバートさんは明るく話しました。「あと2、3日の間に家に戻って、元の生活を取り戻す準備を始められるといいのですが。」 感染症の危機ユニセフは、3,000を超える数の水と衛生支援キットを、中部ルソン地域のブラカン、パンパンガの被災地域で配布しました。この衛生支援キットには、石けんや歯磨き粉、バケツなどをはじめ、特に子どもたちの間で感染症が流行することを防ぐために重要な支援物資が含まれています。また、水支援キットの中には、浄水剤が含まれているため、被災者の方々は、いつでも安心して飲料水を利用することができます。 被災地を訪れたユニセフ・フィリピン事務所のバネッサ・トビン代表は、政府の救援活動はうまく機能しているが、保健分野での支援に懸念があると話します。「洪水が運んできた汚水が、広範囲に広がり、そこここに様々な危険が潜んでいる状態です。」「特に幼い子どもたちは、デング熱や下痢性疾患などの感染症の大きな危険にさらされているのです。」 ユニセフ・フィリピン事務所のティム・グリーブ水と衛生事業担当部長は、ユニセフが支援している衛生キットの重要性を強調しました。「衛生キットは命を守ります。」「被災地で、手を洗ったり身体を洗ったりするための石けんを提供することは、下痢性疾患や感染症のリスクを低減するために必要不可欠です。こうした支援が、幼い子どもたちの命を守るのです。」 ユニセフの支援洪水が引きはじめる中、人々は、自宅に戻って生活を立て直そうとし始めています。しかしながら、大部分が農村地帯の被災地で、畑や水耕栽培の作物は、ほぼ壊滅状態となっています。被災地の人々が自立できるようになるまで、長期的な支援が必要です。 ユニセフは、被災地の人々が、将来的にも気候変動や悪天候の破壊的な影響から身を守り、被害を最小限に食い止められるよう、将来の災害に備えるための支援活動も行っています。 |