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フィリピン: 台風24号−被災地入りしたスタッフからの報告【2012年12月12日 フィリピン・ミンダナオ発】
大型の台風24号(現地名「パブロ」・国際名「ボファ」)が、フィリピン南部に上陸してから1週間が経過。12月12日現在、この台風で被災した子どもの数は、約230万人に上っています。最も被害の大きかった4つの地域の被害状況を確認するため、フィリピン政府と各国連機関が編成した合同支援チームに参加しているユニセフの現地スタッフからの報告です。 壊滅的な状況私は、第11地方区の担当となり、今朝、ダバオ市を経由してこちらに到着しました。車で7時間かけて、9万人以上が被災した東ダバオ州のバガンガ、ボストン、カティールへ向かいました。被災地に近づくにつれ、東ダバオ州がほとんど壊滅的な状況であることが明らかになっていきました。重量が軽い材料で建てられた家屋は、最大風速が時速195キロに達した暴風雨をしのぐことはできませんでした。 午前10時近く、東ダバオ州に到着。すぐに、被害が壊滅的な状況が目に入ってきました。壁も屋根も吹き飛ばされ倒壊した学校や行政庁舎。電線は切れ、上水道は崩壊。作物も台無しになってしまいました。見渡す限り、壊滅的な被害が広がっていました。あまりにも信じられないような光景だったので、状況を受け入れることは容易なことではありませんでした。
被災した方々は、仮設の避難所やテントで生活されていました。コンクリートで作られた公共施設や学校でさえ損壊している状況です。でも、こうした中でも、子どもたちは無邪気に瓦礫の中で遊んでいました。また、道を進んでいくと、家のそばに座っている人や、ぼう然とした様子の人、また、自宅の修繕を既に始めようとしている人もいました。台風が襲った時、近隣の方々が集まったにもかかわらず、その建物自体が崩壊し、避難された方々が生き埋めになってしまった体育館もありました。 電力や通信手段は切断され、被災地へのアクセスも難しい状況です。地元当局は、現在最も必要とされているニーズに対処するべく最善を尽くしていますが、被害は、その対応能力をはるかに凌ぐ規模です。飲料水、食料、避難所、衣類、医薬品、トイレが緊急に求められています。 今、必要な支援スーザン・サルバニアさんは、自宅を失い、カティールから避難してきた被災者の一人です。支援を受けるための被災者としての登録の列に並んでいた彼女は、「清潔な飲料水が今すぐに必要です」サルバニアさんは、絶望に打ちひしがれた声で、そう繰り返しました。彼女の家族は、手押しポンプ式の井戸から水を汲んで利用していたのです。 (上水道が機能していないため)現在、この地域で避難生活を送っている方々にとって、手押しポンプ式の井戸や川から得られる汚れた水が、飲んだり、調理に使ったり、体を洗ったりするために使える唯一のものなのです。また、400世帯以上が、たったひとつの手押し式井戸を利用している地域もあります。こうした中、下痢性疾患に陥っている子どもたちも確認されています。多くの家庭で、父親は、食料を探し回ったり家の修繕をしたりしているため、長時間歩き、長い列に並び、大きな容器に水を汲んで運んでくる重労働は、女性や子どもたちの仕事になっているケースが多く見られています。
ユニセフは、フィリピン政府の要請を受け、首都マニラとミンダナオの二つの事務所のスタッフを総動員して支援活動を展開しています。保健省から求められ、今日(12日)、被災地に届く予定の支援物資には、バケツや飲料水用ポリタンク、石けん、浄水剤などがセットになった緊急飲料水キットが2000セット、また、石けんやタオル、歯磨き粉、生理用品、おむつなど、被災者の健康を確保するための衛生キットも2000セット含まれています。テントや仮設トイレの囲いなどとして活用できる防水シートやキットも送付。重篤な病気や栄養不良の子どもへの医薬品や栄養治療用の支援や、子どもたちの「心のケア」として、日常の感覚を取り戻すために大切な“遊び”を促し、安全な空間を提供するレクリエーションキットや教育用資材の準備も始めています。 ユニセフは、教育、栄養、子どもの保護、水と衛生の分野で緊急に必要な資金として、1,297万米ドルの活動資金を国際社会に要請しています。ユニセフは、長期的視野で、被災した方々が日常の生活を取り戻すための支援に重点を置いています。この活動資金が集まれば、来年も継続して、被災した方々に効果的な支援を展開し、支援物資とサービスを確保することができるのです。 |