メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたち > ストーリーを読む
財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

<ナイロビ/ジュネーヴ/ニューヨーク 2001年8月29日(ユニセフ)>

子ども兵士を家に帰すユニセフの活動
部隊の解散から5か月、3,480名の新たなスタート
<スーダン南部>

ほんの5か月前まで、兵士としてスーダン内戦で戦っていた3,500名近い子どもたちが、新しい生活を始める希望とともに、スーダン南部の家族のもとに帰ってきました。ユニセフおよび支援団体連合は、5か月間の移行期間中に子どもたちのケアを行なってきましたが、数日前に彼らが帰郷したことで、その事業も終了したことになります。

2001年2月、スーダン人民解放軍(SPLA)は3,551名の子ども兵士を解放しました。紛争地帯のバール・エル・ガザルにいた子どもたちのほとんどは、国連の手によって一時的に別の場所に移されていましたが、ようやくもとの村や町に戻ることができました。ただし70名だけは、交通手段がなかったり、情勢が不安定という理由で帰ることができず、サマリタンズ・パースという組織が運営するルンベク近郊のキャンプで生活しています。

ユニセフのキャロル・ベラミー事務局長は、2000年10月にスーダン南部を訪れたとき、子ども兵士の解放をSPLAと約束しました。その約束が果たされたのです。

本日、ベラミー事務局長は次のように語りました。「影響力を持つ人たちが積極的に協力すれば、子どもを兵士にするという恐ろしい行ないをやめさせることができるのです。解放された子どもや若者たちが、心機一転、新しい生活を始められるよう願っています。彼らにはその資格があるのです——そして世界の指導者たちには、たとえ紛争のさなかでも、子どもたちのために行動できる実例を知って励みにしていただきたい。」

ベラミー事務局長はさらにこう付け加えました。「今回の子どもたちは幸運でした。交渉は大変でしたが、解放されることははっきり決まっていたし、WFP(世界食糧計画)の飛行機による子どもたちの移送も異例のことでした。帰還の準備をするためのキャンプに一時子どもたちが滞在したことも、関係者すべてにとって良い結果をもたらしました。WFPをはじめ、支援機関や寄付者、地域の指導者など、この試みを成功に導いてくれたすべての関係者に拍手を贈ります。」

子どもたちの大多数は、6日間のキャンプでの滞在を日曜日に終えて、バール・エル・ガザルの飛行場に向かい、WFPの輸送機に乗りこみました。WFPでスーダン・カントリー・プログラムの責任者を務めるマスード・ハイデル氏は語ります。「画期的なこの作戦に協力できて光栄でした。私たちは子どもたちの帰還をなるべく迅速に、かつスムーズに行えるよう、活動の予定を組みなおしました。家に帰るための飛行機が到着したと聞いた子どもたちの顔には、本当に幸せそうな表情が浮かんでいました。」

飛行場では、大勢の親戚や地域の指導者たちが、子どもたちの到着を出迎えました。家族や保護者が、子どもを責任もって受けいれるという誓約書にサインしました。

「子どもたちはすぐに地域に溶け込みました。」とユニセフ子ども保護官のウシャリ・マモッド氏は語ります。「地域の指導者との協力を密接に行ったことが効果をあげました。スーダン南部のこの地域では、秩序だった社会階層制があり、どの家のこともみんなよく知っています。我々はそうしたシステムを利用して、子どもたちができるだけ早く家に帰れるよう活動しました」

12歳のピーター・マウィエンは、いとこや叔父、叔母たちから温かく出迎えられて家に帰りました。そしてみんなから、腕や脚、顔を灰でこすられました。これは邪悪な霊を追いはらうための儀式です。ひとしきり歓迎を受けたピーターは、こんな風に話しています。「家に戻ることができて、とてもうれしいし、幸せだよ。とても長い間留守にしていたから……今度はペンを持って学校で勉強したい。教育を受けないことには、僕の未来もないんだ」

ユニセフと、国際救援委員会、レダ・バーネン、セーブ・ザ・チルドレンUKなどの協力機関は、帰還したことが子どもたちにとって良い方向に働くよう、地域の状況改善にも努力しています。こうした地域の教育、保健、水道関連の事業に資源が投入されており、ユニセフは臨時教室や保健クリニックを開設するために、90基の大型テントを発注しました。これらのテントは、いちばん必要とされる場所に設置されます。また地域で活動する協力機関も、家庭に戻った子どもたちがケアされているかどうか、追跡調査を実施しています。

キャンプにいる間、教育のある72名の若者は小学校の補助教員になる訓練を受けました。また水道ポンプの修理技術や、食用作物の栽培を学んだ者も40名にのぼります。衛生状態を改善し、HIV/エイズの知識を高めるための特別講習でも、約90名が学びました。

スーダン南部におけるユニセフの活動を統括するシャラード・サプラ博士は、まだやるべきことはたくさんあると語ります。「これで終わりではありません。今後は、子どもたちが戻っていった地域社会の支援に力を入れる必要があります。全体的な状況を改善するだけでなく、子どもたちが再び兵隊にとられないようにしなければなりません。それにSPLAでは、今も4,000人の子どもが解放を待っています。今回の経験から学んだことを活かして、その子たちも家に帰す努力を始めるべきです」

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る