保健システムの強化ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ (UHC)に向けて
コミュニティの保健センターで破傷風の予防接種を受け、マラリア予防蚊帳を受け取る母親。アンゴラ © UNICEF/ ANGA2015-0408/Marcin Suder
コミュニティの保健センターで破傷風の予防接種を受け、マラリア予防蚊帳を受け取る母親。アンゴラ © UNICEF/ ANGA2015-0408/Marcin Suder
上の写真は、アンゴラのある村の保健センターで、子どもの健診を行い、破傷風の予防接種を受け、マラリア予防蚊帳を受け取っている母子の写真です。
こうした基礎保健サービスを、すべての人々が、必要な時に、負担可能な費用で受けられるようにする(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:UHC)には、予防接種が必要な子どもやお母さんがどこに何人いるかや、マラリア予防蚊帳の配布状況、住民の近くに基礎保健サービスを受けられるクリニックや医療・保健スタッフがきちんと配備され質の高い保健サービスを提供できているか、そしてそれを住民が利用しているか、といったタイムリーな保健データ・情報のシステムが必要です。また、こうした保健データ(エビデンス)に基づいて、国や地域レベルで保健制度を設計し(予算配分を含む)、取るべき保健施策・政策を立て、その効果測定を行い、最終的には国・地域レベルへのスケールアップを進めていくことが、持続可能な保健システムには必要です。
また、必要な場所に必要な数の必須医薬品やワクチン、医療保健資材を供給できるようにするサプライ・チェーン(ワクチンのコールドチェーンを含む)を構築・強化する必要があります。
さらに、こうした保健データやサプライチェーンが効果的に機能するためには、これを管理・運用する保健従事者(行政を含む)の能力強化(キャパシティ・ビルディング)も欠かせません。
このように、保健システムの強化は、SDG3.8の目標であるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの基盤となるものです。
本プロジェクトでは、援助に依存する保健システムから、持続可能で自律的な保健システムへの移行を促すことを目指します。
本プロジェクトの目的は、下記3つの面から持続可能な形で保健システムを強化することです。
© UNICEF/UNI148585/Vassie
© UNICEF/UN070232/Hatcher-Moore
© UNICEF/UNI126130/Barongo
アンゴラ、ギニア、トーゴの3カ国
これらの国の保健指標(子どもの死亡率など)はこれまで最下位レベルにありましたが、近年、保健指標の前進はめざましく、これらの国の政府のコミットメントも高くなっています。それゆえ、保健システムの強化により、こうした前進やコミットメントを後押しすることは、タイムリーであり公平性の観点からも重要です。
160万人の乳幼児と424,000人の妊婦を含む850万人の人々の命と健康を守ることを目指します。
アンゴラの受益者数(目標) | ||||||
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受益者 | 行政単位 | 数 | 人口 | 妊婦の人口 | 5歳未満児の人口 | 1歳未満児の人口 |
直接 | 地域の行政区 | 15 | 6,818,757 | 350,143 | 1,351,554 | 293,206 |
間接 | 州 | 4 | 11,168,743 | 573,515 | 2,450,054 | 480,256 |
ギニアの受益者数(目標) | ||||||
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受益者 | 行政単位 | 数 | 人口 | 妊婦の人口 | 5歳未満児の人口 | 1歳未満児の人口 |
直接 | 地域の行政区 | 10 | 241,171 | 9,646 | 41,000 | 8,440 |
間接 | 郡 / 県 | 9 | 2,549,888 | 101,995 | 433,480 | 89,246 |
トーゴの受益者数(目標) | ||||||
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受益者 | 行政単位 | 数 | 人口 | 妊婦の人口 | 5歳未満児の人口 | 1歳未満児の人口 |
直接 | 2州内の地域の行政区 | 203 | 1,457,000 | 65,000 | 255,000 | 60,000 |
間接* | 2州内の地域の行政区 | 12 | 418,000 | 18,800 | 73,100 | 17,300 |
*トーゴでの「間接」の受益者数の中には「直接」の受益者数は含まれません。
アンゴラ、ギニア、トーゴは、持続可能な保健システムの実現に向けて大きく前進しました。
プロジェクト開始当初、これらの3か国は保健システム強化に関する明確なビジョンを持っていませんでしたが、現在は、複数年にわたる戦略計画を策定し、保健システム強化に向けた年間作業計画を運用しています。
アンゴラでは、保健省が国の保健管理情報システムの主要プラットフォームとしてDHIS2を採用しました。また、プロジェクト対象地域で意思決定の際にこのシステムが使われる割合は、2019年の51.6%から2023年には84%に上昇しました。これは、このプロジェクトが、母子はもちろん地域の全人口(601万人)に恩恵をもたらしていることを示しています。
ギニアでは、プロジェクト対象地域のすべての保健センターで、5歳未満の子どもの命を守る必須医薬品がいつでも手に入るようになりました。
トーゴでは、コミュニティヘルスワーカーによって収集されたデータが国の保健管理情報システムを通じて保健施設のデータ、さらには地域のデータに統合され、リアルタイムで状況を把握するためのシステムが確立されました。
2023年10月までに、プロジェクト対象地域に暮らすすべての妊産婦と5歳未満の子どもたちが、こうした質の高い保健サービスへのアクセス改善の恩恵を受けています。その数は、3か国で190万人にのぼります。
プロジェクト対象地の母子人口に基づく受益者数(2023年10月時点) | ||||||
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妊産婦 | 子ども (0~11か月) |
子ども (12~59か月) |
合計 | |||
アンゴラ | 307,433 | 257,441 | 861,004 | 1,425,878 | ||
ギニア | 12,731 | 19,017 | 55,886 | 87,634 | ||
トーゴ | 60,439 | 67,790 | 275,245 | 403,474 | ||
合計 | 380,603 | 344,248 | 1,192,135 | 1,916,986 |
【動画】ユニセフと武田薬品工業株式会社による「サハラ以南のアフリカでの保健システム強化プログラム」
武田薬品工業株式会社の支援により、すべての人が医療を受けられる未来に向けて、一歩前進することができました。