「子どもの権利」についての学習サイトへようこそ!
みんなは「子どもの権利」や「子どもの権利条約」について聞いたことはあるかな?
このサイトには、みんなが心も体も元気に、
そしてもって生まれた可能性を伸ばしながら育っていくために
ぜひ知ってもらいたい、とても大切なことが書いてあるよ。一緒に学んでいこう!
レッスン1
「人権」と
「子どもの権利」
「人権」って何だろう?
まず最初に「人権」について考えてみよう。「人権」という言葉を聞いたことはある?人はみんな、生まれながらに「基本的人権」をもっているよ。つまり、「人としての尊厳や価値が守られ、幸せに生きるために必要な権利」をすべての人がもっているんだ。おとなにも子どもにも、先生にも児童にも生徒にも、保護者やおうちの人にも、地域の人にも、広い世界のあらゆる人びと、みんなに人権があるんだよ。そして、「人権」はすべての人にとって守られなければいけない大切なもの。
「子どもの権利」ってどんなもの?
では、「子どもの権利」って何だろう…?
子どもがもっている権利っておとなと同じかな? それだけで十分…?
子どもが人間らしく幸せに生きられ、
そして元気に成長できるためには、何が必要だろう?
そこから考えてみよう。
みんなは何が必要だと思う?
下のボタンをクリックしてみよう!
食べ物や水、着るものや安全にくらせる家、くすりや病院…。子どももおとなも人が生きていくためには欠かせないものがたくさんあるね。
そして、日々成長している子どもたちが心も体も健やかに大きくなっていくためには、子どもだからこそ必要なこともいろいろある。たとえば、教育を受けられること。友達と遊んだり、きちんと休んだりする時間があること。まわりのおとなに自分の意見や思いを聞いてもらえること。愛情をもって育ててくれる保護者がいること。おとなの保護やサポートを受けられること…。
そうした子どもたちが必要とすることすべてが「子どもの権利」なんだ。
子どもたち一人ひとりがもっている、とても大切な権利だよ。
レッスン2
「子どもの権利条約」
について
すごいな!「子どもの権利条約」
子どもたちのもつさまざまな権利は、「子どもの権利条約」という条約で国際的に守るべきものとして定められているよ。この条約では、18歳未満の人を「子ども」と定めている。世界中のすべての子どもたちが、幸せに健やかに育つためにもっている権利。
そしてさらに、障がいのある子どもや、住むところを追われた難民の子どもなど、特別な保護や配慮が必要な子どもたちの権利も定めているよ。
「子どもの権利条約」を
見てみよう!
- 「子どもの権利条約」では具体的にどんな権利を定めているのか、条約の第1条から第40条をカードで見てみよう!
- 第1~40条を一覧で見ることもできるよ
「子どもの権利条約」の成り立ち
「子どもの権利条約」が誕生したのは1989年のこと。国際連合の総会で、国連に加盟しているすべての国が賛成して成立した。その後、たくさんの国がこの条約を批准して ※ 、今では196の国と地域がこの条約に入っている。世界でもっとも広まった人権条約になっているんだ。
- 「子どもの権利条約」に入っている
国の一覧を見ることができるよ
日本の子どもたちにとっても
大切な条約!
日本はこの条約に入っているのかな?
答えは「YES」!
1994年にこの条約を批准しているよ。つまり、日本の政府が、
「『子どもの権利条約』で定められている子どもたちの権利を守ります」と約束したということ。
だから、日本の子どもたちにとっても、とても大切な条約なんだ!
条約に入れば「子どもの権利」が守られるの?
条約に入ることは「子どもの権利」を守る重要な第一歩。でも条約に入っただけで自動的に子どもたちの権利が守られるわけではない。条約に入った国の政府や、その国の子どもたちに関わるすべての人びとが、この条約を理解して、日々、子どもたちの権利を推進するために努力を重ね、子どもたちの権利をきちんと守れているかを考えていく必要があるんだ。
そして、子どもたち自身が、自分のもつ「子どもの権利」について知ることも、権利が守られた社会で健やかに成長できるためには、とても大事なことなんだ。
条約に入った国は、どうやって
「子どもの権利」を守っていくんだろう?
「子どもの権利条約」に入った国の政府は、条約に書かれた権利を守るために、国の法律を整えたり、政策を考え実行したりしていくよ。
そして、子どもたちの権利をどのように実現し守っているか、定期的に「国連子どもの権利委員会」とよばれる、国連の専門委員会に報告書を出す。その時には、政府からの報告書だけでなく、ユニセフや子どもに関わるNGOなど、そして子どもたち自身も報告をすることができるんだよ。
「子どもの権利委員会」は、それらの報告書を読んで、その国の努力を評価したり、もっと子どもの権利を守るためにはどのような取り組みを進めるべきか、政府に勧告(アドバイス)を出すんだ。
コラム
「子どもの権利条約」ができるまでには、たくさんの人の努力や犠牲があった。特に、19世紀末から20世紀前半を生きたヤヌシュ・コルチャックという人は「子どもの権利条約の父」と呼ばれているよ。子どもたちに人権があるなんて考えられていなかった時代に、子どもの権利について唱え、生涯を子どもたちのためにささげたコルチャック先生。どんな人だったんだろう?
「子どもの権利条約」の父
コルチャック先生
ヤヌシュ・コルチャック先生(1878-1942)は、ユダヤ系ポーランド人のお医者さんで、作家で、そして孤児院の院長先生でした。先生の孤児院は、子どもたちによる自治で運営されていました。子どものことは子どもたちが意見を出し合って決めたり、解決したりしていたのです。先生は、一人ひとりの子どもの権利を大切にする教育を30年にわたって実践しました。当時、それはとても新しくて、めずらしいことでした。
第二次世界大戦が起こり、ナチスによるユダヤ人のはく害、そしてガス室への移送が始まります。コルチャック先生と子どもたちも、とうとう強制収容所へ送られることになってしまいました。列車に乗せられた直後、「特赦だ!
先生は列車から降りてください」という声が。コルチャック先生は、多くの人の嘆願のもと、それまでの功績が認められて収容所送りを免除されたのです。しかし、先生は「子どもたちを先に降ろしてくれ」と言い、自分だけ列車から降りることはありませんでした。コルチャック先生と200人の子どもたちは運命をともにし、トレブリンカ収容所のガス室で亡くなったと考えられています。
「子どもの権利条約」の草案は、1978年にポーランド政府から提出されました。そこに込められた思いは、コルチャック先生や戦争で犠牲になった多くの子どもたちから受けつがれたものでもあったのです。
国連でも、子どもの権利を推進するためにこれまでにもさまざまな動きがあったよ。
年表で見てみよう。
レッスン3
ユニセフと
「子どもの権利条約」
ユニセフは、「子どもの権利条約」をつくる過程にも、
またこの条約を広めることにも広く関わっているよ。
そして何より、「子どもの権利条約」は世界中で行われるユニセフの活動の基盤となっている。
ユニセフは、すべての子どもの権利を実現するために、
子どもたちの幸せと健やかな成長を願いながら、世界中で活動しているんだ。
ユニセフがその活動の計画を
立てるときには、
次のことがらを
特に考えているよ。
子どもたちの命を守ること、そして
心と体の健やかな成長を助けることが、
あらゆる活動の基本であること。
住んでいる地域や性別、年齢、宗教、
国籍など、いかなる理由であっても
決して差別がないこと。
子どもにとって最もよいことは何かを
常に考えて行動すること。
子どもたちの意見や考えに耳をかたむけ、
さまざま場面で子どもたちが
参加できるようにすること。