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財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

「Child Participation」プロジェクト企画、実行を通じて

氏名:松本 麻美
派遣先:ユニセフガーナ事務所(Child Participation)
派遣期間:2008年6月〜9月

© Olivier Asselin

私が与えられた業務は、ユニセフガーナ国家プログラムの中間評価の一環として、Child Participation(子どもの参加)を取り入れる、というプロジェクトの企画、実施です。今回は通常の分析手法に加え、プログラム受益者である子どもたち自身の視点から、彼らが見ている社会問題を語ってもらい、更には子どもたちならではの解決策の提案もしてもらう、という新しい評価方法を取り入れることが決定されました。

このように子どもを一方的に「受け身」の存在としてとらえるのではなく、開発プログラムの評価、企画などに共に関わることをChild Participationといいます。Child Participationは、子どもの表現の権利を保証するために必要な要素であるとして、ユニセフで近年特に重点をおいているコンセプトです。また様々な研究や実践を通じて、Child Participationは子どもたち自身の健康と発達につながることや、子どもたちが共に参加したプログラムは、より現状を反映した効果的なプログラムになるということも明らかにされています。

様々な話し合いや調査の結果、最終的にガーナの子どもたち100人を呼んで、彼らにディスカッションをしてもらう、というイベントを企画することになりました。子ども省の方や、アドボカシー活動としてラジオ番組を運営している子ども中心のNGOや、現地のChild Participationコンサルタントなど、様々な方と協力することで、イベントを実施することが出来ました。

このイベントによって通常の分析方法では明らかにされることがなかった、ガーナの子どもたちが直面している問題がいくつも明らかにされました。また、当初は子どもの声を聞く、ということに懐疑的だったユニセフスタッフもChild Participationの重要性に気づき始めるということにもつながりました。

このインターンを通じて私は、ユニセフがより子どもたちのニーズに即した、より良いプログラムを提供しようと、常に改善を目指しているという姿勢に非常に感銘を受けました。またそのような改善が実現できるだけの「力」ー資金、ユニセフパートナー団体(政府、NGO、民間)との強い信頼関係、能力と情熱あるスタッフ等ーが、ユニセフには存在しているのだということを実感しました。

このように大きな可能性を持っているユニセフという機関で、自分自身も最大限貢献できるよう、これから一歩一歩、国際開発の道を進んで行きたいと思います。

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インドにおけるHIV/AIDS

氏名:位田 和美
派遣先:インド・デリー事務所(HIV/AIDS Section)
派遣期間:2008年7月〜9月

インドと聞くと、近年、IT産業をはじめとする経済成長には目を見張るものがあり、日本のビジネス界でも注目を集めている国のひとつではないでしょうか。しかしながら、巨大な人口を有するインドは、世界でも有数のHIV感染・エイズ患者の多い国でもあるのです。成人人口のHIV感染率は0.36%と比較的低いながら、2007年には、HIV感染者・エイズ患者数は220〜300万人いると見積もられています。そのうち、4%である94,000人の子どもたち(15歳未満)がHIVに感染しており、母子感染も年間24,000件報告されています。さらには、青少年間、および村落部でのHIV感染が増えてきています。

そこで、UNICEFインド事務所では、NACO(国家エイズ管理機構)や他のパートナーと共に、HIVエイズ予防活動を強化するべく、県エイズ予防管理ユニットの設立を支援しています。UNICEFとしては、HIVエイズの4重点分野である(1)母子感染予防、(2)幼児エイズ治療、(3)一次予防、(4)エイズ孤児等の保護・ケア・サポートを核に、4つの戦略①プログラムマネジメント強化、②BCC(行動変容コミュニケーション)、③保健システム強化および他のシステムとの統合、④アドボカシーを軸としてインド各地方でのプロジェクトを展開しています。

3ヶ月間のインターンシップを通して、この県エイズ予防管理ユニットの設立および機能強化を支援すべく、県レベルでのHIVエイズプロジェクトのオペレーションガイド作成、高リスク地域を把握するための村落マッピングに関する質的調査手法への技術的アドバイス、モニタリング評価指標の選定支援を担当しました。また、Programme Communication Sectionと協同で、エイズ予防啓発活動に使われた教材をウェブサイトにアップデートし、開発教材を共有するIEC Warehouseの充実を支援したりもしました。

期間中、二度フィールドトリップに行かせていただきましたが、それぞれ、行政レベル、コミュニティレベルで本プロジェクトがどのような進捗にあるのか、県レベルでのエイズ予防に関してどのような課題があるのか、を学びました。特に、ピュアエデュケーターが研修の前後で性に関する知識・意識が変わったことを知れたこと、彼らの啓発活動へのモチベーションの高さに触れられたことは、日常カントリーオフィスの机に向かっていた私にとって、各タスクの意義を感じられた貴重な体験でした。 現在は、JPOとしてUNICEFチャド事務所で水と衛生のプロジェクトに関わっていますが、インド事務所のインターンシップで得たネットワークを活かして、ますます勉強し、少しでも子どもの状況改善に努めていきたいと思います。

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Sala kahle−皆が元気でいられますように

氏名:坂井 馨月
派遣先:南アフリカ事務所(Education Section)
派遣期間:2008年5月〜8月

南アフリカには、世界最多のHIV感染者・エイズ患者(570万人)が暮らし、女子(15歳から24歳)は世界で2番目に高いHIV感染率(18.3%)を記録しています。南アフリカ教育省と保健省はこれまで、UNICEFやUNAIDSと共同で、数々のエイズ予防プログラムを、教育を通して思春期の子供たちに教えてきました。しかしながら、これらの効果は過去10年ほど、ほとんど見られていないといっても過言ではありません。

私は3ヶ月半のインターンシップを通じて、現在南アフリカの学校で実施されている思春期の子どもたち(特に女子)を対象にしたエイズ予防プログラムの分析をしました。

南アフリカの一般教育では、ライフオリエンテーションという道徳に似た科目が高校まで必修になっています。HIV感染や男女のコミュニケーションスキルなどを学び、エイズに対する差別や男女の平等について討論するものです。私は教育省ジェンダー部門の指導のもと、 高校生たちのHIV感染知識、エイズ予防プログラムの効果、そして知識とプログラムで学んだ新しいスキルの持続性の3点の質に関する分析を行いました。2回のフィールドトリップでは、リンポポ州とノースウェスト州で小規模グループの論議(フォーカスグループデスカッション)とインタビューを実施しました。結果、高校生たちのエイズに対する基礎知識は高いものの、知識から実際に自分の体を守るための行動へは移っていないことが分かりました。コンドームに対する汚名や低使用率、飲酒や麻薬の使用、低年齢での性行為などが問題として浮かび上がりました。これらの行為がHIV感染率を高めることは過去の研究でも立証されています。

そこで、この結果をもとに、南アフリカの思春期の子供たちに向けたHIV感染防止プログラムの新たな構成を提示しました。第1にUNICEF南アフリカオフィスでのエイズ防止、処置、介護のプログラム作成(このような総合プログラムが教育現場だけでなく、HIV感染リスクの高い、学校に行けない子供たちに対しても実施されることは必要不可欠です。)、第2に行動変化モデルを促進させるプログラムの導入、そして第3に社会疫学( ポピュレーションアプローチ )を使用した研究のサポートです。

インターンシップ中には東南アフリカ教育ネットワーキング会議、2010年サッカーワールドカップに向けてのエイズ予防会議、JICA Health sectionとの会議などにも参加させていただき、広範囲でUNICEFの仕事を体験することができました。

思春期の子どもたちのエイズ予防教育については、様々な公共機関、国連機関、そして非営利団体が協力して、統合的に対策を講じていくことが大事です。私自身、今回の経験を活かして、この対策に貢献できるように、公衆衛生・国際保健という広範な分野における専門性をもっと身につけて、将来、また子どもたちのために仕事がしたいと思っています。最後になりますが、南アフリカオフィス、東南アフリカ地域事務所の方々、そして日本ユニセフ協会のみなさまに、このような素晴らしい機会を与えてくださったことを心より感謝いたします。世界中の子どもたちがいつまでも笑顔で元気に暮らせる日が来ることを願って。
(Sala kahle - 南アフリカ・ズールー語で、皆が元気でいられますように)

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