J8 サミット 2008年7月6日 北海道千歳市
私たちは、バルバドス、カナダ、コートジボアール、フランス、ドイツ、イラク、イタリア、日本、キルギス、モンゴル、ネパール、ロシア、南アフリカ、英国、アメリカ合衆国から集まったJ8サミットの代表39名です。G8首脳の皆さまには、若者の声を聞く義務があると私たちは信じています。若者の意見が無視されることなく、過去のJ8宣言およびこの宣言が行動に移されることを強く望みます。同時に、若者が共に問題に取り組めるよう、私たちもG8政府に続いて行動しなくてはなりません。私たちの考えを「今」実行し、未来へ引き継いでいこうと考えます。
国際条約:私たちは京都議定書に続く国際条約が必要だと考えます。すべての国を含む条約を制定し、温室効果ガス排出量削減目標を達成するための厳格かつ現実的なガイドラインをG8が提示することを強く要請します。また、この条約に関与するすべての国に優遇措置を与え、短期および長期の連続的な目標を掲げ、枠組みを改正して公約の実現を確約するよう求めます。
技術開発:エネルギー効率、廃棄物管理、梱包方法、製品組成などを指標とする「グリーン・インデックス(グリーン指数)」に基づいて製品を評価する国際機関を設立する必要があります。この指数により認定された「グリーン」製品にはラベルを付け、消費者の意識を高めます。またこれらの製品が価格的にも競争力のあるものにするために、政府の補助金を得られるようにします。これはG8各国の自由市場的性質を利用して技術の発展を促すことにつながります。
代替エネルギー:G8各国は、エネルギーの一部を代替エネルギー資源から得るようにするべきです。国際的な協力関係を強化し、共同研究を推進しながら、現在の代替エネルギーの効率を改善し、新たな選択肢を開発していかなければなりません。
環境問題に取り組む子どもと若者:政府は学校および社会におけるピア・エデュケーション(仲間同士で教え、学び合う教育)を支援し、子どもや若者が気候変動の問題に取り組み、CO2排出量の少ない生活を過ごすように促していく必要があります。またこのような活動を普及するためには、子どもにもわかりやすい言葉でその内容を伝えていかなくてはなりません。
子どもの基本的権利:G8各国が、子どもの権利、特に女の子の権利を推進するという公約をあらためて表明することを求めます。G8の国々はすべて「国連子どもの権利条約(UNCRC)」を批准し、G8国内だけでなくG8以外の国々でもこれらの権利が守られていることを保証するべきです。G8各国の国民総所得(GNI)の0.7%を政府開発援助に当てるという公約を尊重し、途上国が基本的人権、特にミレニアム開発目標に掲げられている権利を、人々に確実に与えられるようにしなければなりません。
援助と資金の責任:G8首脳は、タイド援助(ひも付き援助)を禁止する宣言に署名し、政治的要素を含まない援助を推進するべきです。タイド援助は国の自主的な発展を妨げるだけでなく、資金が実際の目的以外に流用されるため経済発展をも妨げます。この宣言は、援助金が効果的に使われていることを確認するために援助供与国の介入を認めます。しかし資金援助はG8各国それぞれの政治的利益のためではなく、供与国および受入国の共通の利益のためであることを保証します。つまり援助受入国の政府に対する責任だけでなく、援助を必要としている人々すべてに対する責任を与えることになります。また、私たちは途上国の債務を帳消しにする必要性も強調します。
経済インフラ:インフラの整備は、経済成長および発展にとって不可欠です。だからこそG8政府は、アフリカやその他の途上国のインフラを構築するという社会的責任を果たしている企業に対して、補助金などによる優遇を進めていくべきです。インフラの建設や現地労働者の研修プログラムの促進を企業に負わせることにより、持続的なインフラの拡大と現地管理の発展につながる重要な一歩を踏み出すことができます。
紛争解決:安定は発展の基盤です。非差別的な法律の採択、またアフリカをはじめとする途上国の紛争解決を、G8政府が教育とメディアを通じて推進するよう求めます。紛争に苦しむ地域の安定のため、G8各国は復興と保護に尽力するべきです。特に女性と子どもが助けを必要としています。
貧困との闘いに取り組む子どもと若者:G8各国は、引き続き若者の国際参加を促すべきだと考えます。先進国と途上国の若者が集まるフォーラムを開催し、定期的な話し合いの場を提供する必要があります。このフォーラムでは、若者に影響を及ぼす問題について話し合い、解決策を打ち出していきます。直接的また間接的に影響する問題についての若者の考えを、各国首脳はこのフォーラムを通じて知ることができます。また、若者同士が国際的なつながりを築くことにより、世界に対する理解と思いやりの気持ちを深めることができるようになります。
保健教育:G8政府は、病気の予防、栄養、衛生、世界規模の性教育などのプログラムを含む教育構想を支援するべきです。女性と女の子のための特別プログラム、同時に男性と男の子のためのジェンダーの平等に関する教育の推進も必要です。人々が保健教育を受けたり避妊具を入手するのを、政府が禁止することはできません。また人々が避妊具やその他の必要な物資を無料で入手できるように教育を支援しなければなりません。
医薬品の特許:G8政府は製薬会社から特許を買い取り、低価格の医薬品の製造に積極的な会社へ再販売するべきです。その結果、生命を救う医薬品の低価格化が加速し、より安い後発医薬品やワクチンの製造費用を相殺することが可能になります。低価格の医薬品が普及すれば、HIV/エイズを含む感染症の治療と予防を、特に途上国において促進することができます。企業の協力をさらに奨励するため、G8政府がこれらの会社を承認することを望みます。
保健医療助成金:G8政府は、途上国政府より提示された保健医療資金に見合う助成金を提供するべきです。この資金は保健員の能力向上のため、また基本的な保健医療パッケージを配布するために利用されます。このパッケージには、現地の言葉で書かれた各種資料、浄水用の錠剤、農村地域へのマラリア予防の蚊帳などが含まれます。目的外の利用を防ぐため、この助成金は期限付きとします。
国際保健に取り組む子どもと若者:G8各国は、国際保健問題の大使に若者を任命する組織や活動の支援をするべきです。さらに、若者主導の活動やイベントを推進するよう求めます。
私たちの考えた解決策を実行するには、皆さまの支援と奨励が必要です。この宣言で私たちが提示した課題の相互関連性、また迅速に行動に移すことの重要性を認識してもらえたことを望みます。よりよい世界の実現に向けて、私たち一人一人が担わなければならない役割があります。その役割を確認するために、この宣言を補完するアクションプランを提示します。
若者の考えを、言葉ではなく「行動」で実現していきましょう。
■ J8 千歳宣言をダウンロードする
英語版PDF(102KB) 日本語版PDF(145KB)
J8 サミット 2008年7月7日 北海道千歳市
私たちはJ8の代表として、千歳宣言のフォローアップをすることが重要だと信じます。宣言の内容に取り組むための最も重要なアクションは、問題意識を高めること、そしてこれらのグローバルな問題についての教育基準を社会の中で高めていくことだと提案します。若者は、人々にアクションをおこさせるために革新的かつ創造的な方法をとっていかなくてはなりません。若者はグローバルな問題に関心を持っています。だから政府は若者の意見に関心を持たなくてはなりません。これこそが私たち若者の権利です。
私たちの考えは以下のとおりです。
国際条約:現在利用が可能な様々なメディアを使って、若者は団結しなければなりません。例えばソーシャル・ネットワーキング・サイトを通じてつながりを保ち、インターネット上で意見の交換や共有をすることができます。またJ8代表はニュースレターを年4回発行し、個人のアクションの詳細を報告していきます。このニュースレターは、J8の知名度が高まることによってさらに活発になり、より広範なメディアに届くことを期待しています。
技術開発:政府がとるアクションについて、若者は積極的に関心を持ち、役割を担っていく必要があります。これは、若者主導の組織や団体に参加し、最新の課題について常に情報を把握していくことで実現できます。また私たちが最大限の能力を発揮することで、未来に変化を与えられるということも確認できます。このような組織は、効果的なアクションを実行するため、また考えをより多くの人に聞いてもらうため、若者が一丸となって取り組んでいかなくはなりません。
代替エネルギー:若者が学校の内外で、お互いに教育し合うという主導権を持つことがきわめて重要です。政府や年配世代が気候変動の問題にとりくまない場合、若者が立ち向かわなくてはなりません。学校のプログラムは、気候変動と地球温暖化をくい止める重要性を、教育を受けている年上の生徒からより若い世代へ伝えていくという方法をとるべきです。
環境問題に取り組む子どもと若者:より効果的な技術を見つけるための手伝いを若者がするべきです。進歩を確認するために、学校や組織間でのコンテストを奨励するのもひとつの方法です。このコンテストは、例えばグリーン技術を作り出したり、より効果的な指導方法を見つけ出すなどの内容が考えられます。
子どもの基本的権利:私たちの提案を完全に実行するには何をしなければならないか、また何がなされてきたかを、J8コミュニティ全体および「ボイス・オブ・ユース(若者の声)」のフォーラムのメンバーが、インターネット上で話し合います。次回のJ8サミットまでの間、無活動を指摘する手紙や嘆願書を3ヵ月ごとに書きかえます。そして次回のJ8でこのアクションプランを更新していきます。
経済インフラ:J8コミュニティは、企業の社会的責任を果たしている会社を支援し奨励します。具体的には、その会社の商品を購入したりサービスを利用すること、仲間に広めること、また社会的責任に対して積極的に貢献している会社のキャンペーンに(ボランティア・宣伝活動を問わず)参加することなどが挙げられます。
紛争解決:「紛争解決」の提案で述べた教育やメディアにより、様々なコミュニティの若者がつながることができます。世界中の若者がブログやソーシャル・ネットワーキング・サイトを通じて「真実の話」を共有できるようになります。言語の障壁は、ファシリテーターが取り除く手伝いをします。このようなメディアを通じて真実の話を読んだ若者には、さらなるアクションを起こそうという気持ちが生まれると考えます。
援助と資金の責任:先進国および途上国の若者は、途上国での援助活動に参加できるよう政府に要請するべきです。援助が透明で効果的であることを確認するためです。このような「若い大使」は、途上国におけるインフラの建設や整備の現場を直接体験し、証人にならなくてはなりません。
貧困との闘いを援助する子どもと若者:私たちの提案の進捗状況を若者が監視する必要があります。このためには、企業や国家の年次報告書を読み、ニュースやメディアに常に注目し、大きな若者のコミュニティと連絡を取り続けなくてはなりません。J8ワークスペースのような場で情報資源を活用しながら、お互いに情報を共有していきます。
保健教育:ソーシャル・ネットワーキング・サイトやワークショップなどの様々な方法を通じて、若者は年齢に応じたライフスキルを送り届けたり、受け取ったり、活用したりすることができます。宗教上のイデオロギーにかかわらず、若者が保健を優先するように奨励することが重要です。
医薬品の特許:若者は、それぞれの国の製薬会社に対して、特許共有プログラムに参加するよう働きかけることができます。また、途上国の若者は組織と一緒に取り組んで、特許の配布の監視を助けたり、低価格の後発医薬品がコミュニティに供給されているかを調査することができます。
保健医療助成金:若者は、学校やコミュニティのプログラムを通じて基金集めに参加し、政府の助成金に貢献することができます。例えば保健医療パッケージのための資金調達をして政府と責任を共有することなどが挙げられます。
国際保健に取り組む子どもと若者:若者は、現地の組織や団体に大使としてボランティアすることができます。これは、創造的な方法によって保健問題の意識を高めることに役立ちます。さらに、ナショナル・テスティング・デー(HIVの全国一斉検査)や保健フェアなどのイベントの運営に参加することで問題に取り組んでいくことができます。
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