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財団法人日本ユニセフ協会




2001年10月4日

アフガン難民の子どもと女性の緊急救援
ユニセフ、国際社会に3600万ドルを要請
「アフガン難民緊急募金」にご支援下さい

 ユニセフ(国連児童基金)は、長引く紛争と干ばつ、アメリカの同時多発テロ事件の影響を受けアフガン国内外で避難生活を送っている子どもと女性に対する緊急援助のため、3600万米ドル(約42億円)の支援を国際社会に要請しました。財団法人日本ユニセフ協会(本部:東京都港区、会長:澄田 智)は、すでに72万米ドルの緊急拠出を行いましたが、引き続きユニセフの緊急援助を支援するため、「アフガン難民緊急募金」の受け付けを行っています。皆様のご支援を宜しくお願い致します。

アフガン難民緊急募金
郵便振替:00110-5-79500
口座名義:財団法人日本ユニセフ協会
(通信欄に「アフガン難民」と明記)
当協会への募金は寄付金控除の対象となります
尚、送金手数料は免除されます。
インターネットからも募金を受け付けています。
(https://www.unicef.or.jp)

◆始動するユニセフの緊急援助

 紛争や同時多発テロの影響で家を追われ、国際的な支援を必要とするアフガニスタンの人々は今後冬にかけて750万人にのぼると見られ、その3分の2が子どもと女性、150万人が5歳未満の子どもです。アフガニスタンでは、テロ事件の発生以前にも子どもの4人に1人が5歳の誕生日を迎える前に命を失っており、子どもにとって困難な状況が更に悪化することが懸念されています。
ユニセフは9月29日、パキスタン国境の町ぺシャワールにあるユニセフの物資倉庫から、アフガニスタン北東部に向けて200トンの援助物資の緊急輸送を開始しました。

 援助物資は、避難生活を送るためのテント、子どもと女性の衣服と靴、生活用品セット(石鹸、毛布、バケツ、やかんなど)、ユニミックス(栄養補助食)など。この他にも、基本的医薬品4トン、子ども7万人分の教材90トン、1万3000冊の教科書が運ばれ、避難生活中の子どもの教育の機会を確保することに努めます。物資の運搬には10トンがトラック19台、山岳地帯では50台から100台の四輪駆動車が使用されます。

 デンマークのコペンハーゲンにあるユニセフ物資センターから9月29日、トルクメニスタンに向けて給水タンク、栄養補助食、テント、毛布、緊急保健キットなどをチャーター機で空輸しました。今後もパキスタンやイランに向けて救援物資の空輸を行い、難民やアフガニスタン国内避難民に対する緊急援助を拡大します。

◆ユニセフの緊急援助計画

ユニセフは他の国連機関と合同で緊急援助を実施し、子どもと女性に対する支援について指導的な役割を果たします。

緊急援助の主な目標:
アフガニスタン内外の避難民・難民の子どもと女性に対して、保健、栄養、水と衛生、教育、心理サポートなどの支援を行う。
暴力、搾取、徴兵など、国際的な人道原則に基づいて子どもの保護とケアを行う。
居住地、民族、宗教、性別に関わらず、子どもに対する人道的援助の安全で継続的な実施を確保する。

実施地域:
アフガニスタン、パキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、イラン

◆緊急援助活動の詳細

1.保健と栄養
 多数の難民、避難民が押し寄せるキャンプでは、はしかや呼吸器感染症の流行が懸念されるため、ユニセフは大規模な予防接種活動を計画しています。予防接種と同時にビタミンAの投与も行い、栄養補助食を配布することで子どもの栄養状態の改善を図ります。また、妊産婦のケアを行うために、保健員の訓練や出産用キットの提供を行います。
ユニセフの援助活動:
はしかの予防接種、ポリオワクチンとビタミンAの投与、保健員の訓練、緊急医療キット・衛生用品・経口補水塩・治療用器具・高たんぱくビスケット・毛布・仮設診療所用テントの提供、母乳育児の推進など。

2.水と衛生
 干ばつの影響で安全な飲み水の確保が困難な中、避難民・難民キャンプ内での安全な飲み水の供給、下痢などの水による病気の予防を行います。トイレの設置と衛生に関する知識の普及もあわせて行います。
ユニセフの援助活動:
井戸やトイレの設置を通じた安全な飲み水と適切な衛生環境の確保、浄水剤・飲料水ケース・石鹸・スコップの提供、衛生に関する知識の普及など。

3.教育と保護
 アフガニスタンやタジキスタンの避難民・難民キャンプを重点に、避難生活中の子どもの教育の実施、別離した家族の再会、精神的に傷を負った子どもの心理ケア、地雷の危険性についての教育を支援します。
ユニセフの援助活動:
レクリエーション活動や仮設教室のための防水テント、教科書・ノート・文房具の入った教育セット、レクリエーション用具セットの提供、避難民キャンプにおける簡易学校の設置、家族と離れた子どもの登録と再会支援、精神的な傷を負った子どものための心理ケアなど。

4.生活支援
 アフガニスタン周辺の厳しい冬の間の避難生活を支援するため、防寒用の衣服、靴、プラスチックシート、毛布、テントなどの提供を行います。
ユニセフの援助活動:
毛布、衣服、靴、プラスチックシート、テント、暖房用燃料の配布。

◆部門別援助予算

部門 予算(米ドル)
生活支援及び避難民キャンプの設営 10,000,000
保健と栄養 10,400,000
水と衛生 7,000,000
教育と保護 3,300,000
輸送、広報、運営等 5,300,000
合計 36,000,000

◆国別情報

1. アフガニスタン
人口2200万人。紛争、干ばつの影響は530万人の住民に及び、その多くが子どもと女性です。この中には100万人の国内避難民が含まれます。今後数ヵ月で、さらに220万人が影響を受けると推測され、100万人近くがパキスタンなど周辺諸国に流出する恐れがあります。

2. パキスタン
人口1億5000万人。パキスタンには、すでにアフガニスタン難民を200万人以上受け入れており、これから予想される新しいアフガン難民の大量流入に対応する必要があります。ユニセフは、イスラマバード、ペシャワール、クエッタなどに事務所を設けています。

3. タジキスタン
人口610万人。タジキスタンには1万5000人のタジキスタン国内避難民とアフガニスタン難民が存在し、干ばつの影響は同国及びアフガン難民の子どもの生活に大きな影響を与えています。保健や教育部門に対する政府の財政不足から、子どもの社会サービスに制約が生じています。

4. イラン
人口6600万人。イランにはすでにアフガニスタンからの難民230万人が流入しており、その5%が難民キャンプに、その他は国内の町や村で避難生活を送っています。アフガニスタンからの難民は昨年だけで20万人増加しており、テロ事件の影響で今後急増することが予想されます。

5. トルクメニスタン
人口440万人。アフガニスタンに国境を接するトルクメニスタンでは人口がまばらであるものの、干ばつの影響が同国の住民に及んでいます。

6. ウズベキスタン
人口2300万人。社会的基盤整備のための政府財政が限られているため、水と衛生、保健、教育、社会福祉の状況が悪化しています。またウズベキスタンは、タジキスタンとともに反タリバーン勢力に政治的、軍事的支援を行っています。