国の再建に向けて努力が続けられているアフガニスタンでは、6月10日〜16日に現在の暫定行政機構に代わる移行政府を決定する緊急ロヤ・ジルガ(国民大会議)が召集されます。今後18ヶ月以内には新憲法制定への作業が開始され、2年以内に行われる選挙によって、国民を代表する新政権が樹立されるなど、新しい国造りへの動きが進みつつあります。
しかしながら、アフガニスタンの多くの人々がいまだ厳しい生活を強いられ、人道支援を必要としていることは変わりません。
帰還する人々への支援が急務
2002年3月以降だけでも、60万人のアフガン難民が隣国のパキスタンやイラン等から帰還し、また国内で避難民として過ごしていた人々16万人が元の町や村に戻ることができました。しかし、いずれも生活物資が不足し、水など生活のための基本サービスが崩壊した環境の中で、生活を建て直すために大きな困難に直面しています。保健の専門家は、難民・避難民の大量帰還が進み始めてから、下痢やその他の病気が増えているとし、保健・衛生面での支援強化の必要性を指摘しています。
大規模な予防接種キャンペーンを実施
ユニセフは、アフガニスタンへの国際的な支援において、特に教育と保健の分野で重要な役割を担っています。保健分野の活動では、子どもたちの栄養改善と予防接種プログラムに最も力を入れており、他機関に先駆けてアフガニスタン保健省に常駐専門家を派遣し、公衆衛生の改善や村落・地域を基盤とした保健対策づくりの支援をしています。
その中でも、2002年4月〜5月にかけて、全国的に大規模な予防接種キャンペーンを展開し、大きな成果をあげました。その対象として特に重要だったのは、帰還する難民の子どもたちでした。2001年に確認された11件のポリオの症例は、いずれも南部〜南東部の国境付近の地域で発見されているため、ポリオウイルスは隣国パキスタンから入ってきたものと考えられたからでした。そこで、今回の予防接種キャンペーンでは、国境地帯に40ヶ所の予防接種所を設け、帰還してくる子どもたちにも予防接種を呼びかけたのです。
こうした工夫と努力の結果、4月16日〜18日の3日間で実施された「全国ポリオ予防接種デー」では約580万人の5歳未満児がポリオの予防接種を受け、続いて5月中に行われた「はしか予防接種キャンペーン」では、約600万人の6ヶ月から12歳の子どもたちが予防接種を受けることができました。これらのキャンペーンには、ユニセフの協力のもと、約4万人のアフガニスタン人が保健委員として、地域のコーディネーターとして、監視役として参加し、予防接種の普及と実施に務めました。アフガニスタン人自身の力が大きなキャンペーンを成功に導いたこと、そしてそこには女性スタッフの姿も多く見られたことは、アフガニスタンの自立への確かな足取りを感じさせました。
日本ユニセフ協会では、引き続きアフガニスタンへのご支援を受けつけています。
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