HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > アフリカ 2002/12/9
財団法人日本ユニセフ協会




UNICEF南部アフリカ緊急情報

概略 干ばつ  大規模な干ばつ、慢性的な栄養不良、HIV/エイズによりアフリカ南部6カ国(ジンバブエ、マラウィ、ザンビア、モザンビーク、スワジランド、レソト)では1400万人が人道支援を必要としています。
 干ばつの影響が深刻なザンビアでは、今年4月に75%だった女子の小学校就学率が9月には17%に、男子は71%から24%にそれぞれ大幅に低下しました。マラウィでは、食糧不足の影響で小学生の1割が20日以上学校に通えなくなるなど、食料不足は子どもたちの生活に大きな影響を及ぼしています。
 今回の食糧不足は、生産年齢人口のHIV/エイズの拡大により労働力が不足し、農産物の生産量が低下していることも原因の一つです。エイズで両親を共に失うなど、家族が崩壊するケースも急増、エイズ孤児の受け皿となるコミュニティの強化が急務となっています。ユニセフはこうした緊急事態に対応するため、救援物資を大量かつ迅速に提供するとともに、中・長期的視点での社会福祉制度の整備と、HIV/エイズの影響への対応を含めた復興と社会開発に取り組んでいます。

干ばつ影響 主なユニセフの活動
● エイズ孤児と子ども世帯の登録
 今回の緊急事態では、両親を共に失った子ども世帯の急増が特徴となっています。ユニセフは、最も支援を必要とする子ども世帯やエイズ孤児を見つけ出し、登録した上で、優先的に支援物資を提供しています。モザンビークでユニセフは、地元NGOのエイズ感染者全国ネットワーク(PLWA)と協力し、各コミュニティでエイズ孤児と子ども世帯を発見する体制を整えました。こうした子どもたちには、優先的に食糧配布センターで栄養補助食を提供しています。

● はしかの予防接種とビタミンAの供給
 はしかの流行を防ぐためには予防接種の普及率を9割に高める必要があります。ジンバブエでは6月に全国予防接種デーで85%に達した普及率をさらに高めるため、ユニセフは接種率の低い地域を重点に再度予防接種を実施しました。また、食糧配布センターで栄養補助食を提供する際に、免疫力を高めるビタミンAのカプセルもあわせて手渡しています。

● HIV/エイズ教育
 ユニセフはHIV/エイズの拡大を防ぐため、予防教育を進めています。マラウィではHIV/エイズ感染率の高い地域の小学校85佼で、エイズの知識と感染から身を守る方法を子どもたちに教えました。レソトでは小学校でエイズ教育を普及するため、教員200人に対する研修プログラムを実施しました。

● 教育
 食糧不足などが原因で未就学児童が急増する中、ユニセフは干ばつの影響の大きな地域を中心に子どもの学校復帰を促すため、学校での菜園の普及、安全な飲み水を確保する井戸の設置、教材・教具の提供、コミュニティに教育の重要性を呼びかけるキャンペーンを行っています。マラウィでは、干ばつが深刻な2地区で小学校6校で井戸の設置と修復を行い、85校で教育とレクリエーション用の資材を提供しました。半数以上の井戸が干上がったザンビアで、ユニセフは90以上の緊急用井戸を小学校に設置しました。学校を学ぶ場に加えて、地域で子どもを保護し、健康を守る中心的な役割を果たせるように支援しています。

栄養補給センター ● 栄養
 ユニセフは、マラウィで90の栄養補給センターの活動を支援しています。保健担当官、保健員、助産婦などの訓練を行い、栄養補助食5000トンを提供しました。これらのセンターで、4000〜6000人の子どものケアを行うことができます。ザンビアでは被害の大きな地域で37の診療所に栄養補給センターを開設、保健員100人の訓練を実施し、高たんぱくビスケットや高栄養ミルクなどを提供しています。

ご協力のお願い
 ユニセフは南部アフリカ諸国における緊急援助のため、国際社会に2680万ドル(約33億円)の支援を呼びかけています。2002年12月3日現在、870万ドルの資金を確保しましたが、必要資金の67%が依然不足しています。
 当協会ではユニセフの活動を支援するため、アフリカ緊急募金の受付を行っています。皆様のご協力をお願い致します。