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財団法人日本ユニセフ協会




《南部アフリカ危機報告会》
日 時 2002年11月13日(水) 10:30〜11:30
場所 ユニセフハウス 1F大ホール
講 師 シャラド・サプラ(Dr.SharadSapra)
/ユニセフ南部アフリカ緊急援助調整官
 

危機にある国々(レソト、マラウィ、モザンビーク、スワジランド、ザンビア、ジンバブエ)の地図

地図

Dr.SharadSapra 干ばつと食糧危機  干ばつには、1)雨が降らないために起こる干ばつと、2)降水の有無に関わらず農業用水の不足によって起こる干ばつの2種類があります。南部アフリカの一部は乾燥地帯で干ばつ状態にありますが、水はあってもその量が不足しているという所もあります。この2種類の干ばつによりって南部アフリカは食糧危機に陥っており、約1,400万人の人々が食糧不足に直面しています。

HIV/エイズと孤児  現在南部アフリカ6カ国では、400万人の子どもたちがエイズにより両親あるいは親を失い孤児となっていますが、2005年までにエイズ孤児は500万人に増えると予想されています。家族の誰かがエイズウィルスに感染していても、それに気付くのが遅すぎるために、調査をすると両親ともにエイズに感染していることが多いのです。両親を失った子どもたちは、10歳、12歳くらいであっても自らが世帯主となって家計を支えるか、親戚の家に引き取られます。実際にスワジランドの子どもたちの10%は世帯主として働いていますが、親戚に引き取られた場合でも、一家の子どもたちが10人、15人に増えた結果、その家族がさらなる食糧不足に悩むことになるのです。

栄養不良とHIV/エイズの相関関係  栄養不良は病気ではなく、1)食糧、2)保健、3)子どものケアの相互作用によるものです。国際比較が可能な人口統計によると、南部アフリカの子どもたちの身長は世界の同年齢の子どもたちと比べて背が低いことが分かっています。これは、十分な食糧を得られていない証拠の1つです。例え食糧があっても、親の乳児に対する離乳食などの与え方が適切でない、あるいは保健サービスが不充分で子どもの健康管理や病院への対応がないことが多いのです。特に、親が幼い子どもの発育に関する知識が不充分な場合は子どもに発育阻害をもたらします。  これまで、子どもの栄養不良の問題にはこの3要素のうち保健とケアという視点が欠けていました。現在では食糧、保健、ケアにHIV/エイズという視点も加え、ユニセフは複合的な支援を進めています。HIV/エイズは生産年齢にある人々の体力、命を奪い、農業生産や現金収入を減少させます。例え人々にお金があっても、エイズによって教員や保健員が死亡しているために、十分な保健サービスや教育を提供できないという状況があります。このようなHIV/エイズと食糧危機の関係は、人々、特に子どもと女性の生活をさらに深刻なものにしているのです。

ユニセフの活動:学校を通した複合的支援  ユニセフは、教育が社会変化をもたらし、HIV/エイズと食糧危機の悪循環を断ち切る最善の手段であると考えています。ユニセフは、子どもが世帯主となっている家庭、エイズで両親を失った孤児や食糧を探し回る子どもたちを学校に引き寄せるため、学校で知識や生活技能の提供するのに加えて、給食による栄養の補給や保健サービス、トイレと水道の設置による健康管理などの社会サービスを提供する機能を学校に持たせる支援を行っています。学校は、単に教育を提供するだけではなく、犯罪や暴力、虐待、搾取、売春などから子どもたちを保護する役割も持っています。

《Q&A》

Q: 教育支援は学校建設というハード面だけでなく、教員養成や教師の給料というソフト面での支援が必要だと思いますが。
A: 南部アフリカ顧問は、教育は国の将来のことであると認識しています。ユニセフはソフト面の支援を重視しており、また世界銀行の教育支援用ローンや退職した教員の活用などを組み合わせています。
Q: 現地の政府や地元NGO、地域住民のローカル・キャパシティー(地域能力)レベルはどのくらいでしょうか?
A: 全ての支援活動は国際機関だけでは成り立ちません。南部アフリカ6カ国のほとんどは、社会主義的な発展を遂げてきたため、各地に地方政府が設けられています。問題は、地方政府が資金不足で社会サービスを提供できないということです。ユニセフはそのような地方の政府などと密接な関係を築き、地域レベルでの協力活動を行っています。例えば、ジンバブエでは援助の80%が地方政府など住民レベルで利用されています。
ユニセフは人道的支援を行うに当たって、現地政府のガバナンスの問題も重視しています。ユニセフの鍵となる戦略は、「人権アプローチ(humanrightsapproach)」と呼ばれ、地域住民の人権を中心に置いて活動を行うものです。
Q: 子どもたちへのHIV/エイズ教育についてですが、文化的な背景から親の反発というのが あるのではないでしょうか?また、そのような問題をどのように解決しているのですか?
A: まず、アフリカの人々がHIV/エイズに関する教育に反発するというのは事実ではありません。また、ユニセフの職員は国際職員と現地職員で構成されているので、地域レベルでの意思というものが活動に反映されるようになっています。ユニセフは活動を始める前に、対象地域や現地の問題についての調査や研究を行い、地域住民の行動や考え方を理解するよう努めています。

報告者プロフィール

シャラド・サプラ(Dr.SharadSapra)
/ユニセフ南部アフリカ緊急援助調整官

インド出身。医学博士/疫学。
1985-88年 インド事務所母子保健・予防接種拡大計画担当官
1988-90年 モルディブ事務所代表補佐
1990-91年 ニューヨーク本部予防接種事業モニタリング担当官
1991-96年 バングラデシュ事務所事業活動・企画上級担当官
1997-99年 イラン事務所代表
1999-2002年 南部スーダン国連人道援助副調整官、
兼ユニセフ南部スーダン支援活動代表
2002年2月-3月 アフガニスタン「バック・トゥ・スクール」プログラム調整担当官
2002年7月 ユニセフ南部アフリカ緊急援助調整官
2002年11月24日 アフガニスタン事務所代表着任予定