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財団法人日本ユニセフ協会



アン・ベネマン ユニセフ事務局長
干ばつ被害に苦しむアフリカの角地域への支援を訴える

【2006年2月7日、ニューヨーク発】

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ソマリアの食糧補給センターでユニミックス(高栄養食)の配給を待つ男の子。

アン・ベネマン ユニセフ事務局長は今日、アフリカの角地域を襲った干ばつ被害の影響を受けて死の危険に直面している子どもたちの命を救うため、国際社会に対して迅速な対応をとるよう訴えました。

ケニア、ソマリア、エチオピア、ジブチでは、800万人を超える人々が干ばつの被害を受けており、5歳未満の子ども150万人の 生命が危機にさらされています

「この地域では干ばつがよく起こり、そのたびに子どもたちの栄養状態が悪化しています。今回も同じ事態が危惧されています」とベネマン事務局長は述べました。「栄養不良に陥った子どもは抵抗力が弱く、病気にかかりやすくなります。実際に過去の干ばつでは、子どもの死亡率が上昇しているのです。とくに子どもたちのニーズに応えることができるよう、ユニセフは被災地域にできるだけ早く入りたいと考えています」

緊急支援アピール

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ワジド(ソマリア)近郊の救援キャンプ。この3カ月の間に、キャンプに収容される世帯数は10倍に膨れ上がった。

この緊急事態を受け、ユニセフは2006年2月3日(土)、1,600万米ドルにのぼる緊急支援アピールを発表しました。この資金によって被災地域への支援物資の輸送が可能になり、水の供給や保健ケアの支援を行うことができます。また、はしかの予防接種ワクチンやビタミンA補給剤を提供し、子どもたちの免疫力強化を図ることもできます。

「ユニセフは、世界食糧計画(WFP)とともに、水と衛生、栄養の分野で支援活動を進めています」ベネマン事務局長は述べました。「また、はしかの緊急予防接種キャンペーンも始める予定です。はしかは予防接種を受けていない子どもたちの間で急速に広まり、子どもたちの命を脅かす病気です」

同地域では数年間にわたって十分な雨が降らなかったため、水が不足しています。農作物の収穫量が減少し、家畜も減りつつあります。そのために、多くの世帯が食べる物を失うとともに、収入の手段も失っているのです。雨季が訪れる4月まで、事態はさらに悪化する恐れがあります。

食糧援助プログラム

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歴史的にみて、東アフリカ一帯では干ばつや食糧不足が起こると、それに伴って大規模な人口移動が発生しています。食べ物を求めて、人々が村を捨てて移動を始めるからです。今回もすでに人々の移動がすでに始まっています。

緊急事態において人口移動が発生すると、子どもたちは学校に通うことができなくなるとともに、家族と離れ離れになるおそれもあり、権利を侵害されやすい状態に陥ります。すでに一部の地域では退学率が上昇しつつあり、閉鎖を余儀なくされている学校もでてきています。

緊急事態においては、可能なかぎり、子どもたちを学校に留めることがコミュニティ全体にとってよい結果をもたらします。子どもたちが勉強を続けられるだけでなく、水や食糧の提供が容易になるとともに、日常の感覚を取り戻す助けにもなるからです。緊急支援アピールに対して寄せられた資金の一部は、同地域の学校への給水タンク設置に役立てられます。

ユニセフは被災国の政府、世界食糧計画、および他のパートナー機関とともに被災地域での活動を続けています。ケニア、ソマリア、エチオピアの3カ国ではすでに食糧援助プログラムが実行に移されています。