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干ばつに苦しむアフリカの角地域
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©UNICEF/HQ06-0151/Kamber |
遊牧民の避難キャンプにて(ソマリア) |
アフリカの角地域(ジブチ、ケニア、エリトリア、エチオピア、ソマリア)では、続く干ばつのために、特に遊牧民等の弱い立場に置かれた人たちを中心として、緊急支援が必要とされています。雨季には雨がもたらされましたが、緊急事態を終わらせるどころか、多くの地域でかえって状況を複雑化させました。子どもの栄養不良率は、特にケニアやソマリアで極めて高くなっています。遊牧民の子どもは、通常はたんぱく質が豊富な食事をとっていますが、干ばつで家畜から牛乳が取れなくなったり、家畜が死んでしまうことで、通常の食事ができなくなり、栄養状況が極めて悪化しています。
下痢や、汚い水を原因とする病気の蔓延も地域一帯で報告されています。集中的に降った雨は、いくつかの地域で洪水を引き起こし、特にエチオピアやケニアでは、人々が家や家畜を失い、避難生活を余儀なくされています。
被災地域の女性や子どものための緊急支援として、ユニセフでは未だ4,300万ドル(約50億円)近くの資金が不足しており、国際社会に支援を求めています。
<各国の状況とユニセフの活動>
ジブチでは、8万人以上(内5歳未満の子どもは12,500人)が危険にさらされています。干ばつに対応してきた伝統的な方法は限界に達しています。栄養不良率は極めて高く、死亡率や罹病率も非常に高くなっています。不衛生な水の利用も、子どもの病気(下痢など)の多くに関係しています。多くの給水システムが機能しておらず、伝統的な給水ポイントは枯渇しました。ジブチの母親の多くは、まだ一カ月にならない赤ちゃんに沸かしていない水を与えているという問題もあります。夏には摂氏50度を超える暑さになり、水へのアクセスの不平等などから、さらに状況が悪化することが懸念されています。
ユニセフの主な活動
十分な雨が降らず、きれいな水や衛生施設へのアクセスが不十分なことに加え、5歳未満の子どもが頻繁に下痢や急性呼吸器感染症にかかっており、そのことが高い栄養不良率につながっています。被災地域では、11万人の子どもが栄養不良で、内9万人が栄養療法をまだ受けていません。栄養不良で弱った子どもは、はしかなどの感染症にかかりやすくなります。
ユニセフの主な活動
©UNICEF/HQ06-0505/Getachew |
最近の大雨でできた水溜りから水を集める遊牧民の女の子。子ども達は、幼い時から家事を手伝います。(エチオピア) |
エチオピア南東部のケニアとソマリア国境付近などの被災地域は、2年以上ほとんど雨の降らなかった地域ですが、4月には所々で大雨が降りました。この雨で新しい牧草が育ち、一部の遊牧民の状況は良くなり、牛乳や乳製品が手に入るようになりました。しかし、長く続いた干ばつのため、牛や羊、やぎ等の家畜の多くが既に失われたため、多くの遊牧民は収入源を失い、食糧支援に頼ったり、薪を売って生活しています。雨のために、マラリアや下痢などの新たな脅威も生まれました。集中的な雨が引き起こした洪水で、ソマリ州では家畜や家が被害を受けた地域もあります。遊牧民は同時に、紛争や乏しい保健インフラ等のため、生活が脅かされています。南部の牧草地帯では今後10月まで雨が降らないと予想されており、水が不足する恐れがあります。
ユニセフの主な活動
©UNICEF/HQ06-0021/Cameron |
水を手に入れるために並ぶ子ども。ユニセフは学校で水を提供しています。(ケニア) |
4月に始まった雨季は、長期の干ばつで一番被害を受けてきた北東部や沿岸部には多くの雨をもたらした一方、例年並みの雨量の地域や、全く雨が降らない地域もありました。しかし、雨は、遊牧民が生活する地域での餓えや家畜への影響をくいとめるには遅すぎました。牧草の生育や水不足は改善されましたが、下痢により5月には1地域だけで13人の子どもが命を落としました。死亡した家畜が水を汚染して、水が原因の病気が発生する危険もあります。洪水による被害や、大雨による交通被害で援助物資の配布が遅れている例もあります。牧草地帯での紛争も激しさを増しています。ここ8カ月の干ばつで多くの牛やラクダ、やぎ等の家畜が死に、貧困が深刻となりました。そのために子どもが児童労働に従事させられている例も報告されています。多くの地域ではまだ雨が足りず、生活手段を失った遊牧民にとって、緊急事態が悪化することが懸念されています。
ユニセフの主な活動
ソマリアでは、約170万人の人が緊急支援を必要としています。多くの地域で家畜の牛の半数以上が死に、穀物の生産量も半数以下に落ち込みました。4月から5月にかけて雨は降りましたが、食料不足と高い栄養不良率という課題は引き続き残っています。通常でもソマリアは水が乏しい地域です。30%以下しか安全な水を利用することができないと推定され、半数以下しか家庭でトイレを利用できません。このような環境は、汚れた水を原因とする病気の温床となります。被災地域では平均で40%の学校が閉鎖されており、開いている学校でも42%の子どもがドロップアウトしています。その一番の理由は干ばつ(84%)で、次が紛争(8%)です。
ユニセフの主な活動
総額8,000万ドルに及ぶユニセフの支援要請の内、まだ4,300万ドル(約50億円)が不足しています。干ばつの被害を受けた地域の子どもや女性の命を救うための活動のために、皆様のご支援が緊急に必要とされています。