財団法人日本ユニセフ協会



ケニア:死者900人。国内避難民30万人。
ユニセフ 7億円の支援を求める

【2008年1月30日 ニューヨーク発】

ケニア地図

ユニセフは、昨年末の大統領選挙に端を発したケニアの暴動で、深刻な被害を受けている女性と子どもたちを守るため、660万米ドル(約7億円)の支援を緊急に求めています。 「ケニアで建国以来はじめてとも言える子どもたちと女性に対する深刻な暴力が何日も続いています。」ユニセフ・ケニア事務所のサラ・キャメロン広報官は、このように伝えます。

この事態を収拾するため、元国連事務総長コフィー・アナンが、先の選挙で再選を果たしたムワイ・キバキ大統領と野党のライラ・オディンガ氏の間の和平調停を進めています。しかし、ケニア全土を巻き込んだ今回の暴動を集結に向かわせる話し合いはほとんど進展していません。

29日には、野党のムガベ・ウェレ氏が家の外で銃撃され死亡した事件の余波から、少なくとも9人が殺されました。暴行や放火も頻発しています。19人の女性と子どもたちが放火で焼死したとも報告されています。これまでに、推定30万人が避難生活を余儀なくされています。「放火を恐れ、暴行や脅迫を恐れ、あるいは漠然とした恐怖心から、何千人もの人々が家を離れています。」(キャメロン広報官)

暴動が始まってから1ヶ月あまり。現在、当初の2倍の数のレイプ被害が報告されています。不満をもらす避難民キャンプの女性たちは、キャンプで援助活動をすすめるユニセフなどの人道支援団体のスタッフの目の前でさえ、脅迫されている状況です。

ケニア保健省は、暴動による死者はこれまでに900名と発表していますが、この数字には、支援活動がまだ十分届いていないケニア西部地域の数が含まれていません。ビクトリア湖畔町キスムでも、略奪や暴力が目撃されています。「店は略奪され、町は廃墟となっています。略奪や、放火が繰り返され、住民は逃げ出してしまったのです。」(キャメロン広報官)

家を焼かれ、暴力の被害を受けた多くの人々が、キクユからマウィンガへ避難しました。
© UNICEF Kenya/2008/Bonn
家を焼かれ、暴力の被害を受けた多くの人々が、キクユからマウィンガへ避難しました。

ケニア全土に設置された300箇所を超える避難民キャンプは、避難民でごったがえしています。多くの人々が、恐怖と飢えに苦しんでいます。国内の輸送がスムーズにゆかず、支援物資を提供し彼らに最低限の安心を与えることが非常に難しい状況です。

避難民キャンプには、5歳未満のこども8万人が含まれると推定されています。ユニセフは、これまでに、栄養不足が懸念されるこうした子どもたちの7割に、ユニミックスと呼ばれる栄養補助食品を提供しました。しかし、まだまだ支援が必要です。

「最低限の緊急支援活動を続けるために、ユニセフは、660万米ドルを必要としています。(子どもたちが少しでも安心できる空間や時間を提供するため)学校活動や『安心できるスペース』を早急に提供しなければなりません。今ケニアを襲っている状況は、色んな意味で、この国の将来を担う子どもたちを危機的な状況に晒しているのです。たとえ、明日平和が訪れたとしても、ケニアがもとの姿に戻るまでには、長い年月が掛かるでしょう。」(キャメロン広報官)。