財団法人日本ユニセフ協会



命を救う栄養価の高い補助食がエチオピアに到着

【2008年7月1日 アジスアベバ発】

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© UNICEF

昨夜、エチオピアの首都アジスアベバに大規模な空輸で、すぐ使用できる栄養価の高い補助食(プランピー・ナッツ)が届きました。これは、エチオピアの干ばつ被害地域に住む深刻な栄養不良に陥った子ども達に対する、ユニセフの緊急支援の一部として行われています。エチオピア政府によれば、100以上の干ばつ被害地域で、75000人の子どもが深刻な栄養不良に苦しんでいます。

「私たちはこの子ども達の命を救うための食糧を確保するために時間と戦っています。これらの栄養不良の子ども達はもう待てません。」と、ユニセフエチオピア事務所代表のビヨン・リンキビストさんは話します。また、信頼のある学術医学誌「ランセット」によると、深刻な栄養不良に悩む子ども達の死亡率は、正しい栄養補助治療を受けない限り、通常の子ども達の9〜10倍になります。

ユニセフによって注文された772トンものプランピー・ナッツは、6月13日に到着し始め、2機の貨物輸送機で4週間以上にわたって毎週運ばれてくる予定です。供給品は地域の保健局やNGOに送られ、そこから深刻な栄養不良の子ども達に届けられます。これにより、今後3ヶ月間で、毎月18800人の子ども達が救われるであろうと考えられています。

このプランピー・ナッツは、“すぐに使用できる栄養治療食”です。それは、栄養性の高いピーナッツバター状のもので、たんぱく質、エネルギー、脂質、ビタミン、無機質のバランスもよく、合併症や深刻な病気でない栄養不良の子ども達を在宅で治療するために科学的に考えられました。在宅で治療することは、特別食糧センターでの感染症の危険もなく、また母親はほかの子ども達の面倒も見ることができます。そして、1日1ドル以下で生活している人たちにとって、重要な収入源を失う心配もありません。その食べ物は、小さな袋にパックされていて、雑菌混入を防ぎ、2年まではもつとされています。また、調理をする必要もなく、味は、少し甘いピーナッツを練ったもの、植物油、砂糖、粉乳、ビタミン、無機質から作られています。1袋92グラムで、500カロリー摂取することができます。しかし、ユニセフの注文数は、被害を受けた子どもの総数を考えると、現在の需要に見合ってはいません。

また、ユニセフは、エチオピアで干ばつ被害を受けた子ども、女性を中心に緊急に必要とされる栄養、健康、教育、水、下水設備、そして衛生に関する問題に4920万ドル(約54億円)必要だとしています。しかしながら、ユニセフはそのうちたったの560万ドル(約6.2億円)しか確保できておらず、追加の2300万ドル(約25.2億円)は資金の約束を取り付けているに留まっています。

「私たちは次の収穫期まで生き延びるには早急にもっと多くの資源が必要になります。」と、リンキビスト代表は話します。次に見込まれている収穫時期は早くても9月で、7月以降被害地域への食糧支援はほんの一部でしか確立されていません。

「子どもたちは、このような状況で、一番先に衰弱し、死に至ります。私たちはまさにこの状況を目撃しています。しかし、深刻な栄養不良に悩む子どもだからといって死ぬことはないのです。私たちは、どうやって彼らの命を救うか知っています。」とリンキビスト代表は続けます。保健省とユニセフは、30から50パーセントの死亡率を、5パーセント以下に下げた方法を使って、深刻な栄養不良の状態を改善するため、エチオピア中のヘルスワーカー等の医療従事者を教育しています。以前の干ばつ被害に比べると、今日での彼らの対応能力は十分に上がっています。村ごとで活動しているヘルスエクステンションワーカーは、子ども達の命を救うプランピー・ナッツを届ける準備ができています。また、資金問題を解決することによって、ユニセフがプランピー・ナッツを引き続き配給することを可能になるでしょう。