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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第22報
大規模な予防接種キャンペーンをスタート

【2010年2月3日 ハイチ・ポルトープランス発】

© UNICEF/NYHQ2010-0140/Noorani
ポルトープランスにあるシルビオ・カトルスタジアムに設置された保健所で、母親に抱かれながら予防接種を受ける子ども。はしか、風疹、ジフテリア、破傷風、百日咳の予防接種キャンペーンが始まりました。

マガリーさんは、注射針が腕に刺さると顔をしかめました。マガリーさんの4歳の息子も、予防接種を受けると叫び声を上げました。注射は痛みを伴いますが、この親子の命を守ってくれるものです。マガリーさんたちの命は、危険に晒されているのです。

マガリーさん一家は、ハイチの首都に設置された臨時避難キャンプでの暮らしを余儀なくされています。マガリーさん一家をはじめ、数十万人の被災者が、今週始まった大規模な予防接種キャンペーンで、はしか、風疹、ジフテリア、破傷風、百日咳の予防接種を受けました。

子どもたちには生き延びてほしい
© UNICEF/NYHQ2010-0141/Noorani
避難キャンプでの予防接種キャンペーンで、予防接種カードに記録し子どもたちの親に手渡す保健スタッフ。

1月12日の地震で、マガリーさんは2人の子どもを失いました。マガリーさんと生き残った2人の子どもたちも、崩れた自宅の下敷きとなって10時間も生き埋めとなりました。

「地震が起きたとき、私は屋上で料理をしていました」と、マガリーさんはその時のことを振り返ります。「一緒にいた幼い2人の子どもの上に覆い被さりました。でも、他の2人の子どもは家の中にいたんです。助けてあげることができませんでした。私は、夜中の3時に瓦礫の中から救い出されました。」

「2人の子どもに予防接種を受けさせるためにここにきました。」「この子たちには病気に罹ってほしくありません。生き延びてもらいたいのです。」マガリーさんは語ります。

避難キャンプに迫る感染症の脅威
© UNICEF/NYHQ2010-0143/Noorani
被災地でユニセフが開始した大規模なキャンペーンで、予防接種を受けた直後の女の子。

ユニセフは、ハイチ保健省や世界保健機関(WHO)をはじめとする他の人道支援団体とともに、マガリーさんと子どもたちのような被災者への予防接種キャンペーンを展開しています。現在、被災した人々は、すし詰め状態の臨時避難キャンプでの生活を強いられています。

こうした状態の中、各地の避難キャンプでは、病気の流行のリスクが非常に高まっています。今回ユニセフが実施している予防接種キャンペーンは、主に幼い子どもたちの健康を守ることを主眼としていますが、高い年齢層の子どもたちやおとなにも、予防接種が提供されています。

キューバに留学していた医学生パトリック・ドリーさんは、この予防接種キャンペーンを応援するために、キューバ人の医師のチームと共にハイチに戻ってきました。「こうした予防接種は重要です」と、パトリックさんは話します。「今回の地震のような災害の後、被災者は、常に病気のリスクに晒されるのです。」

生きるための闘い
© UNICEF/NYHQ2010-0142/Noorani
シルビオ・カトルスタジアムで、予防接種を受ける女の子。

予防接種キャンペーンは、ポルトープランスの中心街にあるシルビオ・カトルスタジアムで、その第一弾がスタートしました。

「被災した多くの人々がこのサッカー場にやってきています。徐々にですが、混雑がひどくなってきました。」ユニセフの緊急保健支援上級アドバイザーのロビン・ナンディ医師はこう話しました。「このサッカー場は、町のちょうど真ん中にありますから、被災者たちは町中至る所からやってくるんです。」

ナンディ医師は、スタジアムの周辺の避難キャンプで暮らしている被災者に、子どもたちに予防接種を受けさせるよう促していると話します。「もちろん、このキャンペーンは、そうした避難キャンプで生活している人々を対象にしていますが、その他の場所から来た人々にも門戸を開放しています。」

このキャンペーンは、今後、他の避難キャンプでも展開され、さらに、ハイチ国内の被災地全域に拡大されることになっています。

マガリーさんと子どもたちと同様、被災した多くの人々は全てを失いました。生きるための闘いは、まだ終わっていません。ユニセフをはじめとする人道支援団体活動、そして国際社会が関心を持ち続け継続的に支援してくださることによって、ハイチの人々は、この事態を克服し、やがて生活を立て直すことができるはずです。