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ハイチ地震緊急・復興支援募金 第26報
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© UNICEF/NYHQ2010-0153/Noorani |
ポルトープランスのリラボイス地区にある児童養護施設で。ユニセフから届いたサンダルを受け取っている障害のある男の子。左は、その姿を見守る、この施設の所長で修道女のマルレーン・ジョセフさん。 |
大地震の発生から間もなく1ヵ月。この間、ハイチの首都ポルトープランスのトゥーサン・ルーベルチュール国際空港は、1日24時間体制で稼動し続けています。現在最も弱い立場に置かれている被災者=孤児や保護者と離れ離れになった子どもたちをはじめ、震災で住む場所を失った全ての人々のために、支援物資を載せた貨物機が、昼夜を問わず飛来しています。
1月12日の地震によって、数千棟の家屋が倒壊。発生前から既に疲弊していたハイチのインフラに致命的な損害を与えました。ポルトープランスのリラボイス地区で倒壊した建物の一つが、「Foye Zanmi Jezi(神様の小さな友達)」という名の児童養護施設。この施設で震災から暮らしていた90人の子どもたちも、現在は、施設の庭に立てられた三基のテントで、すし詰めの状態での生活を余儀なくされています。
地震が起きた時、子どもたちは外で遊んでいたので、全員無事でした。しかし、子どもたちが元の生活を取り戻せるようになるまでには、時間が掛かるでしょう。
この施設の所長で修道女のマルレーン・ジョセフさんは、幼い子どもたちの将来を案じていました。「子どもたちは、そんなに多くの物を持っていたわけではありません。でも、そんなわずかな所持品も、全て失ってしまったのです。」「心にも深い傷を負っています。」
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ポルトープランスの空港で、ユニセフと米国軍スタッフが、児童養護施設のマルレーン・ジョセフさん(写真中央)と一緒に、届いたばかりの支援物資のリストを確認しています |
マルレーンさんは、取り乱している様子でしたが、わずかな希望も持っていました。先週、切実に求められていたユニセフの支援物資が、トラック一台分この施設に届けられたのです。サンダル、衣服、毛布、寝具、歯ブラシなどが、この施設に届けられました。
これらの支援物資は、ユニセフが、こうした児童養護施設で避難生活を送っている5万人の子どもたちのために、他の人道支援団体とともにハイチに持ち込んだ支援物資の一部です。これまでに、約6,000人の子どもたちがこうした支援物資を受け取りました。
「全てを失いました。」マルレーンさんの養護施設で暮らす女の子、アン・ロジャーさん(16歳)はこう話します。「今年の試験のために、レポートを書かなくてはならないのですが、そのための資料も全部無くなってしまいました。学校も倒壊してしまいました。私が住んでいた寮も倒壊してしまいました。だから、こうやって届けていただけるものは、どんなものでも嬉しいんです。」
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配布されたばかりの支援物資の箱を開ける児童養護施設のスタッフ |
多くの子どもたちがこの地震を生き延びました。しかし、その正確な数はまだわかっていません。全人口の約40パーセントが14歳未満だったハイチ。まだまだ多くの子どもたちが、この養護施設の子どもたちのような保護を必要としています。こうした子どもの命を脅かす緊急事態に対応するため、ユニセフはハイチ政府や他の人道支援団体と協力して、以下のような支援活動を展開しています。
避難所やキャンプなどで、子どもたちの間に栄養不良や感染症が発生しないよう、この他にも、安全な飲み水や衛生環境の確保(トイレの設置)、栄養といった重要な分野での支援活動も、その規模を拡大しています。また現在、7歳未満の子どもたち50万人以上を対象にした大規模な予防接種キャンペーンが展開されています。
被災地では、私たちの想像を絶する規模の支援が求められています。しかし同様に、国際社会もこれまでにあまり例のない規模で支援の輪が広がっています。支援物資が続々とハイチに届く中、ユニセフは、他の人道支援団体とともに、最も支援を必要としている人々に支援を届けるべく活動を続けています。