HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > ハイチ地震緊急・復興支援募金
財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第28報
震災から1ヵ月

【2010年2月12日 ハイチ・ポルトープランス発】

© UNICEF/NYHQ2010-0178/Noorani
1月12日の震災で避難を余儀なくされたファビエンヌ・ピエールさんと娘のアレクシア・ケリダちゃん。ハイチの首都ポルトープランス中央にあるユニセフが支援しているラカイ・ドン・ボスコセンターで。

ハイチでも人口が密集している地域に壊滅的な被害を与えたハイチ大地震の発生から1ヵ月。ユニセフ本部の緊急支援事業局ルイージョージ・アーセノウ局長は、ユニセフのハイチでの支援活動を査定し、震災の被害を受けた子どもたちや家族のニーズを調査するために、ヘリコプターでハイチの首都ポルトープランスとレオガン、そして南部の港町ジャクメルを視察しました。

上空から見ると、地震による被害のすさまじさがよく分かります。レオガン全域で、崩壊した建物のがれきによって街区の形は崩れ、破壊は都市のほぼ全域に及んでいます。

現地の被害状況を目の当たりにし、数箇所の仮設避難キャンプを視察したアーセノウ局長は、地震発生以前でさえ、乳児死亡率と妊産婦死亡率が西半球の国々の中で最も高かったハイチの状況に心を留め、さらに大地震による被害を受けるという「二重の災害」を実感しました。

「以前から崩壊寸前の状況にあったこの国は、もうすっかり疲れ果てています。」(アーセノウ局長)

子どもの生存に重点
© UNICEF/NYHQ2010-0168/Noorani
ユニセフの倉庫から、早期幼児開発キットをトラックに載せるユニセフのスタッフ。このキットは被災地の子どもたちのためにサービスを提供している養護施設や子どもに優しい空間に提供されています。

この大惨事が起きた直後から、ユニセフは、他国連機関、ハイチ政府、NGO組織等と協力して、何よりも支援を求める被災者に救命支援物資を配布し、大規模な支援活動を展開しています。

被災地のニーズに応え、1月12日からの救援支援活動は膨大な量に達しています。しかしながら、人口の40パーセント近くが14歳未満であるハイチで、子どもたちの命を脅かす緊急事態への支援活動は、まだまだやらなければならないことが山積みです。

「ユニセフが重点を置いているのは、まず第一に、生存です。」アーセノウ局長は話します。「水の供給を迅速に手配しています。これは、私たちの主要な救命活動となっています。」

また、ユニセフの水と衛生分野での活動は、世界食糧計画(WFP)の行っている食糧の配給支援と共に実施することによってより効果の高い支援活動となっていると話しました。「とても良い組み合わせだと思います。」

広範囲に及ぶ避難所
© UNICEF/NYHQ2010-0156/Noorani
ポルトープランスのリラボイス地区にある「Foye Zanmi Jezi(神様の小さな友達)」という名の児童養護施設に最近届けられたユニセフの支援物資を持って、瓦礫の中の道を歩くローズロール・ジェデオンさん(13歳)とウィンデライン・ミルフォードさん(15歳)。

震災によってユニセフの現地事務所、備蓄倉庫が被害を受けましたが、ユニセフは、震災に襲われてからすぐに救援活動を開始しました。

震災から1ヵ月。ポルトープランス、レオガン、ジャクメル全域にある300箇所の配給拠点地で、毎日90万人以上の人々に安全な飲料水を提供しています。また、衛生施設(トイレ)を被災地全域の避難キャンプに設置しており、数週間の内には、ポルトープランスだけでも3,000基以上のトイレを設置する予定です。

広範囲にわたって人々が避難生活を強いられているため、震災以前の最も良い時期でも栄養不良率の高かったハイチで、さらなる状況の悪化が予測されています。そのため、ユニセフは、パートナーと共に、重度、急性栄養不良の外来治療のために、80以上の臨時保健所を開設しました。同時に、WFPによる食糧の配給支援活動も、避難生活を送っているハイチの人々に届けられています。

また、人々がすし詰め状態で生活している臨時避難キャンプでの病気の流行を防ぐため、ユニセフは、保健省と共に、国内予防接種キャンペーンを展開しています。このキャンペーンによって、7歳未満の子どもたちに、はしか、破傷風、ジフテリア、百日咳の予防接種が行われます。

子どもの保護と教育
© UNICEF/NYHQ2010-0106/LeMoyne
ポルトープランスにあるペチョンビルクラブのゴルフコースに建てられた野外の避難テントで遊ぶ子どもたち。

「人道支援活動は、しばらくの間継続して実施される予定です。これについては疑いの余地はありません」と、アーセノート緊急支援担当官は話し、しかし数十万人もの被災者へ支援を行き渡らせるためには、引き続き大変な努力が必要であると付け加えました。「この状況は、ユニセフだけではありません。国際社会全体に言えることです。」

基本的な生存のための救命活動に加えて、ユニセフが非常に懸念していることは、震災で保護者と離れ離れになった子どもや孤児たちの安全です。ユニセフは、こうした子どもたちを登録し、子どもに優しい施設で保護しています。それと同時に、子どもたちの家族や親類を探す活動も行っています。しかし、状況は緊迫しています。保護者のいない子どもたちが人身売買の餌食となったり、国外にひそかに連れて行かれたりしているという報告があるのです。

子どもの保護の問題に取り組んでいる一方で、もうひとつの緊急の課題は教育です。約5,000校の学校が被害を受け、破壊されました。学年齢期の半数が被災し、ハイチの教育システムはほとんど機能していない状態です。

こうした状況を受けて、ユニセフは基礎的な学校用品、教師用教材等が入ったスクール・イン・ア・ボックス(「箱の中の学校」)をポルトープランスに届けました。このスクール・イン・ア・ボックスの配布は既に始まっています。ユニセフは教育省と共に支援活動を続け、出来る限り多くの子どもたちが出来る限り早く学校に戻れることを目指しています。

継続的なコミットメント

ユニセフ・ハイチ事務所のグイド・コルナーレ代表は、立ちはだかる困難を十二分に理解しています。

「全ての学校が休校となっています。この状況は、被災地だけでなくその他の地域でも同様です。現在ハイチは非常事態下にあり、多くの人々が避難を強いられ移動していますから。」コルナーレ代表はこう説明します。「これが、今わたしたちが直面している問題です。」

震災から1ヵ月が経過しましたが、ユニセフは、パートナーと共にハイチの被災地全域で継続して、子どもたちの命を守り、この悲劇の影響を受けても子どもたちが健やかに成長できるための活動に力を注いでいます。子どもたちの未来、そしてこの国の未来は、震災前よりもよい状況を立て直すための長期的な再建・復興支援にかかっているのです。