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財団法人日本ユニセフ協会



ハイチ地震緊急・復興支援募金 第45報
地震発生から3ヵ月
ハイチを“子どもにふさわしい国”に!

【2010年4月9日 ハイチ発】

© UNICEF/2010/Nybo
1月12日の震災で自宅が崩壊し、ポルトープランスにある避難テントで生活している子どもとその母親。

地震発生から間もなく3ヵ月。ハイチは今、再建と復興に向けてゆっくりと前に進んでいます。ユニセフは、ハイチの子どもたちのために、現地時間4月12日、ハイチでのこれまでの人道支援活動を包括的に振り返る報告書を発表します。

この報告書では、また、前途に立ちはだかると思われる課題も提示。この国の未来のために、この国を良くしてゆくために、ハイチの復興のプロセスの中心に子どもたちを据えることの重要性を訴えています。

“子どもたちのための復興”
© UNICEF video
ハイチで発生した地震により、被災した家族と共に避難キャンプで暮らす笑顔を見せる子ども。

「ユニセフは当初から、この震災は、子どもたちの命を脅かす非常な緊急事態であると訴えてきました。」ユニセフ・ハイチ事務所のエドワード・カルワルディン広報部長はこのように話します。「ですから、現在の活動は、子どもたちのための復興支援なのです。私たちが支援活動を進めてゆく中で、真っ先に子どもたちへの支援を考えること、子どもたちの声を聞くこと、子どもたちのニーズを確認し、明らかにすることが重要です。支援が進むにつれて、子どもたちの権利が実現されていかなくてはなりません。」

カルワルディン広報部長は、間もなく発表されるユニセフの報告書について、次の言葉を付け加えました。「この報告書は、これまでに達成されたことが簡潔にまとめられています。しかし同時に、まだ支援が必要なのが何処で、何処に支援のギャップがあるのかについても明らかにされています。子どもたちのためにやらなければならないことが、まだまだ山積みなのです。」

シャシャ・リザちゃんも(13歳)こうした支援を必要としている子どもたちのひとりです。地震により家が破壊され、父親は命を落としました。現在、9人の家族と一緒に、小さな避難テントで生活しています。

「避難キャンプでの暮らしは楽ではありません。」シャシャちゃんはスタッフにこう話しました。「ちゃんとしたテントがあって、安全な飲料水があれば、もっと長い間ここで避難生活をするにしても、快適だと思います。でも、ここは汚いし、雨がふったら全部泥だらけになってしまうし、今の生活は大変です。」

シャシャちゃんの頭の中は、今、一日も早く学校に戻りたい気持ちで一杯です。大地震の経験を経た今、政治の勉強をして議員になって、さまざまな問題を解決したいと考えています。

学校の再開
© UNICEF video
ハイチの首都ポルトープランスに設置された仮設教室に集まった子どもたち。

そして今、ハイチ全土で学校が再開され始めています。シャシャちゃんの夢も、実現にむかってほんの少しだけ動き始めようとしているのです。

ユニセフは、他の人道支援団体やハイチ政府と協力して、今後2ヵ月間のうちに70万人以上の子どもたちが学校に戻れるよう活動しています。4月7日、ジョエル・デスロシエール・ジャン・ピエール教育大臣は、ユニセフ・ハイチ事務所のフランソワーズ・グルロース臨時代表と共に、サクレ・コー学校の再開式典に出席しました。学校の再会を待ちわびていた1000人以上の子どもたちに囲まれました。

「学校を再開させなければなりません。」ジャン・ピエール教育大臣は、子どもたちにこのように話し掛けました。「学校を再開させること。震災したハイチを復興させるためには、これ以外に方法はありません。ですから皆さん、もう一度学校に通って勉強して活動してください。」

教育、栄養、子どもの保護

教育は、栄養や子どもの保護と並んで、ユニセフがハイチの子どもたちの未来のために非常に重要なものと認識している3重要分野のひとつです。ユニセフは、現在までに、「箱の中の学校」と呼ばれる教材キット1,400セットと、仮設教室を設置するための大型テントを約1400基提供しました。

「全ての子どもたちが、教育を受けられるように活動しています。全ての子どもたちに門戸が開放され、子どもたちが学校に戻ることに、何等の障害も障壁も存在しない教育です」と、カルワルディン広報部長。「子どもたちの栄養問題にも力を注いでいます。栄養不良は、震災前からハイチでは大きな問題となっていました。震災後の現在の混乱を生き延びた子どもたちが、栄養不良というもうひとつの緊急事態の犠牲となることがあってはなりません。」

「ユニセフの活動の3つ目の柱は、子どもの保護です。」カルワルディン広報部長はさらに続けます。「(私たちの支援活動は)現在のような困難な時期にだけ、子どもたちを保護することを目標にしているのではありません。政策面でも、具体的な支援プロジェクトを立案しサービスを提供する場面でも、私たちが実施している支援活動では、長期的に持続する子どもたちのセーフティネットを持つ社会が確立し、子どもたちの権利が守られ、子どもたちの福祉が確保され、子どもたちがこの震災の経験をバネにすることが出来る環境を実現することを目標にしているのです。」

ハイチを“子どもにふさわしい国”に

こうした環境を整えるため、ユニセフは、各地に設置された“子どもに優しい空間”や、さまざまな場所で提供されているレクレーション活動を通じて、毎日1万9000人以上のハイチの子どもたちを支援しています。

また、最も弱い立場の被災者である子どもたちが現在置かれている状況を改善するため、ポルトープランスの全ての臨時キャンプの環境を、定期的に調査する活動も進めています。2週間に一度、ハイチの若者たちがチームを作り、オートバイで首都中の避難キャンプを訪問します。彼らは、状況を迅速に評価し、最も支援を必要としている人々に支援を届ける手助けをしているのです。

「教育」であろうと、「栄養」や「子どもの保護」であろうと、ハイチでの支援活動は、最終的にはひとつの目標に向かっています。それは、ハイチを“子どもにふさわしい場所”にするということです。