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未曾有の台風被害
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© UNICEF Philippines/2006/Dajoyag ユニセフは、マットや毛布、蚊帳や貯水容器等の家族用キット4,000セットを被災地へ送りました。 |
フィリピンを超大型の台風21号レミン(国際名:ドリアン)が襲ってから一週間以上がたちましたが、フィリピン当局は今も被害の規模を把握するのに難航しています。最大瞬間風速65mという超大型台風は466ミリの大雨をもたらし、大規模な泥流と溶岩の流出により、マヨン火山付近では数時間で1,000人以上が死亡したとみられています。さらに、支援活動がすすむにつれて、アルバイ州、南カマリネス州、カタンドゥアネス州、マリンドゥケ州一帯が広い範囲で壊滅的に破壊されていることがわかってきました。損害は想像を絶するものです。
国家教育局は被災した地域における学校の被害状況の初期調査をまとめました。ビコール地方、カラバルソン地方、ミマロバ地方の2,436校が全半壊しており、修復に推定4,000万ドル(約46億円)が必要とみられています。200万人の子どもが通学を中断するか、通学が困難になっています。アルバイ州教育局長は「9割の学校で、校舎の9割が被害を受けた」と言います。
南カマリネス州知事のルイス・ビラフエルテ氏は、台風21号により66,168世帯(約331,000人)が家を失い、さらに77,046世帯が家に深刻な被害を受けたと報告しています。村全体がマッチ棒の山のようになってしまったり、何百もの校舎の屋根が無くなってしまっている様子を伝える写真など、厚さ2.5cmの調査書類を州の職員がまとめています。
フィリピン国家災害調整評議会は8日、フィリピンを襲ったここ3回の大型台風(9月のミレンヨ、10月のパエン、12月のレミン)による被害についての報告書を提出し、被害のすさまじさを伝えています。3つの台風被害により、808人が死亡し、2,652人が負傷し、820人が行方不明になっています。台風21号レミンによる被害はまだ完全にわかっていません。8日時点では、台風による避難民の数は350,329人にのぼっています。ユニセフは18歳未満の人口が30%という前提で活動しています。
ビコール地方は、フィリピンでも一番貧しい地域の一つで、子どもの死亡率が高く、海外への出稼ぎや実入りのよい仕事を求めて都市部へ移住する人の割合が高い地域です。
現在、特に必要とされているのはシェルター(仮住まい)や清潔な水、医療物資、食料、電力です。3つの台風によって、通信と電力設備が切断されるなどの被害を受けています。9月の台風ミレンヨの被害からも復旧していない状況です。9月には、高圧線が倒壊しました。台風21号レミンは同様の被害をもたらし、文字通り地域一帯で電力が供給されていません。南カマリネス州でも、現在全ての病院に電力が供給されていません。
ユニセフは45万ドル相当の家族用パック(食料、調理器具、ビニルシート、毛布、石鹸、衣服)や、シェルター用の防水シート、400リットル容量の水タンク、20ガロン(約70リットル)容量の貯水缶、浄水剤、発電機、蚊帳、テントを調達し、被災地へ届けました。支援物資は最も被害の大きかった5つの州、16,700世帯へ配布されます。
8日時点で、新しい熱帯低気圧セニアンがフィリピン東部で発達しており、政府はフィリピン・セブで行われる予定だったASEAN首脳会議を延期しました。
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