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財団法人日本ユニセフ協会




ボートで運ばれる学校

【2007年11月30日 ソロモン諸島、ギゾ発】
ロイス・ハーベイ ユニセフ教育コンサルタント(ギゾ)

テントがやってきた!
子どもたち
© UNICEF/Lois Harvey

日差しの明るい土曜の朝、私が事務所へ行くと、事務所のすぐ隣にあるドックに何百個もの木箱が積まれているのが目に入りました。サント・スター号は、その前日、日沈後に到着し、夜中過ぎまでかかってようやく荷降ろしされました。学校用のテントがインドネシアからようやく届いたのです。

テントは、チョイセル島と西部州にある6つの島の学校へ振り分けられることになっていました。4月2日におきたマグニチュード8.2の地震と、大津波の後、完全に跡形もなく流されてしまった学校がいくつかありました。その他の学校もひどく崩壊して、安全に使用することができなくなりました。

その日のうちに、物流コンサルタントと倉庫管理者は、埠頭の横の敷地にテントを設置しました。次の日、彼らはパートナーNGOの13人のボランティアチームに対して、2時間半の設置訓練を行いました。私たちは当初、これらのテントが暑すぎて、生徒と教員が快適に使用できないのではないかと懸念していましたが、教育責任者が試しに、日中の暑さの中テントの中に座ってみたところ、風通しの良さ、大きさと強度にとても満足していました。

数百箱もの物資を島に届けるには?

しかし、私たちがテントやその他物資を受け取って喜んだのもつかの間、次の問題が浮上しました。どうやってこれらを学校まで届ければいいのでしょう?各テントは、5つの木箱に分けられて送られていました。その木箱を運ぶには、4〜6人の男性が必要です。テントの他にも、数百箱にものぼる生徒のランドセル、教材セット、レクリエーション・キット、子どもたちのおもちゃや石鹸など、リストは尽きません・・・!

さらに、別の難題もありました。ラナンガ島では海面が2、3メートル上がったため、島の南部の村は、かつては浜辺のすぐそばにありましたが、今は海より50メートルも離れてしまい、浜辺には乾ききったサンゴ礁が波うつように並んでいます。他の島々では、学校が、曲がりくねった山道の上などのより安全な場所に移動されました。島々へ行くのに、陸路という選択肢はありません。交通手段は海路のみで、地元の人々が木箱を海から学校まで次々に運ぶ準備ができて初めて可能になります。学校に送る物品があまりに多いため、上陸用舟艇を借りることが一番良い方法でした。しかし、この900の島国で行われていたほかのすべての事業と同じように、そのアイディアを実行することは、簡単な事ではありませんでした。

島に運ばれる学校
住民が海岸から丘の上へ移築した校舎
© UNICEF/Lois Harvey

船と見積りを手に入れるため、教育責任者とユニセフチームは、あちこちに電話をかけ、ギゾ中の道路を行ったり来たりと奔走しました。その間、埠頭に積まれた木箱は、日差しに照らされ、雨風にさらされたまま置き去りにされました。

業を煮やした一人の教育担当官が、一つの簡単な計画を思いつきました。彼は、ギゾ島のティティアナに、トラックで2つのテントと6人のボランティアを送ったのです。2つのテントはその夜のうちに組み立てられました。

その次の日、彼は3台のボートを見つけ、ボランティアチームと一緒に3つのテントを積み込み、コヒゴ島とプララ島に送りました。ボランティアの少年たちは学校にテントを張り始めました。コミュニティのメンバーもすぐ手伝いに来てくれました。2日目の終わりには、またテントが3つ張られ、生徒が使えるようになりました。テントチームを迎えにいく帰りのボートには、通学かばん、スクール・イン・ア・ボックス(学用品セット)、教員用の教材、防水シートが積まれました。

子どもたち
© UNICEF/Lois Harvey

チームがまた2つのテントを現場へ運ぶとき、私は一緒に行きました。私たちは5つの学校に立ち寄りましたが、それらはその週の初めにはなかったものです。現在は、学校の敷地に、大きく立派な白いテントが建っています。

私たちは、日没の直前にコランバンガラ島のコゾに到着しました。海岸には、津波の前に建てられた学校のセメントの土台が残っていました。

住民が海岸から丘の上へ移築した校舎
© UNICEF/Lois Harvey

校庭の一番奥にユニセフが届けたテントを見つけました。ボランティアはボートから飛び降り、同僚の仕事ぶりをチェックしに行きました。彼らは何本かのロープをきつく締め、側面と屋根がきちんと張られているか確認します。彼らはうれしそうにしていました。

入り口の周りには、子どもたちがハイビスカスの花を植えました。彼らは、髪や耳、着ている服を花で飾って、歌い、踊っています。彼らは、私たちに、これは自分たちの学校だよ、と教えてくれました。

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