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財団法人日本ユニセフ協会
 



フィリピン台風緊急募金 第23報
台風から3カ月、55万人の子どもたちを最優先に支援
日本ユニセフ協会を通じ、9億円超の募金

【2014年2月7日 マニラ発】

フィリピン中部を襲った巨大台風から3カ月。最も大きな被害を受けた地域は、子どもたちが日常を取り戻すための長い道のりを歩み始めました。

ユニセフとパートナー団体の支援は、最も大きな被害を受けた地域で支援活動を実施。これまでに、およそ42万人の子どもたちが、修理された学校や仮設の学校、テントの学校などに戻り、『箱の中の学校』や乳幼児キット、レクレーションキットなどに含まれる備品を使って学校生活を送っています。「学校へ戻ろう」キャンペーンは、2014年6月からの新学年の開始に焦点を絞り、拡大し続けています。

© UNICEF Philippines/2014
ユニセフのテントの中で笑う子どもたち

しかし、多くの住民やコミュニティは依然として避難生活を送っているなど、大きな課題が存在します。生活インフラの損壊、生計手段の損失、デング熱やはしかなどへの感染リスクの増加を含め、取り組むべき課題は山積しています。

2013年11月8日、台風30号はフィリピン中央部の広範に渡って甚大な被害を与え、子ども590万人を含む1,410万人が被災しました。ユニセフは地方自治体と被害状況の調査を行い、40の自治体(住民約134万人、うち子ども55万8,000人)を最優先に支援することを決定しました。

ユニセフ・フィリピン事務所の代表アンジェラ・キアーニーは、次のように述べました。

「我々は現在、最も大きな被害が受け厳しい状況におかれている子どもたちやコミュニティへの支援を続けています。取り組みには成果があるものの、子どもたちの権利を回復させ、子どもたちの潜在能力を満たす機会を取り戻すために、やるべきことはたくさんあります。緊急に必要とされる支援を行うため、ユニセフのスタッフは、24時間体制で職務に当たっています」

© UNICEF/NYHQ2013-1222/JEOFFREY MAITEM
レイテ島に設置された「子どもにやさしいテント」

フィリピン政府主導の下、人道支援団体や地方自治体と協力して、ユニセフは最も被害が大きかった地域へ迅速に支援を届ける体制を作り上げました。

ユニセフとパートナー団体は、支援対象地域でこれまでに次のような支援を行っています。

(1)給水設備と衛生施設(トイレ)の復旧、(2)WHOと共に予防接種の実施、子どもへの保健支援、(3)妊産婦と新生児の栄養支援、(4)教育支援、(5)乳幼児期の子どもへの保健支援、(6)虐待や搾取からの子どもの保護−など

「すべての子どものニーズと権利を満たせるよう、支援活動は日々、拡大しています。支援活動は被災からの復興だけではなく、将来も視野に入れたものです。原状回復ではなく、再建されるすべてものが、今後のあらゆる災難を耐えられるよう、災害により強くよりよいものにしていきます」と、キアーニー代表は述べています。

ユニセフの緊急支援計画は、緊急支援から長期の復興支援計画へと移行しています。具体的には、子どものニーズを含む国と地域の災害リスク対応とマネージメント計画の立案など、国と地域の機関の能力強化のための支援が行われます。

© UNICEF Philippines/2013/JReyna
笑顔で小学校に通う子どもたち(レイテ島)

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日本ユニセフ協会は、台風30号による被害発生後の昨年11月11日から、ユニセフ『フィリピン台風緊急募金』の受付を開始しました。個人、企業、団体、学校を通じて、これまでに9億540万3,808円の募金が寄せられました(2013年2月7日集計時点)。このうちの5億3,000万円と臨時拠出積立金1億円とあわせた計6億3,000万円が、すでにユニセフ本部に拠出されており、引き続き、拠出手続きをすすめています。皆様のあたたかいご協力に心より感謝申し上げます。

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■参考情報:ユニセフの支援活動■

水と衛生

  • 台風発生以来、東サマール、レイテ、カピスの被災者92万5,500人に水処理用品や貯水袋、家庭用貯水器を提供済。同地域の7万人が使用可能な簡易トイレや持ち運びトイレを提供済。
  • 東サマール、レイテ、カピス、イロイロ、セブの2万3,100人に基本的な衛生セットを提供済。

保健

© UNICEF Philippines/2014/HPapowitz
栄養状態のチェックを受ける子ども(タクロバン)
  • 在庫ワクチンの確保、災害時に適用できるコールドチェーン(ワクチンを適切な温度で保ちながら輸送する物流システム)の復旧を通して、地域の定期予防接種の再開に取り組むフィリピン保健省を支援中。
  • はしか、デング熱、下痢などが蔓延するリスクが高まるなか、はしかの予防接種実施や蚊の発生源の排除、デング熱対策、感染が広がりつつある地域への対応に取り組む保健省を支援中。
  • 保健省、WHO、パートナーと共に、急性の水様性下痢やデング熱、その他の病気の予防に努める地域当局の役割を拡大し、治療センターの設置などを通して、地域における診断や治療を目指した能力向上支援の実施中。

栄養

  • 8,000人を超える妊婦あるいは授乳期の女性に、43ヶ所の赤ちゃんにやさしい空間において、乳児・幼児への食事に関するカウンセリングを実施済。また、フィリピンの国家栄養評議会とともに、被災したバランガイ村の子どもや妊婦あるいは授乳期の女性1,000人以上に緊急支援を実施中。
  • 最も甚大な被害を受けた地域の9万7,000人の5歳未満の子どもたちに対する栄養状態チェックが完了。栄養不良状態が深刻と診断された子ども159人に、栄養治療プログラム、あるいは補助栄養食プログラムを実施中。

教育

  • 1,244ヶ所に一時的な学習スペースを設置し、12万4,000人以上の子どもたちに教育支援を実施中。

保護

© UNICEF Philippines/2014/Jeoffrey Maitem
タクロバンの避難センターで簡易トイレを使うこどもたち。ユニセフの支援により設置されました。
  • 13,500人分の乳幼児キットやレクレーションキット、テントを『79の子どもにやさしい空間』に提供済。被災による心理的ダメージを抱える子どもたちへ、心のケア支援も実施中。
  • 家族と離ればなれになった子どもたちを発見・保護し、家族と早期再会させるため、システムRapidFTRを利用。これまでに92人の子どもたちの身元が判明。
  • 地域で活動する50のグループおよび保護に関わるボランティアに、女性や子どもをより安全に保護するためのトレーニングを実施済。さらに、「子どもの保護」の必要性がより高い避難センターやトランジットセンター8ヶ所に拡大して実施予定。
フィリピン台風30号緊急募金 特設ページ