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国内のニュース(1)

ユニセフ国際シンポジウム「積み残された子どもたち」報告

2004年5月21日、東京有楽町にある東京国際フォーラムで「ユニセフ国際シンポジウム」が開催(かいさい)されました。2004年5月1日にEUが拡大して、25カ国になり、そのことによって今までよりもお金や人間の流れが自由になります。良いことがあるいっぽうで、子どもの人身売買(じんしんばいばい)の問題が深刻化(しんこくか)すると考えられています。このテーマに関心のある3,200人以上の人たちが集まりました。

今年の春、アグネス・チャンさんが海外視察(かいがいしさつ)をしたモルドバにある人身売買被害者(じんしんばいばいひがいしゃ)リハビリセンターで、子どもたちのカウンセリングの仕事をしているアナ・ティルサノフさんのほか、ヨーロッパでの子どもたちのようすにくわしいユニセフ欧州総局長(おうしゅうそうきょくちょう)のフィリップ・オブライエンさん、浜矩子(はまのりこ)さん、梶田孝道(かじたたかみち)さんをパネリストとしておむかえしました。司会はアグネス・チャンさんが行いました。

アナ・ティルサノフさんは、モルドバでの人身売買の被害について報告しました。ブローカー(人身売買のてびきをする人)は、貧しい家の若い女の子に近づいて「海外に一緒に行くと、とてもいい仕事があるよ。だれにも言わないで、海外に行ってから親にお金を送ればいいから」とだまします。女の子たちは、外国からお金を送ったらとても親が喜ぶだろうと夢をみて、なにもうたがうことなくブローカーについていって、むりやりあぶない仕事をさせられたり、買春(かいしゅん)などの被害にあうのです。「私は3年前から未成年(みせいねん)の子どもたちと一緒に仕事をしていますが、数百人か数千人が被害にあっています。現在でも、ヨーロッパもしくは世界のあちこちでたくさんの若者や女性たちが助けをもとめています」。

私たちにできることとして、フィリップ・オブライエンさんは、もっと勉強して子どもの人身売買の実態(じったい)を知ること、日本が子どもの売買、子ども買春および子どもポルノに関する「子どもの権利条約」の選択議定書(せんたくぎていしょ)を批准(ひじゅん)すること、日本の法律をととのえて被害者への保護とケアをしっかりとできるようにすることなどをあげました。

アグネス・チャンさんは、「私たちはこういう問題を絶対に許せないと、日ごろから強い気持ちを持つことがとても大切」とうったえました。そして最後にリハビリテーションセンターの子どもたちが書いた詩を読んでくれました。

ぎゅうぎゅうづめの車に乗せられて
はじめて見る景色の中を、胸いっぱいに不安な気持ちをかかえ
行く先もわからないまま出発した

神様、お願い
心の底からさけぶ

家へ、村へ帰りたい
だけど、祈りは通じない
神様は私のことを忘れてしまったんだ

かぎのかかった門、アスファルトの道
みんなの話し声で耳が痛い

ここでは名前を持つ権利がない
ここではだれも守ってくれない

お母さん、家が恋しいよ
庭にあったあの桜の木が恋しいよ
枕に顔をうずめ、目は涙ではれている

もっとくわしい報告は、ユニセフ国際シンポジウム「積み残された子どもたち」報告のページをみてください。

☆ シンポジウムの内容がテレビで放送されます!☆

2004年7月10日(土)17:00 〜 17:49
NHK−BS1 BSフォーラム
※ 緊急(きんきゅう)のニュースが入ったときは、予定が変更されることがあります