世界のニュース(1)
捨てられる赤ちゃんを救え!
≪ロシア≫若者たちに広がる麻薬とエイズ
ロシアは、今、大きな問題にぶつかっています。
それは、若者たちに広がる麻薬とHIV/エイズです。
注射器で麻薬をうつ人が増え、注射針を取りかえずにまわしうちしたりすることにより、エイズを引き起こすHIVウイルスの感染が広がっています。今、ロシアでウイルスに感染している人の80パーセント(10人のうち8人)が30歳より若い人びとです。そして、3人にひとりは女性です。
問題の深刻さは、国中の孤児院や子どもの保護施設をのぞけば、すぐに分かります。
たとえば、ここ、カリニングラードにある保育園では、あずけられている23人の赤ちゃんの大半は、麻薬の注射によってHIVウイルスに感染したお母さんに捨てられた赤ちゃんです。こんな保育園や孤児院が国中にたくさんあるのです。
ユニセフは、こうした子どもたちをひとりでも多くきちんと保護し、面倒をみられるよう、保育園や孤児院の支援を続けています。
仕事に出かける前に孫の赤ちゃんを保育園にあずけにきたおばあさんはこう話します。
「この子の父親も母親も、麻薬をやって、この子が生まれたときには、HIVウイルスに感染してたんです。それで、この子を育てたくないっていうもんだから、わたしが引き取ることにしたんですよ。でも、わたしは、年金生活でしょう。だから、この子を育てるためには働かなきゃならない。この保育園のおかげで孫もわたしも救われました」
子どもたちは5歳になるまでは保育園でみてもらうことができます。おじいさんやおばあさんに引き取られ、日中だけ保育園に通ってくる子もいますが、保育園がその子にとってたった一つの家になっている子もいます。保育園では、お絵かきをして自分を表現したり、いろいろなことを学んだりできます。看護師さんもいて、子どもたちの健康をみてくれます。子どもたちの中には、HIVウイルスに感染してしまっている子もいるので、このことはとても大切です。
ロシアには、麻薬をつねに使っている常用者が300万人以上いるといわれ、東ヨーロッパの中でも、最悪の麻薬まんえん国になってしまいました。麻薬のひろがりと同時に、エイズが広がるにつれ、これからもっとたくさんの赤ちゃんが捨てられてしまうことが予想されています。
捨てられた赤ちゃんを保護するだけでなく、ユニセフは、とくに女性たちにHIV/エイズのおそろしさや感染を予防する方法をしっかり知ってもらおうと必死です。
実は、日本でも麻薬やエイズの問題がひたひたと若者の間に広がっていることをご存じですか?
ロシアはひどい貧困に苦しむ開発途上国ではなく、経済のレベルやくらしの状況など、日本に近いところにある国です。
ロシアで起こっているこの問題。もしかすると、日本の子どもたちにとっても人ごとではないのかもしれません…。
ユニセフ本部のホームページでは映像を流しています(英語)
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