世界の子ども物語
スーダン・ダルフールの子どもたちのお話
アフリカのスーダンにあるダルフール地方では、国内でとても深刻な争いがつづいています。今回はその争いにまきこまれ、となりの国のチャドへ難民としてのがれた2人の子どもたちのお話です。
◆サルワのお話
「私たちの村は一年前、らくだに乗って銃を持った民兵たちがやってきて、食べ物や家畜をうばっていきました。村を守るため戦った大人たちはうたれ、お父さんとおじさんは殺され、3人のいとこたちはむりやりつれていかれてしまいました」。
パニック状態のなかで、近所の人たちと逃げ出したサルワは、スーダン国境からチャドに入り、毎日必死に生きるなか、UNHCRの助けでジャバル難民キャンプに移動する事になりました。そこでぐうぜんに母親と7人いた兄弟のうち5人と再会し、何千とあるテントの1つに一緒に住むようになりました。1カ月後、お母さんは可愛い女の赤ちゃんを産みました。
「ここでのくらしは平穏です。キャンプのなかにある学校も大好きだし、まだすんでいた村へは戻りたくありません」とサルワははなします。
◆アワのお話
アワは今16歳。お父さんはアワが7歳の時に命をおとしました。村にいたころは畑で働かなければならず、学校へ行くことができませんでした。
「銃を持った兵たちが村をかこみ、ちかくの丘のうえから撃ったり、村人たちをおいかけまわしたりしました。私はお母さんと逃げていましたが、お母さんはうしろから撃たれてしまいました」。
アワはお兄さんとおばあさんと2人の弟たちを助けながら、一週間かけて、暗いなか国境を越え、キャンプにたどり着きました。
ダジャバル難民キャンプには3つの小学校があります。アワと兄弟たちは困難な状況ではありますが、ユニセフや他のNGOの支援によって、基礎的な読み書きの勉強をすることができてよろこんでいます。
難民のおよそ40%は子どもたちです。その多くが、恐ろしい残虐行為を目撃し、また、故郷や家族、友だちと離ればなれになったトラウマ(心の傷)に苦しんでいます。
教育やレクリエーションの場はサルワやアワのような子どもたちの心のケアにとても役立っています。ユニセフはすべての難民の子どもたちが安全で楽しく教育やレクリエーションを利用することができる教育センターなどをつくることに力をいれています。
質の高い教育を受けられても、なくしてしまった親の愛や故郷にいるときの安心感の埋め合わせにはなりません。しかし、教育を通じて自分や家族の権利を守る能力を高められることが望まれています。
チャドの難民生活で得た知識や生活の知恵をスーダンに持ち帰ることで、村を建て直したり、よりよい生活が送れるようになることをユニセフは願っています。 |