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世界のニュース(1)

平和の種よ、大きな木になれ!
〜コートジボワールの平和教育〜

 さて、学校が子どもたちにとって本当に大切なものだ、ということは、このウェブマガジンでも何度かお伝えしてきました。特に紛争が起こっているときなどに、学校は子どもたちを守り、日常の穏やかさを取り戻すための貴重な場所になります。ユニセフはどんなときでも子どもたちが学校に通えるようにがんばっています。今日は、そんな学校が子どもたちにどんな力を与えているか、というお話をしたいと思います。

黒板に書かれた「平和」という言葉。(フランス語でla paix)
 アフリカの西に位置するコートジボワールという国。この国も長く続いた戦争のために国は荒れ、人々の心も離ればなれになってしまいました。今この国の学校では、子どもたちに「平和」を教えようとしています。

 フローレンス・アボ先生のクラスでは、子どもたちが自分の小黒板に「許すこと」「分かり合うこと」「平和」という言葉を書いて先生に見てもらっています。

 教科書は、いなごの害について教えるページが開かれています。大量にやってきて作物を一気に食い荒らしてしまういなごは、戦争と同じくらいここでは人々の暮らしを脅かしているのです。

「いなごが来たときに作物に必要なことはどんなこと?」という質問。子どもたちの手がいっせいにあがり、「守られること!」目をきらきらさせて10歳の子が答えます。守ることからだんだんと「子どもの権利」のことに話が発展してきました。

「それじゃ、子どもたちに一番大事なものは何かな?」子どもたちの手があがります。「楽しくすごす権利」子どもたちから元気な声があがります。子どもたちは、だんだんと、自分たちに必要なもの、そして相手にも必要なものを学んでいきます。

 「子どもたちに責任のある私たち教員が、平和の文化を教え、育てていかないといけません。もしかしたら教えている子どもたちの中に将来大統領になる子どもがいるかもしれません。もし大統領が平和を知らなかったらどうやって国を率いていくというのでしょう」

 こんなフローレンス先生の言葉にはこの国をつくっていこうという熱意が感じられます。

「許すこと」「分かり合うこと」という言葉(フランス語で、le pardon と la reconciliation)
 平和教育の効果は早くもあらわれているそうです。少し前なら、周辺国のマリやギニアから来た子どもたちは、教室の中で溶け込めずに孤立していたそうですが、今では他のみんなと一緒に楽しく遊んでいるといいます。自分の両親に「わかりあうこと」という言葉を教えている子どももいるそうです。

 道のりはそれほどたやすくはないでしょう。でもこうして平和の種を一粒一粒、大切にまいてゆけば、きっといつかは平和の大きな木が育つと信じたいものですね。

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