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世界のニュース(1)

スマトラ沖地震・津波被災地でも活躍
〜命を救う水(ORS)〜


 インドの最南端部タミール・ナドゥ州のナガパチナム地区を大きな津波が襲ってから一週間。ユニセフは真っ先に下痢をともなう病気を防ぐために、貯水タンクをこの地域につくりました。二百数十カ所にある避難民キャンプで、子どもたちが下痢をともなう病気や脱水症状にかからないようにすることが何よりも大切でした。

 ユニセフが支援した経口保水塩(ORS)は、2005年の新年早々に、避難民キャンプに送り届けられました。タミール・ナドゥ州の20万人の被災民たちがいるとされるクダロレ、カンヤクマリ、ポンディシェリーの地域に配られたのです。

拡声器を積んだ車を使い、ORSの作り方と衛生上の注意などを書いたチラシを配るスタッフ

 インドの有名な会社とのパートナーシップのもと、ユニセフは140人の大学生と、NCC(インドの青少年・スポーツ省のもとの若者向け組織)の部員たちに研修を行って、キャンプでのORS広報活動をはじめました。3人のスタッフと、ひとりの監督役がチームを組み、40台のバンに乗って、被災地のすべてのキャンプをまわりました。まずは、拡声器でチームの到着をキャンプの人たちに知らせます。そのあいだに、飲み水をバケツ半分用意し、そのほかに攪拌(かくはん)用の容器、1リットルの水を入れる容器を用意しておきます。これはORSの粉をとかすためです。

避難民キャンプで避難している人に、ORSの作り方を伝えるORS広報活動のスタッフたち

 本来は結婚式場だった場所も、今は津波で被災した300人が寝とまりする避難所となっています。避難民キャンプのような人がひしめきあってくらしている場所や非衛性的な環境では、下痢が起こりやすいことをORS広報活動のスタッフたちが説明しています。トイレに行ったあと、食べ物をあつかう前には必ず手を洗うことが大切だということを伝えて、正しい手の洗い方を見せ、コミュニティを代表するボランティアに、下痢をともなう病気をどうやって防ぐか、どんな症状か、ORSをどうやって使うのかを説明しました。

 60歳のラジャマさんは、コミュニティを代表するボランティアのひとり。彼女には生後45日の孫ミーナちゃんがいます。生まれて6カ月は母乳だけで育てるように母親は言われています。下痢にかかっても母乳を与えつづけてくださいね、と。ORSで赤ん坊の脱水症状を防ぐことができると勉強しました。

支援物資の衣類を受け取りにきた人に、ORSの効きめと作り方を伝えるスタッフたち

 ラジャマさんもミーナちゃんを抱えてやっとの思いで津波の被害からのがれました。今、彼女はコミュニティの人たちに、手の正しい洗い方を教えています。ツメの間をブラシできれいにあらい、手を洗うのです。ORSの作り方もみんなの前でやってみせて、病気になっている子どもたちに与えてみせます。

 この簡単な知識で、多くの子どもたちが下痢をともなう病気が原因の脱水症状から救われることになります。コミュニティの中でこの方法をしらせていくことが大切なのです。

※ ORS(オー・アール・エス)って、なんだろう?

ORSは、経口補水塩ともいいます。緊急事態下では、汚染された水によって下痢になり、脱水症で命を落とす子どもが増えます。ORSを安全な飲み水にとかして飲ませるだけで、子どもたちを脱水症から守ることができます。何度も飲ませることで、3〜4日で下痢がとまります。

下痢がつづくと、体の60〜70パーセントを占める水がどんどんうしなわれてしまいます。これを防ぐためには、水を補給してあげなければいけません。ORSは、スムーズに体に吸収されるようにできています。スポーツドリンクのようなものですね。
ORSを1日に何度か与えることで、脱水症状が回復されます。また、弱ってしまった赤ちゃんや子どもには、母乳を与えることもたいせつです。母乳は水分や栄養をとることができるすぐれものなのです!
ORSの粉は、緊急事態のときは無料で配られます(写真のような袋にはいっています)。製薬会社などでも作られていて、味がついていてのみやすいものもありますが、ユニセフでは、ORSの成分を変えてしまわないように、味つきでないものをすすめています。日本ではスポーツ飲料をよくみかけますが、実は医療用のものもあるんですよ。

★やってみよう!ORSのつくりかた★

〜準備するもの〜
-小さじ4杯の砂糖
-小さじ半分の塩
-1リットルの水(ばい菌のないきれいな水にするため、一度沸騰させたもの)

→これをよくかきまぜます。どんな味かな…?
(小さな子は必ずおとなの人といっしょに作ってね!)

下痢になってしまったら…

2歳未満の子どもには…
 →1回のうんちをするごとに、カップ4分の1から半分の水(またはORS)をのまなければいけません

2歳以上の子どもには…
 →1回のうんちをするごとに、カップ半分から1カップの水(またはORS)をのまなければいけません

 
(参考:厚生労働省ホームページ)

 

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