世界のニュース(1)
HIV/エイズがもたらす子どもたちへの影響 エイズによる孤児
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エイズで両親を亡くした6人の孫を引き取り育てる女性。 ※写真は本文と直接関係ありません。 |
ジャスティンくんはマラウイのンディランデ・タウンシップという町に暮らす14歳の少年。日本なら中学2年生くらいでしょうか。ですが、彼の前にたちはだかる現実は同じ年頃の日本の子どもとは大きく違っています。
ジャスティンくんのお父さんは1999年に亡くなりました。恐らくエイズ関連の病気が原因です。半年後にはお母さんも亡くなりました。後に残されたのはジャスティンくんと4歳ちがいの弟、そして5歳はなれた妹の3人。14歳の少年は、ある日突然、一家のあるじとして弟と妹を養っていかなければならなくなりました。
マラウイでは人口の約15%がHIVに感染し、毎日219人がエイズ関連の病気で死亡しています。両親が亡くなったとき、ジャスティンくんは学校をやめました。今は食べ物を運ぶ仕事をして生計を立てています。「両親が死んでから一番の問題は食べ物です」と彼は言います。「毎日の食費や学費、洋服のような必要最低限のものさえ十分に用意することができません。お母さんが死んだとき、僕たちは何よりもまず仕事を見つけなければなりませんでした。食べ物を買うために、お金を稼がなければならなかったんです」
この国には94万人の孤児がいますが、その半分の47万人が、ジャスティンくんと同じようにエイズで親を亡くしています。マラウイのようなサハラ以南のアフリカの国々では、親が亡くなると、おじさんやおばさん、おじいさんおばあさんなどの大家族が残された子どもの面倒をみてきました。ですが、エイズで亡くなるおとながあまりにも多くなりすぎているために、親戚の人たちもすべての子どもを引き取ることができなくなりつつあります。そのために、親を亡くしたたくさんの子どもが行くところもなく、両親と暮らした家に留まって、おとなの力を借りずに自らの力で毎日の生活をしのいでいるのです。
ジャスティンくんのように、エイズによって親を亡くし、孤児となる子どもの数は世界中でますます増えつつあります。HIVに感染してエイズを発症した親は生きていても働くことができなくなるので、子ども、特に女の子は学校をやめてしまいます。兄弟や病気の親の世話をしながら、自ら働いて家計を支えるのです。また、自分が暮らす地域の人たちから差別や虐待を受けることも少なくありません。
このような問題に対処するために、ユニセフはさまざまな活動に取り組んでいます。NGOや国連のほかの機関と協力したり、親が1日でも長く生きられるように支援したり。また、HIVに感染した人たちが薬を使いやすくなるよう製薬会社に価格の値下げや医薬品の寄付を働きかけたりしています。また、子どもにとっては血のつながった親戚が面倒をみてくれるほうがはるかに望ましいので、親を亡くした子どもができるだけ親戚のもとで暮らせるように支援しています。
ジャスティンくんの暮らすコミュニティでも、ユニセフは地域に根ざした活動を続けるグループを支援しています。このグループには約300人のボランティアが集まり、町に暮らす3,000人の孤児の面倒をみたり、エイズ関連の病気で死の床にある人々の世話をしています。ジャスティンくんの家にも2〜3日おきにボランティアが訪れ、1袋の穀物と少額のお金を手渡しています。ボランティアの1人、マーシー・サンデーさんは語ります。「子どもたちにはお金の使い方を教えています。でもそれだけではありません。人生についてもアドバイスするんです。人生をどう生きたらいいか、3人のきょうだいがどう助け合っていけばいいのか」
両親を亡くしたジャスティンくんときょうだいは、今、300人の新しい“家族”に見守られています。
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HIV/エイズの影響を受けている子どもたちを守るため、ユニセフは「子どもとエイズ」世界キャンペーンをはじめました。詳しくはこちら
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