世界のニュース(2)
地震の被害にあった子どもたちのドキュメンタリー
『パキスタン7.6』
番組制作をユニセフがサポート
2005年10月8日に南アジアをおそった、パキスタン地震から半年がすぎました。今もユニセフの支援活動はつづけられています。パキスタンは、人口のおよそ半分が18歳に満たない子どもという、多くの若い人たちがすむ国です。およそ7万5千人の人びとが命をうしなった、今回の大地震。その半数が子どもたちだといわれています。
その事実を多くの人たちに伝えようと、ドキュメンタリーフィルム『パキスタン7.6』が、ユニセフの協力で撮影されました。
きびしい冬まであと数週間という状況で家をうしなった人は、330万人。そういった生活を強いられている人々に焦点をあてました。
このフィルムは、テレビ番組アル・ジャジーラ・チルドレンズ・チャンネルのディレクター、モハメド・ブナブさん、そしてユニセフのスタッフとの話がきっかけとなり、製作されることになりました。ブナブさんは、もしユニセフが手伝ってくれるのなら、カメラの技術者を現地へ送って、子どもたちが地震の影響をどれだけ受けたのかを取りあげて、多くの人に伝えたいと話しました。
2〜3日後、アル・ジャジーラ・チルドレンズ・チャンネルのスタッフがパキスタンへやってきました。そしてできあがったのは26分のドキュメンタリーフィルム。その映像は、2006年のジャジーラ・インターナショナル・テレビジョン・プロダクション・フェスティバルで金賞を受賞しました。
製作のスタッフ、エルヤス・バッカさんは撮影のようすをつぎのように話しています。「ヘリコプターは、人びとへの物資を運ぶことを優先していて、宿をさがすこともとても難しかった。思っていたよりも寒さはきびしく、そのなかで、多くの人が寒さにたえていました。人びとがたくましく生活しているすがた、特に子どもたちのすがたにはげまされ、撮影をつづけました」。バッカさんは、自分からスタッフと一緒に行動し、通訳もひきうけてくれた、ナジームくんのことも忘れられないと話しています。
「国境近くにあるバラコットから、その東にあるムザファラバードまでのあいだに、子どもたちが地震によるがれきのなかで生活しているすがたが見られました。子どもたちの表情には、先がみえない未来への不安がうかんでいました」。
「このドキュメンタリーのインタビューにこたえてくれた子どもたちのほとんどは、この町をおそったマグニチュード7.6の地震のせいで、絶望していたり、不安なようすでした。このような大変な状況のなかでも、寒空のしたに集まり、ひざの上に本をのせて、明るい未来のために学んでいる子どもたちのすがたもありました」。
「印象的だったことは、キャンプまでの道を、とても小さな女の子が水がはいった大きな水がめを運んでいたことです。道はけわしく、水がめをささえている頭から、水がめがすべりおちそうになりながらも、一生懸命にはこんでいました。また、お墓のなかにたたずみ、自分の家族がねむるお墓を指さして教えてくれた男の子や、がれきとなってしまった自分たちがかつて勉強していた教室を歩きまわる子どもたちのすがたも、忘れることはできません」。
ドキュメンタリーフィルム『パキスタン7.6』の映像を見ることができます
(アラビア語・英語字幕)
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