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No.28
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世界のニュース(1)

世界各地で深刻 洪水の被害
〜インド・ネパール・エチオピア〜

今、世界でおこっている洪水の被害がとても深刻です。私たちのすむ日本でも、モンスーンの影響をうけ、今年の夏から秋にかけて、ごう雨による深刻な被害が伝えられました。

人びとは家をうしない、避難生活をよぎなくされ、とくに避難所など人が多くあつまるところでは、ポリオやマラリアなど、伝染病が流行する危険があります。そして下痢(げり)も、日本の子どもたちにくらべて栄養が十分ではない途上国の子どもたちにとっては命とりです。

その状況と、各地で行われているユニセフの活動をお伝えします。

***

≪インド≫

© UNICEF India/2006
洪水の被害にあったオリッサ州の村

避難所で、心配そうな顔をしているお母さんと子どものすがたがありました。お父さんとは、ひどい洪水のせいで、はなればなれになってしまったのだそうです。

今年もモンスーンの季節がインドにやってきました。さきほどのビズワルさん一家がすむインド東部のオリッサ州など、農業、産業の中心の町を、ひどい雨がおそいました。ビズワルさんだけではなく、ほかの村にすむ数百人の人びとも一緒に、学校の屋根にのぼって避難しました。ビズワルさんのお父さんも、おなじようにのぼって、助けをもとめたのですが、数分のうちに、洪水にのみこまれてしまいました。

© UNICEF India/2006
肩に赤ちゃんをのせたお母さん。この家族が住む村は、洪水の中にしずんでしまいました。洪水の高さは、6メートルをこえたところもあったと報告されています

このオリッサ州だけでなく、インドの西部にある大きな街ムンバイにも洪水の被害がありました。この2つの地域にとどまらず、インド各地で、数百人、数千人の人びとが被害をうけたと報告されています。今そういった人びとは、避難生活をしていて、いつもどおりのくらしが送れるようになるのかと不安な毎日を送っています。

ユニセフもインド政府の要請をうけて、支援活動を始めました。水をきれいにするための薬や、下痢をふせぐために水に入れると水分の吸収をよくする効果があるORS(経口補水塩)を配りました。

ユニセフは、洪水によって被害をうけた子どもたちの回復のための活動をとくにまかされています。800のチームをつくって、被害をうけた地域を訪問し、子どもたちの健康状況を確認しています。そして、人びとがきれいな水を使っているかどうかも確認します。インド政府と協力して、必要とされている物資が、ただちに人びとへ、とくにお母さんと子どもたちに届けられるように努力しています。

≪ネパール≫

© UNICEF Nepal/Shrestha
洪水の被害にあったオリッサ州の村

ネパールの西部をおそった洪水で、8月の終わりの時点でバンケ郡では5800世帯(せたい)の人びと、バルディア郡では5000世帯の人びとが家をはなれて生活しなければならない状態です。そしてバンケ郡では、全体の3割の家が洪水によって壊れてしまいました。家をうしなった人びとは、洪水のこない高い場所に避難しています。

ネパールは標高が高いため、暑い季節でも夜は冷えこみます。体を寒さからまもる避難所や、きれいな水の支援が大切です。また、今回洪水がおこった場所は、ネパールのなかでもとても貧しい地域です。これまで、雨が降らなかったことでおこったひどい干ばつや、内戦がつづいたことで、人びとはたいへんな生活をつづけてきました。この洪水によって、人びとのくらしは、さらに被害をうけてしまいました。

ユニセフ・ネパール事務所の代表をつとめている坂井さんは、「ネパールでは、ふだんから1日におよそ45人の子どもたちが、下痢(げり)によって命をうしなっています。ですから、このような洪水のときこそ、よごれていないきれいな水を支援することがとても大切なのです」と深刻な状況をうったえました。

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≪エチオピア≫

© UNICEF Ethiopia/2006/Getachew

これまでになく、長いあいだ雨がつづいたエチオピアでは、標高が低いところで洪水がおこりました。とくに北部のアムハラ州では、とても深刻な影響をうけました。8月の終わりの時点で、20万人の人びとが住んでいる家をはなれて、避難生活をしています。これからも雨はつづくと考えられていて、水で伝染する病気がはやるのではないかと心配されています。

エチオピアでは、子どもたちの栄養が十分でないことが、成長をおびやかしてきましたが、その状態で子どもたちが病気になってしまってはたいへん危険です。下痢(げり)で命をおとす子どもたちも少なくありません。

そこで、ユニセフは、保健センターをととのえ、薬などの医療品を支援するほかに、きれいな飲み水が飲めるようにしたり、トイレもきちんとしたものに整備しています。

ポリオやマラリアなどの流行も心配されていて、予防接種や、マラリアをはこんでくる蚊から身をまもる蚊帳(かや)が、日本政府の支援で配布されました。

このまま雨がつづいたら、エチオピアの川の水の量を調節しているダムがあふれて、決壊(けっかい)してしまう可能性があります。ダムが壊れてしまったら、ふたたび大きな洪水がおこるでしょう。そうなったら、多くの人たちにさらにしんこくな被害がでることが心配されます。

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