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ユニセフ子どもネットウェブマガジン
No.28
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世界のニュース(2)

同じコミュニティの人びとにエイズの知識を伝えよう
〜インドネシア・パプア州〜

インドネシアにあるパプア州にすむ若者たちは、これまでエイズという病になやまされたりすることはありませんでした。19歳のリファル(本当の名前ではありません)もそのひとりでした。リファルにとってエイズは、ドラックに手を出すような人びとが、よくかかる病気だと思っていたのです。その彼の考えがかわったのは、2006年の2月、自分がHIVウイルスに感染していると知ったときでした。

リファルは家族や友だちにそのことを伝えていません。偏見(へんけん)の目で見られるのがこわかったからです。そんなリファルが、安心して自分のことについて話すことができる場所は、診療所(しんりょうじょ)だけでした。彼はその診療所で、医療面(いりょうめん)での治療(ちりょう)のほかに、心の治療もうけています。

インドネシアはHIV/エイズの影響をうけています。とくに、リファルの住むパプア州ではとても深刻です。インドネシア全体の人口とHIV/エイズとともに生きる人の数をくらべると、パプア州がしんこくだということがわかります。パプア州の有病率(ゆうびょうりつ)は、国全体の10倍にもなるのです。

■エイズへのまちがった理解をふせぐこと

© UNICEF video
同じ若者にエイズについての情報を伝える「ピア・エデュケーター」たち

感染のながれをくいとめるために、ユニセフはパプアの若者へエイズの危険を知らせるための教育を支援しています。このキャンペーンのゴールは、教室でエイズにかんする認識をたかめることや、若者にエイズの正しい知識を教えて、「ピア・エデュケーター」(同じ若者やなかまに、エイズの危険について、ただしい情報をつたえてくれる人)をそだてることです。

高校生や大学生など年上の若者にくわえて、ユニセフは中学生の若者にたいしても、エイズにかんする教育をしています。中学生のころはエイズや性のもんだいにまちがった理解をしがちだからです。

■パプア州の人びとが、同じパプア州の人びとをすくう

© UNICEF video
地域の人びとをまきこむことで、なかまたちをHIV/エイズからまもることにもつながるのです

エイズの正しい知識をひろめる活動は、すくなくとも1万人いるといわれている学校にかよっていない若者たちへも伝えるようにすすめられています。街にでて、同じ若者にエイズのおそろしさについて書かれた資料を手わたしています。性をうってお金をもらっている人や、若い人たちへの感染予防をうったえるために、若者があつまりやすいたまり場や海岸にもでかけています。

その地域の若いひとたちをまきこむことによって、このキャンペーンがその地域に根づいて、パプア州のひとが、同じパプア州の人びとをHIV/エイズからまもることの手助けになるのです。

リファルは、この地道な活動がHIVウイルスのひろまりをおさえることができると考えています。「若い人びとがお酒をのみすぎていても、まさか自分の意識がしっかりしていないとはおもわないでしょう?若者は自分自身をコントロールできないのです。コンドームを使わないんです」。

■情報こそパワー

ほかの見方をすると、このような活動が、先生たちにも「どうやって若者に性にかんすることや、HIV/エイズのことを教えていけばいいのか」を伝えていることになるのかもしれません。学校で先生たちは若者に、性交渉によって感染をする病気をどのようにふせぐことができるかについて教えます。病気のほかにも、どうやって自分の気持ちをコントロールするのか、コンドームをどうやって使うか、薬物に手をださないようにすることも教えます。

カトリックのシスター、ジータは、この地域でもっとも根気よくエイズとたたかうことをよびかけるようになりました。HIV/エイズとともに生きる人をサポートするグループのリーダーとして、ジータは、情報こそがHIV感染を予防するのにもっとも効果があると考えています。

「誰だってエイズはこわいわ。だけど、私たちはまったくおそれることはないの。どうやって感染するのかをちゃんとわかっていればね。生徒たちは、HIVウイルスがどうやって感染するのか、どうしたら感染しないのか、感染に気づいたら早い段階でどうしたらいいのか…を学べばいいのよ」。

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