ネットワーカーのニュース(2)
フィリピンでのユニセフの仕事
〜ユニセフフィリピン事務所 小林りんさんの報告
小林りんさんは、フィリピンの事務所で、子どもの保護のための活動をしています。みんなのために、冬休みの予定をすこし早めて帰国してくださいました。本当にありがとうございました。
これから街頭募金に参加するネットワーカーのみんなに、フィリピンの子どもたちのようすや、募金活動をすることの大切さをおしえてくれました。当日参加できなかったみんなのために、りんさんの報告をおつたえします。
★フィリピンって、どんな国?★
みなさん、フィリピンがどこにあるのかわかりますか?日本の沖縄のすぐ先で、おとなりの国です。東南アジアの遠い国だというイメージがあるけれど、韓国や中国と同じようにおとなりの国なんです。
日本の人口は1億2700万人(世界10位)、面積は38万平方キロメートル(世界60位)です。フィリピンの人口がどのくらいかわかりますか?8800万人(世界12位)です。毎年数百万人づつふえています。ひと家族あたり平均の子どもの数が、5人から6人、貧困層(ひんこんそう)になると10人も子どもがいる家族があって、このままふえていくと、10年後の人口は1億人をこえるといわれています。面積は30万平方キロメートル(世界70位)。広さも、人口も、日本とよくにている国なんです。
ひとりあたりのGDP(国内総生産:国のなかの経済がどのくらいのきぼなのかをしめす数字)日本は3万6000ドルにたいして、フィリピンは5000ドル。ひとりあたりのお給料は、およそ日本の7分の1以下です。でもこれは、あくまで国ぜんたいの平均ですよね。じっさいには貧困層の人たちのわりあいがとても多いんです。全人口のうち、3パーセントしかいないお金持ちの人たちが、国の全部の資産(しさん)の6割をもっているいるといわれています。貧富の差がとても大きい国なのです。
お給料が日本の7分の1というと、それほどひどくないように感じる人もいるかもしれませんね。でも、人口の40パーセントの人たちが、「貧困ライン」とよばれる、1日1ドル未満(115円くらい)でくらしている人たちです。ひとり百円とか、そのくらいで生活をしている人たちです。
★マリアンちゃんとユニセフ★
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まずしい家にそだったマリアンちゃん。4歳のときからくだものをはこんで、家族の生活をささえてきました。 |
フィリピンでは、ストリートチルドレンが大きな問題となっています。わかっているだけでも、5万人のストリートチルドレンがいるといわれています。みんなは、ストリートチルドレンってよく聞くと思うけど、何をもってストリートチルドレンとよぶのか、知っていますか?どういう人がストリートチルドレンだと思いますか?
ユニセフの国際的な定義では、1日に最低4時間以上をストリートですごしている子どもたちをさすのですが、フィリピンではとても状況がひどくて、1日ひとり平均9時間以上ストリートですごしています。おうちがない人だけじゃなく、おうちがある人もいるんだけれども、さっき話したように、ひと家族に10人や15人も子どもがいたとしたら、家にかえっても寝る場所がない、食べる場所がない、そうすると子どもたちはストリートに出て、物ごいをしたり、お手伝いなどの仕事をして働かなくちゃいけない。フィリピンで有名なのはゴミひろいなんですけど、子どもたちが道でプラスチックなどのいろいろなゴミをひろって、何十キロものゴミをあつめて、1日やっと5円、10円をかかせいで、自分の家族の生活のたしにしています。
本当にちっちゃい子たちが、最初から学校にいけることはできなくて、4歳とか5歳、もっとちいさい3歳の子どもたちが、大きなリヤカーをひいて仕事をしたり、路上で水をうったりしているんです。
5万人という数は、わたしたちがはあくできている、ひとにぎりの子どもたちなんです。地方や遠い地域にいけば、もっとたくさんの子どもたちがいるだろうし、ストリートチルドレンだけじゃなくても、たとえば先住民とよばれている、山のおくとか、離れた島に住んでいて、まったく保健や教育にアクセスできない人がいっぱいいます。
わたしは、マニラのフィリピン事務所でチャイルドプロテクション(子どもの保護)の仕事をしていますが、ストリートチルドレンがおもなターゲットです。フィリピンには、たくさんのNGOがあって、こういったストリートチルドレンたちがちゃんとごはんをたべることができているか、夜ちゃんとねることができるような場所を提供したりしています。そういったNGOと協力をするとき、ユニセフは3つの方法をとっています。(1)お金をわたしてNGOに仕事をしてもらうこと、(2)物品(食りょう、ベット、学校にいくための制服)などを支援すること、(3)技術支援(ユニセフが調査をして、NGOの人たちが活動をするときに、どうすればうまくいくかを伝えたりする)をしています。
マリアンちゃんは、今は8歳ですが、4歳のときにストリートで働いているところを、NGOの人が保護をして、そこでよみかきなどかんたんなことを習ったあとに、7歳から学校にいっています。ユニセフがそのNGOにたいして、お金などの支援をして、今、彼女は家族とはなれていても、無事学校にいって、ごはんをたべて、生活をしています。
≪みんながあつめてくれるお金の大切さ≫
では、マリアンちゃんが1年にどれだけのお金が必要になるのでしょうか?
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−食事代140円(1日)
−ノートやえんぴつ300円(1年分)
−制服代2000円(1年分)
フィリピンはあついので、
ふたくみから3くみあれば十分
−授業料は無料(フィリピンでは、公立の小学校、中学校は無料) |
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ごはんがたべられないから学校にいけない、学校にいきたいけど制服がないから行けないということがよくあります。最低限の食事、そして制服とノートがあれば…という環境をユニセフの支援でつくらなくてはいけないのです。
ユニセフが支援している途上国のなかで、フィリピンはもっとも裕福(ゆうふく)な国のひとつです。ですから、これらの金額は高いほうになります。アフリカならば、この10分の1くらいでしょう。
日本にいると、自分がすごく恵まれていることにきづかないことが多いけど、1日100円でくらしをしている人がいっぱいいる。現地にいくことによって感じることがいっぱいある。みんなが大きくなって、機会があったら、実際にかれらの生活をみてもらえば、本当にいままで自分がやっていることが、どんなに小さいことでも、役にたっているということが実感できると思います。これからみんながあつめるお金が、すごく大事だということを心のなかにとめておいてください。
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Q 文房具(ぶんぼうぐ)をあつめたり、物で支援することはできますか?
A 支援の現場までの輸送料(ゆそうりょう)がとても高いんです。ノートや文房具がどんなにやすくても、日本であつめて送るだけでも、送料がとてもかかってしまう。お金なら、電子送金もできます。でも、自分で行けるチャンスがあったときは、直接もっていってもいいかもしれないですね。
Q 強い台風の影響でアセアンの会議が中止になったと聞きました。どのような状況だったのですか?
A フィリピンでは、今年だけでも3つも大きな台風がきました。自然災害がとても多い国なんです。この前の台風では、大雨で火山灰がながれて、2000世帯がすべてうまってしまいました。1日で600から700人もなくなりました。実際はもっと多いんじゃないかといわれています。日本ユニセフ協会でもきんきゅう募金をしていますが、こういった災害は、なかなかニュースであつかわれにくいので、支援もあつまりにくいということがこまっています。アセアンの会議が中止になった台風はそれほど大きくなく、その一カ月後の台風のひがいが深刻でした。台風で洪水などがあると、病気がはやるのでとても大変なのです。
Q . もしわたしたちがフィリピンにいったら、現状(げんじょう)を知るために、どんなことをしたらいいでしょうか。
A 行くだけで、ふつうの生活をしているだけで、ストリートチルドレンの多さにビックリすると思いますよ。車が道でちょっととまっただけでも、物売りの子どもたちがわーっとかけよってくる。なかには15歳くらいの子どもが、たぶん自分の子どもをかかえて物ごいをしたりしている。そういうのが日常茶飯事(にちじょうさはんじ)、ということにビックリすると思います。
Q . 貧困という問題は解決すると思いますか?
A わたしが生きているあいだにゼロになることはないけど、そういう格差(かくさ)があるかぎり、わたしたちはがんばらなくちゃいけない。もし、なにもしなかったら、問題はどんどん大きくなっていく。ちょっとでも小さくなるなら、どうすればいいのか考えて、なくしていく努力をしなくちゃいけないってことでしょうね。政治の場においては、まずしい人たちの声を聞いて、貧しい人たちのために政策がとられていれば、もっとかわってくると思います。 |
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