世界の子どもたち(1)
元子どもの兵士 ブウェーの新しい生活
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© UNICEF Cote d’Ivoire /2007/Westerbeek |
以前は子どもの兵士だったブウェー君は、ヨーロッパ連合のプログラムを通じて鳥小屋を建てられるようになりました。 |
ブウェー君(18歳)は、体はやせていていますが、鳥小屋を建てるための泥を運ぶときの姿は、とてもたくましいです。鳥小屋は友達と一緒に建てていますが、リーダーシップをとって、みんなで役割分担をし、小屋を短い時間で作ることができます。
「これはぼくが建てた2番目の小屋だよ」とブウェー君はほこらしげです。小屋を建て方やニワトリの育て方を学ぶことが、ブウェー君にとって楽しくてしかたありません。「こうしているあいだは、昔のことが忘れられるんだ」とは悲しげに言いました。
2002年にコートジボワールで戦いが始まったとき、ブウェー君の生活は、がらりと変わりました。武器を持った兵士たちが国を二つに分け、隣のリベリアやシエラレオネという国からたくさんの兵士がやってきました。
ブウェー君の村も兵士に攻げきされ、家が焼かれてしまいました。 ブウェー君はまだ13歳だったので、草むらに隠れて兵士から逃げることができました。でも、その攻げきの時に家族のほとんどが殺されてしまいました。「もう失うものは何もないんだ」と思ったブウェー君は、その時軍隊に入る決心をしました。
何千もの子どもが兵士に
ブウェー君は2週間訓練を受けました。「ぼくは兵士じゃないけど、武器のことなら兵士に負けないぐらい知っているよ。玉を銃に入れたり、カラシニコフ(銃)も使えるよ」。
2002年より、何千ものコートジボワールの子どもが政府軍や武装グループにやとわれました。特に、ブウェー君が住んでいる西部では戦いが長い間続いたので、町や村は荒れはて、盗みや暴力が広がりました。
これらの犯罪は一般の市民も巻き込み、子どもたちはその現場を目にしたり、中には犯罪に関わってしまったりする子どももいました。
「この地球では恐ろしいことが起こっているんだ…」
「2004年4月に家に戻ろうって決めたとき、自分の村を守るために2丁のカラシニコフと、弾薬、ブーツと、戦とう服を持って帰ったんだ。もし死ぬんだったら、自分の村で死にたいよ。怖いことをたくさん見たし、自分でもやってきたけど、この地球上ではひどいことがたくさん起こっているんだよ」と、ブウェー君は語ります。
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© UNICEF Cote d’Ivoire /2007/Westerbeek |
子どもの兵士をやめて、生活するための技術を習うブウェー君 |
ブウェー君の村では、NGOの働きかけで、子どもの兵士がこれ以上武器を持たないように、軍隊に連れ戻されないようにするための活動をしています。ある日NGOのスタッフがブウェー君に、これから将来のために、どんな技術を学びたいか、学校に戻って勉強をしたいかを聞きました。ブウェー君は、自分が学校にもどってふたたび通うことは、今からではちょっと遅いと考えたので、いち早く生活のためになる技術を習うことに決めました。ブウェー君は今、ニワトリをつかった商売や、ニワトリの世話や小屋の建て方のほか、読み書きや算数を習っています。また、戦争でうけた心の傷をいやすためのカウンセリングなどの医療サービスを受けています。
ブウェー君は言います。「本当は自分の村にいたくない。ここにはいやな思い出がたくさんあるから…。夜は辛いからニワトリと一緒に寝るんだよ。だって、ニワトリだけが僕に残された唯一の家族だもの」。
ユニセフはNGOなどのパートナーと一緒に、コートジボワールの子どもの兵士が武器を捨てて、うしなわれた「子ども時代」をとりもどすことができるように活動をしています。しかし、今でも4,000人の子どもが軍隊に関係した仕事をしていて、何千人もの子どもが、今も軍で働かされる危険がある中で生活をつづけています。 |