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ユニセフ子どもネットウェブマガジン
No.38
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ネットワーカーのニュース

モンゴル−遊牧する子どもたちのための「移動する学校」

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© UNICEF video
伝統的な移動式の家「ゲル」。ユニセフがサポートする、移動式幼稚園にも使われています。

ここはモンゴル、ザブカーンというところです。お父さんは、自分がつれてきたラクダを、足をまげておなかにくっつけるようにすわらせて、乾いた土のうえで休ませました。そのお父さんの息子は、乗っていたラクダからすべりおりるとすぐに、バイバイと手をふって、「ゲル」とよばれるフエルトでできた白いテントへ走っていきました。このゲルは、遊牧民が多いこの地域でよく見られる、伝統的な移動できる家です。

でも、家として使われていないゲルもあります。このゲルは、幼稚園としてつかわれています。遊牧民の家族は、羊やヤギをおいながら生活をしているため、移動が多く、きまったところにずっと住むことがありません。そのような家族も、子どもを勉強に通わせることができるのです。ゲルのなかでは、先生が子どもたちに、歌をおしえています。

もし、子どもたちが学校に行くことができなかったら、学校が子どもたちのところへ行けばいい…。このような移動式の幼稚園は、遊牧民のためにできたのです。このゲルは、年に7〜8回移動をして、学校がある町からはなれた家族でも、教育を受けることができます。

町から遠く、年に数回移動をしてくらす、遊牧民が多いモンゴルの西の地域では、幼稚園に行くことができるのは、ぜいたくなことだと考えられていて、まれです。早期幼児ケアを受けることができるモンゴルの子どもたちは、54パーセントしかいないといわれています。

※早期幼児ケア(そうきようじケア:小学校にあがる前に、いろいろなことに触れたり学んだりすることで受ける刺激が、将来に大きな影響をあたえることから、ユニセフはとても大切だと考えています)

★移動してくらす家族のための「移動式幼稚園」★

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© UNICEF video
遊牧をしてくらすモンゴルの人びとのために移動幼稚園があります。学校に行くことのできない子どもたちのために、学校がやってくるのです。

移動式幼稚園の先生、バダムランチャーさんはこう話しました。「普通の幼稚園よりも、こういった移動できる幼稚園のほうが便利です。この地域の習慣にあわせてくらしている遊牧民の子どもたちにとって、とても必要なことです」。

このモンゴル西部は、ほかの地域とくらべても、就学率(学校に通うことのできる子どもの割合)が低く、いろいろな事情で、途中で学校に通えなくなってしまう子どもの数がとても多いのです。放牧の手伝いなどをしてくらしているため、学校に通えない男の子たちが特に多いです。そういった地域にくらしている子どもたちも、ちゃんと教育をうけることができるように、ユニセフは活動を続けています。

ユニセフ モンゴル事務所の代表バートランドさんはこう言います。「私たちが注目しなければいけないことは、学校に通うことのできなかった遊牧民の家族の男の子は、家族から幼稚園に通うチャンスを与えられていなかった

★すべての子どもたちに教育を★

ユニセフの報告によると、幼稚園などに通っていたことのある子どもたちは、小学校でもよく活動をし、途中で学校に通うのをやめてしまうことも少ないようです。

ユニセフは、小学校へすすむ準備として、子どもたちが早いうちに教育に触れることができるように活動しています。そして、町のなかに住んでいる子どもでも、広い平原に住んでいる子どもたちであっても、すべてのモンゴルの子どもたちが教育を受けられるようになるということをめざしています。

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