NEWS

【海外インターン帰国報告会】北島詩織さん(ネパール事務所)

【2015年8月18日】

ユニセフのネパール事務所で10週間、海外インターン生として活動していた北島詩織さんが、帰国後の報告会を行いました。

ネパールで起きた大地震約1ヶ月後にインターンシップを開始予定だった北島さんは、教育部署で、緊急支援と通常支援両方に携わることとなりました。報告会のようすをお届けします。

*****************************

 

ニュースでも大きく取り上げられていたように、2015年4月25日、マグニチュード7.8の地震がネパールを襲い、その後も300を超える余震が続いています。これによって、8900人近くが犠牲となり、経済損失は8740億円にものぼりました。また、5万近くの教室が損壊したことで、約100万人の子どもたちの教育環境にも影響を及ぼしています。政府とユニセフなどの機関が実施した調査によると、大きな被害にあったのは首都カトマンズを含む一部の地域で、14の郡が政府によって特に甚大な被害があるとされました。北島さんが実際に訪れた場所でも、崩れた建物のがれきが山積みのままであったそうですが、現地の人々がいちはやく普段の生活を取り戻そうと、マーケットを開く様子などが見られた、とのこと。

 

また、ネパールでは、カースト制度と呼ばれる古くからの階級制度の影響が、法律で禁止されている現在も色濃く残っているため、上位階級と下位階級の間で教育へのアクセスやどのレベルまで進学できるかといったことに格差が生じています。この点が、今現在の大きな課題だそうです。

 

インターン期間中、北島さんは、教育部署で、緊急プログラムと通常プログラムの両分野で活動。
 緊急プログラムでは、主に3W(Who does, What, Where)と呼ばれる、"誰が何をどこで配布したのか"などの情報のアップデート、仮設校舎の視察同行、備品配布のサポートといった活動に携わりました。視察した仮設校舎では、校舎の壁や天井が壊れていたり、トイレも扉が壊れている、男性用・女性用が離れていないなど様々な課題があり、そのため、学校により多くの子どもたちを通わせるためには、修復やトイレの配慮などといった、課題解決のための工夫がこれからさらに求められる、と述べました。

また、ネパールの教育環境には、男・女間や都市部・地方間の教育へのアクセスにおける格差、経済的・社会的地位や地理的状況による進学率の差異、家庭での使用言語や民族・カーストなどの学習成果への影響など、Equity(公平性)とGenderという観点における課題も多くあるそうです。北島さんは、教育の通常プログラムにおいては、現地NGOと共同で事業を行う際の契約書類の作成、教育と公平性に関するレポートの作成、憲法草案に対するジェンダーの視点からのサポートなどを主な任務とし、分析なども担当したそうです。また、これらの課題を解決するために、公平性を図る指標の作成と既存のアクションプランとの統合といった2点からのアプローチである「公平性の実現のための戦略」がユニセフと政府の協働で作成され、実行に移されている、と報告しました。

"Education is the most powerful weapon to change the world."
"教育こそが世界を変える最強の武器である"

北島さんが報告会の最後に紹介したのは、地震によって使用できなくなった校舎に掲げられたこの言葉。教育がいかに世界を変えるうえでパワフルなものであるかを伝えていました。

*****************************

日本ユニセフ協会では、「国際協力人材養成プログラム」の一環として、国際協力・社会開発・子どもの人権などに関する研究を行っている大学院生を対象に、ユニセフの現地事務所でインターンとして働く海外インターン派遣事業を行っております。毎年、支援現場の最前線で、多くの参加者が非常に有意義で貴重な体験を積んでいます。2015年度募集要項、今までの海外インターン生の体験記は以下リンクよりご覧ください。

いちらんにもどる

公益財団法人 日本ユニセフ協会