“平和でだれもが受け入れられ、
すべての人が法や制度で守られる社会をつくろう”
世界のどこかで、5分に1人、子どもが
暴力によって亡くなっています。
出典:UNICEFホームページ “#ENDviolence"
家庭内の子どもへの暴力が完全に禁じられている国に住んでいる
5歳未満の子どもは、わずか9%にすぎません。
子どもにとっての「おうち」は、楽しく、安心して過ごせる場所のはずです。しかし、子どもが初めて暴力を受ける場所の多くが「おうち」であることも、また事実です。世界の2~4歳の子どもの75%は、日常的に保護者からの暴力的なしつけを受けています。
世界196カ国のうち、家庭における子どもへの体罰や暴力を法律上、全面的に禁止している国は60カ国。それ以外の国で暮らす世界の6億人以上の5歳未満の子どもたちは、家庭内での暴力から、法律で守られずにいます。
出典: Familiar face Violence in the lives of children and adolescents, UNICEF, 2017年11月
※地図は当時のデータに基づく。日本は児童福祉法等が改正され、2020年より家庭での暴力は完全に禁止されています。
「16-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています
「16-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています
16-1
あらゆる場所で、あらゆる形の暴力と、暴力による死を大きく減らす。
16-2
子どもに対する虐待、搾取※、人身売買、あらゆる形の暴力や拷問をなくす。
※搾取(さくしゅ):お金を払わずに、あるいは不当に安いお金で子どもを働かせるなど、子どもの幸せをうばって利益をえるようなこと
16-3
各国でも、国際的にも、法律にしたがってものごとが取りあつかわれるようにし、すべての人が、平等に、争いを解決するための裁判所などの司法を利用できるようにする。
16-4
2030年までに、法律に反する資金や武器の取り引きを大きく減らし、うばわれた財産が返されたり、もとにもどされたりするようにする。あらゆる形の組織的な犯罪をなくす。
16-5
あらゆる形の汚職や贈賄※を大きく減らす。
※贈賄(ぞうわい)とは、地位や職業上の権利を持っている人に対して、自分に都合の良いことをしてもらうために、不正にお金や贈り物(=賄賂(わいろ)という)をわたすこと。汚職(おしょく)とは、自分の地位や職業上の権利を利用して、賄賂をもらって不正に何かしてあげたり、個人の利益を得ること。
16-6
効果的なはたらきができ、そのはたらきについて十分な説明ができ、だれにでもそのはたらきの内容や過程がわかるような公的な機関を、あらゆるレベルで発展させる。
16-7
あらゆるレベルでものごとが決められるときには、実際に必要とされていることにこたえ、取り残される人がないように、また、人びとが参加しながら、さまざまな人の立場を代表する形でなされるようにする。
16-8
国境を超える問題を解決するための国際的な機関への、開発途上国の参加を広げ、強める。
16-9
2030年までに、出生登録※をふくめ、すべての人が、法的な身分証明を持てるようにする。
※出生登録(しゅっしょうとうろく):赤ちゃんが生まれたときに、国に届を出したり、報告をしたりして、生まれた子がその国や地域の国民・市民として登録されること。日本では出生届(しゅっしょうとどけ)がこれにあたる。
16-10
国内の法律や国際的な取り決めにしたがって、だれでも情報を手に入れられるようにし、基本的な自由がおかされず、守られるようにする。
16-a
特に開発途上国において、暴力を防ぎ、テロや犯罪をなくすために、あらゆるレベルでの対応力を高められるよう、国際的な協力などを通じて、各国でこの問題に取り組む機関の力を強めていく。
16-b
持続可能な開発のために、差別のない法律や政策をすすめ、実施する。
出生登録のない5歳未満の子どもの地域分布(%)
私たちひとりひとりが“存在している”ことを法的に証明するものが、子どもが生まれたときに国に提出する「出生届(出生登録)」です。しかし、さまざまな理由で出生届が出されず、公的な存在証明を持たない人や子どもたちがたくさんいます。
出生登録がないと、たとえば予防接種が受けられない、学校に入学できない、犯罪に巻き込まれても裁判ができない、人身売買の被害にあって国外に連れ出された子どもが生まれた国に戻れなくなる、など、さまざまな問題が起こります。
ユニセフが174カ国のデータを分析した報告書※(2019年発行)によると、世界の出生登録の状況は良くなってきていますが、いまだに4人にひとり(1億6,600万人)の5歳未満の子どもたちが出生登録されておらず、法的に「存在していない」状況に置かれています。この1億6,600万人の子どものうち半数は、インド・ナイジェリア・エチオピア・パキスタン・コンゴ民主共和国の5カ国に暮らしています。
子どもの権利を買わないで
~プンとミーチャのものがたり〜
人身売買とは人を売り買いすることを言います。人身売買は国際的に禁止されていますが、なくなっていません。大人だけでなく、たくさんの子どもも被害にあっています。
ここに出てくるプンとミーチャは、東南アジアに暮らす女の子。プンは家族のために働くことを決め、家族とは遠くはなれた場所で仕事をすることになります。そこで出会ったミーチャ。ふたりの仕事はどんなものだったのでしょうか。実話をもとに描かれた、プンとミーチャのお話を見てみましょう。
人身売買から保護された人の、年齢や性別による割合(2018年または最新統計)
~女性と女子で、全体の6割以上~
2020年のUNODC(国連薬物・犯罪事務所)の報告書「人身売買に関するグローバル・レポート」※によると、2018年に摘発された人身売買事件の被害者の多くが女性と女の子でした。性的搾取を目的とした人身売買の被害者のほとんどは女性でした。一方、強制労働(むりやり働かせること)させられていた人の半分以上が男性でした。
この報告書では地域差についても触れられています。サハラ以南のアフリカでは人身売買の被害者の多くが子どもです。また、北アメリカやヨーロッパ、アジアの国々では女性の、北アフリカや中東では男性の被害者の割合が高くなっています。
© UNICEF/UN0119119/Brown、© UNICEF/UN0119119/Brown、© UNICEF/UN025519/Schermbrucker、© UNICEF/UN034442/Zayat、© UNICEF/UNI122635/Diffidenti